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汝神威を聞け

シューティングスターが長くなりすぎたので、書き終え次第放出します。

 「うええええっ。」

 空から業火が降ってくる、戦争映画だってここまで大量の火を使って演出しないだろう。そしてそんな火は俺ら全員に、平等に降り注いでくるのだ。そう皆にだ、相手への攻撃でなく俺ら全員を巻き込んだツーサイド・ボンバーなのだ。

 「くうっ。」

 咄嗟にカグヤを自分の下にいれて火から遠ざけようとする。いくら復活するシステムだからと言って目の前で自分の子が焼け死んでいく様なんて見ることができるだろうか、いや出来ない。普段から愛しているダンゾーが死んだ時にあれほど頭に血が上ったのだ、カグヤまで今俺の眼前から姿を消したらもう俺は耐えられないだろう。

 背中に火が付く、ああ俺の体は今から焼け落ちていくのだろう。何故こんな自爆攻撃をしようとしたのかリスポーンしたら聞きたいな全く。

 「……あれ。」

 だがいつまでたっても火達磨にならない、それどころか体に付いた火はそのまま体から滑り落ちて地上へと落下していった。なんだこれ、昔絶対に濡れない水をいたずら目的で買ってきた近所の悪友に思いっきりぶっかけられたあの時を思い出したぞ。

 もしかして、この火はロベリアが出す幻覚の霧のようなものなのだろうか。そっと触ってみたものの、温かく感じるだけで燃え盛る火の粉のような危険性のある熱を感じない。あんな赤色巨星みたく大地に降り注いできたのにこんな熱さじゃこけおどしにしかならないだろうに。

 「GuruuruuuttAAAAAaa.」

 そう思っていると俺に組みつこうとしていた蜘蛛モドキのキメラが怒号を上げながらのたうち回っている。その体には大量の火が纏わりつくように絡みついてその体表を燃やし尽くさんとしている。

 周囲を見渡せばそこらにいた生物兵器たちの体に火が燃え移り、その姿を灰塵に帰せんとその姿を黒一色へと染め上げようとしている。

 「いったいこれは……。」

 「なるほど、カルマ値の高い相手だけ燃やし尽くす神の炎、『メギド』か。」

 自分たちの手駒が燃やされているというのに、涼しい顔をしながらその火を遠ざけている研究員が笑いながらそう考察している。

 その間にも奴が用意していたモノたちはどんどん燃え盛っていき、体の先端から炭化して崩れ落ちていっている。見えているはずなのに、何故そんなにも余裕を見せられるのだろうか。体の動きに瞳孔、手の振り方からして本心からこの状況に危機感を覚えていない。

 「はあはあ、何で余裕ぶっこけるのよ……。」

 メギドを放った張本人が、肩で息をしながらそう聞いている。どうやらあの技を使うには相当の体力を消費するようで、それに伴う精神力も大きく削られているのだろう。だからここまで消耗した姿なのだろう。

 「貴方の手駒、もう燃えカスだっていうのにさ。」

 さっきまでそこらにいた改造生物は、今ではもうただの燃えカスのように炭と化し、辺りに転がり風が吹けばそれに伴って崩れて運ばれていく。俺らの目線からすれば奴一人だけと俺ら4人の戦闘になっている場面だ。これだったらもう二人ぐらい捕獲に回した方がいいのではないだろうか。

 「そりゃそうさ、だってさっきのゴミたちは君らを少しでも消耗させるための餌でしかないのだもの。」

 そう言って持っていた短剣を自分の首に突き刺す。自殺でもしようという雰囲気ではない、俺の槍のように中から液体が出ていく構造にでもなっているのだろうか。

 「ああ、自分が失われていく感覚っ。いつ感じてもなかなかに恐怖だねえ。」

 ビキビキと体の血管が皮膚に浮かび上がってくる。華奢な体をしていた研究員は、その見た目から姿を変えていく。それはまるで蛹から蝶へと姿を変える羽化の如く、人間という枠組みから脱却しその脆弱なる肉体を捨てて他なる生物へと変化したのだ。

 「自分すらもモルモットにするのかよ。」

 『ああ、それが私たちの信念なのでね。』

 筋肉が隆起したのちに、その皮膚が段々鱗を生やして体中を覆う。目は人のものから爬虫類独特の縦長なものになり、口から細長くなった舌をだらりと垂れ流す。手足の爪も太くそして長くなり、掴むのにも傷つけるにも最高なものとなる。極め付きは尻尾だ、太く長くそしてしなやかなトカゲの尻尾を生やしたのだ。

 「リザードマンって所か。」

 『酷いこと言うね、私はこれでも女なのだが。』

 「はっ、固有名詞に噛みつくんじゃねえよ。」


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