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勝利…?

今回図鑑は書きません、ご了承ください。

一応これで今章は終わりです、長い間お付き合いいただきありがとうございました。

次章は箸休め的なものになります、恐らくメイビー。

更新は明後日になります、ストックまだ作れていないので。

 ボロボロと目の前の巨体が崩れ始める、こんな感じで朽ちていく様はまるで分解者に芯まで絞り尽くされた倒木が何かの拍子で土に帰っていくみたいで、何処か儚さを感じてしまう。

 「やったか。」

 ここでお約束を一つまみ、まだ第三形態が残っている可能性もあるのでフラグぐらい一本立てておかないとね。

 「それ、駄目な奴じゃ。」

 コナラさんが何やってるんだと言った目でこっちを見てくる、いや大丈夫でしょこれは流石に。ここから先にあったとしてもドラゴンゾンビとかスカルドラゴンとか死霊系になるだけで前みたいな反応速度はもう絶対ないだろうし。

 羽が今地面についた、翼膜がどんどんと剥がれ落ちて土に帰っていく、いや帰るという言葉は語弊があるかもしれない。その体自体が土となってそのままそこに存在したことすらも消していこうとしている、こっちのほうがまだ正しいかもしれない。

 「…さっきから一切喋らないな。」

 もうリスポーンしたことになっているのだろうか。いや、それにしてはエフェクトが長すぎる。まだ奴の意志はこの体の中に入ったままと考えたほうがいいのではないだろうか。

 少し近づいてみる、もしかしたらワンチャンのカウンターを狙っているのかもしれない。まだ変化の続いているこの体なら離脱可能だし、俺が様子を見るのが最適解だろう。

 シワシワになり枯れて朽ちる老木のような体表に触れる、その体にはもう温かみなど残っていなかった。

 「死んでますね。」

 じゃあコイツの体は何でずっとここに残っているんだろうか、今まで戦ってきた奴らはすぐに体を消滅させていったというのに。

 顔が崩壊を始める、砂で作った城のように波のように打ち付ける風に攫われて、凶れるな風貌は見るも無残な姿になっていく。

 「……おい。」

 それは突如そこから出てきた。さっきまで俺らと死闘を繰り広げていた奴がまだ液体を注入する前の姿、普段のアバターがそこから出てきたのだ。

 咄嗟に拳を構える、だが動きが一切なく敵意も感じることができない。まるで死んでいるかのように。

 「……そういう事、胸糞悪い。」

 コナラさんが吐き捨てるように言う、どういうことなのだろうか。

 「NPCは死んでも消えることは無い、敵性モブとは違って埋葬されることだってちゃんとある。」

 「それって……。」

 俺らは今まで自分をプレイヤーと思い込んでいるNPCと戦っていたというのだろうか。だがそれはあんまりじゃないだろうか、この見た目からしてそこら辺の村にいるような少女だろう。

 ジュル、何かが飛び出す音がした。目を向けるとウジ虫のように真っ白でモゾモゾと動く気味の悪い幼虫が、彼女の頭を食い破って出てきたのだ。そして俺らの前で蛹へと姿を変えようとする。

 「…寄生虫?」

 そう判断するや否やすぐさまにその生き物を叩き潰す。ぐちゅりと音を立ててつぶれて染みになった。

 「後味最悪だな……。」

 全員が目を伏している。こんなことまでやるのかよそのチーム:ラボってのはよ。頭が逝かれている、狂人という言葉で括っていいもんじゃない、許されないこんなのは。

 「あれぇ~、なんかお通夜みたいっすね。」

 そんな空気が重くなった辺りで捕獲に回っていた白蛙が帰ってきた、手には一つ星のテントウムシを持って。

 「まあ後味最悪だけど、俺らの勝ちってことでいいっしょ。」

 フソウ君がわざと大き目な声でそう発する、俺もそれに同調するように顔を縦に振る。兎に角争奪戦という形では俺らの勝利である、そこだけは揺らぐことは無い。

 「帰りましょっか。」

 成果は達成したというのにこの重さ、それも一緒に背負い込んで俺らは夕日を背負って山を下る。これからも続くであろう因縁も一緒に背負って。



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