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カッコつけたタイトルですが、私はいたって正常です。

 『グフッ……想定外だよ……。』

 自分諸共消し去ろうと放ったメテオをあっさりと、自分が想定していない方法で打ち破られたアイツは血反吐混じりの唾液と同時に吐き捨てるように声に出す。あいつにとってさっきの行動は苦肉の策でもあったのだろう、そうでなければこんなザマにはなっていないだろうから。

 「人生なんて想定外の連続だろ、ましてゲームなら猶更だろうに。」

 こんなことじいちゃんに言ったら馬鹿もんがとでも叱られそうだけども。いやだって行動によって引き起こされる無意識下の必然って結局変数によって変化する偶然じゃん。Xをどれだけ想定の範囲内に押し込めたって偶然の産物っていきなり降ってくるし。

 「で、どうだい。Xにぐちゃぐちゃにされた気分は。」

 『お付きのaにもしてやられたのが結構腹立たしいね。』

 おお、随分と温まってますなこれは湯たんぽも要りませんな。まあ最近の子は湯たんぽなんか知らないだろうな、俺だってじいちゃんちに無かったら一生縁のない代物だっただろうし。

 そんな戯言合戦をしていると、ニュルニュルと体が再生していっているのが目に映った。さっきまでの瞬間再生なんてものはもうそこには無かった。その治りの早さと言えばアハ体験でもしているのかとでも思ったぐらいなのだ、もう奴に即時復帰するほどの体力は残されていないのだろう。

 「ああ、なるほど。だから自爆をねえ。」

 もう勝負は決したも同然だ、だって奴はただでさえコナラさんや俺の速度についてこれなくなっていた。その決定的な差をどうにか覆そうとしての範囲攻撃だったにそれも失敗に終わってしまった。奴は最後に、自分で自分を苦しめただけで終わってしまうのだ。

 「このまま削るだけで勝ち、かあ。」

 なんだかそれだと面白くない、何より俺はまだダンゾーの仇討ちとして強烈なものを叩きこんでいないのだから。ぜってえボッコボコにする、これは確定次項だ。

 「ねえみんな。」

 「大丈夫っす、分かってますよ。」

 「……後腐れするような勝ち方はしない。」

 最後まで言わなくても通じる、ああつうと言えばかあ、阿吽の呼吸とはこういうのだろうか。いや絶対にこの表現は正しくないな、でもこういうのが近いと思ったのだからまあそういう事にしておきたい、いやそうしておこう。

 ゴゴゴと重量感たっぷりの音を響かせて、覆っていた骨が動き出す。どうやら役目を終えたらしくボロボロと崩れ粉となって消えていく。この図体だったから本当は攻撃とかに使う代物なんだろうな、今回はシェルター役、お疲れ様でした。

 「そういえばヤナギさんは?」

 あれから一切見かけていない彼女、そういえば何処に行ったのだろうかとここでいきなり疑問に思い始める。その答えは声より先に行動で判明した。

 「獄門」

 ガシャンと大きな音を立てて上から大質量である門が降ってくる、いや何で門が。

 「お待たせしました、拘束魔法ようやく発動しましたっ。」

 降下してきた門は奴の首、手、尻尾を綺麗に拘束し、暴れることすら止めている。

 「ナイスタイミング。」

 全力をもう出し切れない奴にこれから逆転する術は無いだろう。さて、ダンゾーがやられた分はいまここできっちりとお返しさせてもらおうか。

 「壁破掌」

 門に抑えられた顔に叩きこむ、流石に回復能力がまだ残っているコイツを一撃では葬れないだろう。

 「三千世界」

 それと同時に体をコナラさんが切り刻んでいく。もうプラナリア並みであったあの回復は不可能、バラバラになっていく体を奴はただ知覚するだけであった。


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