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まずは今の実力を

 とは言ったものの、今ステ振りを終えた俺の力がどれぐらいか知っておく必要はあるだろう。例えば適正レベルと呼ばれるモノがこういったゲームには存在するが、それ以前にプレイヤースキルというものが問われる。簡単に言えば、当たらなければどうということはないを当然のように行うような奴であればどんな場所だって適正帯になるだろう、火力させ足りていればもうどうとでもなるのだから。

 対してさっきの俺のようにあまりうまくない人間である場合、この適正帯というのは微妙な指標へと変貌する。こういった適正帯というのは手ごたえがあるという場合、もしくはそのレベルになったら挑戦は可能だという運営の手引きであり、基本的なプレイヤーであれば行ける場所である。そう、基本的ならだ。

 さっきの俺のプレイを見ただろうか、ビルドが確実に当たってはいけない完全火力職であるのにも関わらずあの体たらく。それに加えて姑息な手を使って逆上を誘う格上には確実に効果の無い戦術というどうしようもなさ。

 「…いやステータスもしっかり振ったし流石にもうあんなことには。」

 アイツが格上というわけでは決してないけども、それでも流石にちゃんとステータス振った後でも手が出ませんでしたなんてことにでもなったら目も当てられない。それに重装備相手に何も出来ないという状態になったらカグヤ頼みということももうやめたいのにという思いもある。流石に勝てるようになったと思いたいのだ。

 先ほどよりも軽く感じる槍を握り直してまた奴を探す、何体もポンポン出てくるようなものではないと思うけども、まあ探していたら何体かは出てくるだろう。

 時計をちらりと確認する、カグヤを迎えに行くにはまだ時間があるな。いつも索敵してくれているダンゾーがいないのが正直痛い所だが、まあしょうがない。

 「…ふっ。」

 ブンと槍を振るう、木に吊るした金属製の鍋に向かって。因みにこの鍋はさっき倒したゴブリンからドロップした冒険者の落とし物というアイテムだ。換金も出来ない俗にいうハズレドロップと言う奴だ。

 それを鐘のような役割を持たせた、コーンと甲高い金属音が森の中を響いて地面を走っていく。あいつらは重い金属音には反応しない、自分たちが死ぬ可能性が高いからだ。重装備相手に生き残れる可能性が少ないのがゴブリンたちの特性だからだ、例えどれ程レベル帯が上がっている場所だったとしてもそういった本能には逆らえない。

 「…来たな。」

 寄ってきたのは皮鎧や鎖帷子に身を包んだ、まさしく強奪したものを適当に羽織っています感漂わせるゴブリンの集団だった。体格もさっきのより一回り大きい、おそらく結構ヤってきている個体だろう。

 「鬼神照覧」

 先ほど振らずにとっておいた(腐らせていた)スキルポイントで習得したスキル、『鬼神照覧』。効果は演舞の上位互換だが、やはり弱点が存在する。演舞は毎秒体力が削られていくというデメリットがあったが、鬼神照覧では被ダメ―ジが1.5倍になるというデメリットに変化する。まあ当たらなければどうにでもなるというスキルだな。

 「偃月」

 舐めてかかってきている皮鎧相手に叩きつけを行う、バフによって速くなった動きにはついてこれないようでメキっと音がして頭部が潰れる。それと同時に槍が地面にめり込み抜けなくなる。

 「やっば。」

 その瞬間を見逃すほど相手はバカではない。敵が作った隙を突くべくして二人突撃してくる。どちらも皮鎧であることからこの集団でのカーストは低いのだろうな。

 「五月雨ッ。」

 急いでアイテム欄を開き無銘槍を装備、近づいてくる二体に対して連続する突きを放った。これは予想していなかったのだろう、手、脚、そして顔面に刺さっていき無視できない裂傷を作っていく。

 「グルァァァァアッ」

 皮鎧はもう逃げようと及び腰になるが、後ろに控えている鎖帷子がそうさせない。リーダーの声は絶対なのだろう、怯えた顔をしながらも傷ついた足を無理矢理動かして走ってくる。

 「風車」

 足払い。穂先でやったから確実に斬れただろう、二体同時に蹲る。流石にコレ程度だったら追いつけるようになったな。

 鎖帷子は気が付けば逃げ出していた、もうアレを探すのは無理だろう。めり込んだ槍を引き抜く、深く刺さってしまったようで結構力を入れる必要があったが。

 「…十全に扱えていない証拠だよなぁ。」

 大きな課題がしっかり見つかってしまった、そんな一日だった。


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