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データ喰う虫も好き好き-4

 「さて、皆はどんなものを持ってきてくれたのかな。」

 色々なものを持ってきてくれているのは分かる、そんだけ網を膨らませてればな。ただその中に何を詰め込んでるかは一切分からないのがちょっと怖いのだ。例えば俺がこの世で最も忌み嫌っている黒くてすばしっこいアイツとかソイツとかドイツとかな。

 ダンゾーは俺の声に反応して、自分と繋げていた糸を切断して中身をボロっと出してくる。

 「うわぁ……。」

 思わず声が漏れる、まあダンゾーを行かせたからまあこうなるとは思っていたけどもさ。そう思わずにはいられないぐらい、中身は魔物のグルグル巻きで溢れていた。中にはそれよりも隙間なく巻かれているものがあったりするので、それがカグヤの集めてきたものなのだろう。どうかその中にはマトモなものが入っていることを願うばかりだ。

 「ふんふ~ん。」

 カグヤは上機嫌な感じで糸玉を何個か取り出していく、やっぱカグヤが集めてきたものだったんだな、ちょっと安心したよ。もしかしたらその中に小型の虫でも詰め込まれてるんじゃないかって思ってたりしたからさ。

 「私はねえ、これ!」

 そういって糸玉を割って出してきたのは大きめの果物だった、甘い香りがこっちまで漂ってくる感じからしてしっかり熟しているのだろう。まあカグヤが取ってきていることから完熟なのはしっかり分かっているのだけども。

 「……じゅる。」

 あ、カグヤが目をじっと手で持っている果物に吸い寄せられている。あれは確実に食べたいという意志表示、不味いぞカグヤ、お姉さんになるという意志は何処に行ったんだ。

 …いやそんなこと一回も言ってないな、最近ありもしない記憶が蘇りすぎていかんな、このままだとありもしない記憶だけで脳が構成されてしまうよ。

 「…もしこの子が食べなかったらカグヤのものにしていいから。」

 そういうとぱあと顔を明るくしてすぐにこっちにやってくる。あの顔、食べないでねとでも言っているのだろうか、そういった感じの気迫が宿っているように見える。

 「はい!」

 そういって籠の中に果物を入れる、紙魚はというと見向きもしていない。さっきのように目を輝かせることもないし怯えた様子もない。まさしく興味が無いのだろう。

 「……食べていいぞ。」

 「やった!」

 そういってすぐに籠から取り出して口に運ぶ。ああ、口の端っこから汁が垂れちゃってるじゃないか、もう全く。ポケットから手ぬぐいを出して口を拭う、全く手のかかる可愛い子だよ本当に。

 


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