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ガシャ髑髏

悲報:またしても日にちを間違える

 『死にさらせぇっ、メテオストライクっ。』

 ガオオっと大きく吠えるような声をあげて魔術を放つ姿勢を取る。名前からして強力なスキルなのだろう、隕石ねえ……まさか自分たちを滅ぼしたモノに頼ろうとするなんて、やはり爬虫類の成り損ないか。まあ奴は自分をドラゴンと言っているあたり恐竜であることは一切認めないのだろうけども。俺も奴がドラゴンだとは認めない、例え口から火を吐こうが、腕がぶっとかろうが、ティラノからかけ離れた見た目になり始めていようが。

 「これってどんな魔術?」

 今まで戦ってきた相手が基本肉弾戦を好んでいた奴らばかりで、誰一人として魔法攻撃を仕掛けてきた奴がいなかった。そのせいで名前を聞いただけでどんな効果があるのかが予想できないという弱点が生まれている。多分この体になってもヤナギさんには勝てないだろう、予測ができないのだから。

 「隕石の雨霰。」

 「まあ、そんなところっすね。隕石豪雨って俺の友達は言ってましたし。」

 なるほど、宇宙空間から飛来する無数の運動エネルギーの塊か、これ俺ら死なない?もしかしてあいつ死なば諸共って感じに吹っ切れたとでも言うのだろうか。流石にそれは冷めるというか、自爆特攻はちょっと品が無いんじゃないかな。

 「防ぐ方法って無いんですか。」

 流石にそんなスペックの技なのだとしたら絶対に対策可能なものを用意しとかないとそれ一強になるだろうし、何かしらの対抗策があると考えるのが妥当だろう。

 「まああるにはあるんすけどねえ。」

 「今からは多分無理。」

 ええぇ、向こうの発動は一瞬なのにこっちは時間かけるタイプなのかよ。流石にそれはバランス壊れてないか。

 「普通はキャストタイムがある、あいつは何故かそれを無視して打ってきてる。」

 ヒューンと物体が降ってくる音が近づく中でそうコナラさんが不審げにそう言っている。普通ならこんな速くメテオは打てないのだと、何故お前は打てるのかと。

 「今それ考えるより、どうやって生き残るかの方が先決ですかね。」

 多分だが俺が生き残る確率は結構低い、何故かと言うとどれだけの範囲が判定に含まれるか分からないからだ。初見の譜面を全良でクリアできる人が普通いないように、俺もそっち側の人間でないから9割ぐらい死ぬだろう。

 ここで死なないためにもできるだけ生き残れるムーブを探さないといけない、これはコナラさんたちだって同じ至上命題だろうしな。某ゲームのように段々と近づいてくる隕石を頭上に控えて僅かな猶予を無駄にしない為にも早く考えないと。

 ブツブツ…、そんな頭で考えていると後ろにはさっき逃げるよう言ったカグヤがそこにいた。何かを呟き続けながら。

 「こらカグヤ、離れてなさいって言ったでしょ。」

 だがカグヤは反応しないでずっとブツブツと何かを呟き続けている。こんなことは今までなかったというのに、いきなりどうしたのだろうか。

 「対抗魔法は無理、避けるしかない。」

 「でもどうやって。」

 まだ何か呟き続けるカグヤを抱きながらそう聞く、もしかして予測できていたりするのだろうか。

 「気合。」

 「……今なんて。」

 おっかしいなー、俺の耳腐ったかな。よーく聞こえなかったからもう一度だけ聞きたいな。

 「全力気合で避ける。」

 いや無理でしょ、流石に。無作為に落ちてくる礫片だって避けられないのにあんなでっかい隕石が何十もは無理だって。

 できるだけ被弾は避けるようにしよう、そう心に決めた辺りだった。

 「外法、餓者髑髏」

 胸に抱いていたカグヤがゾッっとするような低い声でそうしっかりと声にした。こんな声初めて聴いた、そう少し放心していると、ボコボコと地面が抉れて何かが出始める。

真っ白く染まったカルシウムの塊、それは俺らの体の中にあるものと全く同じものであった。人骨だ、それも今目の前にいる奴と同サイズの。

 骨は俺らを守るように上に覆いかぶさっている。これじゃあ俺らはまるで内臓だな、そうとてもつまらないことを考えていると空から石が降ってくる。流石に骨程度じゃ止められないだろう、そう思っていた。だがこの骨はシェルターとしての機能を十分に発揮した。あり得ないでしょ。

 


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