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王手をかけろ

次の章はもしかしたら番外編みたくなる可能性があったりなかったり。

 拠点から出発して二手に分かれる、片方は援軍チームで俺が調べた辺りを再度調査するのと外周部から抜け出してきた敵を殲滅することを請け負ってくれた。そして俺ら虫班が当初の予定通りにテントウムシを追うことになっている。

 ただ何故かこっち側に白蛙が付いてくることになった、曰く俺個人の戦力がそこまでなので火力の出る人が必要なのだとか。

 「クヌギさん、確かこっち側の方までは調べたんだよね。」

 いつもの無表情振りが拍車をかけているコナラさんがそう聞いてくる、何が彼女をそうさせたのだろうか。

 「あー、あのーその、まあ深い事情がありましてね。」

 俺の疑問に答えたのはバツが悪そうにあっちこっちと視線を変えて目を泳がしている白蛙。恐らく昔何か仕出かしたんだろう、それもコナラさんに対して。

 「そう考えると、よく援軍に志願できたね。」

 そうジト目で問いかけるのはヤナギさん、彼女からしてみれば仲間に因縁のある相手だからそう思うのは人一倍なのであろう。ここは俺が何とか好感度をプラスにもっていけるように頑張らないとな。

 そして会話に入ってこないフソウ君、いつもの君ならこの空気感でも構わずに話しかけてくると思ったのに、何かを警戒しているのかあまり口を開こうとしない。

 『いやあ、私だって口開いたら何かいけない事を滑らしそうで会話できなくなりますからねえ。』

 「誰もお前に話しかけてないぞ、あと心を読むな。」

 俺の心をナチュラルに読む奴らが多いことこの上ない、読心術を身に着けてる奴ら多くないか。まあそれはそれとして。

 「どういう意味だよそれ。」

 『いっやあ、それ言ったら多分藪蛇ですから。』

 なんだよ、こうこっちが聞きたくなる内容をポロっと出したと思ったら隠しやがって。年末特番のCM地獄だってここまでじゃないというのによ。

 あとロベリアがこれをポロっと零した辺りで少し回りの温度が下がったような感じがする。お前幻影だけじゃなくて気温下げる機能もあったのか、だったら今ここでやらないでくれ、ただでさえ薄ら寒いのにこれ以上下げられたらたまったもんじゃない。

 「これが切り裂き姫の殺気か。」

 何か呟いたフソウ君に視線が突き刺さる、お前ら耳良いな地獄耳ってやつか。そこまで耳悪くないんだけどなあ、なんか拾いにくいこともあるんだよな。

 「とりあえずここからは別行動だ、幸運を祈るぞ。」

 俺らの会話を聞いていたのかいないのか、兎に角無視して別働隊たちとここで別れることとなる。

 「そっちこそ、無様に負けてこないで。」

 「やっぱり機嫌悪いだろコナラ。」

 いつもより口当たりのよくない言葉が出てきていますねえ。いいかカグヤ、あんな言葉は使っちゃいけないよ。

 


 「ここから二手に分かれてこの一帯を捜索する、白蛙はどっちもの援護に向かえるよう中心部にいて。」

 俺が探索しなかった岩場地帯に到着したところでそうコナラさんが提案する、この岩場の群衆地点は足場の高低差が激しい代わりに面積はそこまで広くない。二手に分かれて即撃破される危険性も無いだろう。

 「私とクヌギさん、ヤナギさんとフソウさんで。」

 そういって有無を言わさずにチームを組む、これにムッとしたのは白蛙で不満を露わにしている。それでも何か口出ししようとしないのはまだ理があるからだろうか。

 

 「そういえばクヌギさんと白蛙はどういった関係。」

 岩を登って他のメンバーと離れた辺りでいきなりそう聞いてくる。まあ過去に因縁のあった相手がいきなりここに来たならそういった疑問も現れるだろう。そしてそんな相手が仲間である俺と仲良さそうに話してたら疑うよなあ。

 「ああ、白蛙はリアルの方で俺の後輩でね。」

 まあこの程度を知られたところで関係がまずくなることも無いだろう。ネットストーカーの話もあるけど流石にここにいる4人がそうなるとは思えないし。

 「……そう。」

 何か言おうとしていたのだろうけども、途中でやめたように間を開けて相槌を打つ。この二人に何があったのだろうか。

 そのことを聞こうと口を開いたところでいきなり向こうから大声が響く。

 「敵襲――――っ。」

 フソウ君の声だ、こっち側には何もなかった。急いで合流して加勢しなくては。



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