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119/186

コント

予約投稿の時間ズレていました。

申し訳ございません。

 「……まだか。」

 時々後方を確認しては煙が上がっていないかを確認しながら前を進む、テントウムシの数は増えてきているが今まで見つけてきたポジションには一つ星と呼ばれるシリウスは何処にも存在しなかった。

 正直言って俺一人でこれ以上行動するのは難しいだろう、さっきのキメラは最初運営が作り上げた悪意の塊だと考えていたが明らかにおかしいことぐらい何となく分かっている。あの馬鹿みたいに大きなムカデも、姿を消すカメレオンも真っ青なカマキリも、ここにいていい生き物ではない。存在自体がこの場所において否定されるべき生物なのだ。

 「多分あいつらは生物兵器だろう、従魔だったらそもそも死なないしなぁ。」

 従魔に指定したものは死ぬことが無い、その代わりにリスポーンまでレベルや種族によって差が出るが莫大な時間が掛かる。これらを相殺できるのは課金アイテムだけなのだが、正直あのレベルの従魔の為にリアル資金を投入するとは思えない。

 それに従魔化の前提に懐き度が一定以上になる等の条件を踏むか、誰かから譲渡されるというものがある。わざわざそこまでして自爆特攻をする人面蟻を欲しがる人がいるだろうか。

 そこから算出されるのは、さっきまでの奴らは他勢力の尖兵だということだ。内心部に追いやったやつらは先んじてもう行動を取っている。まだ人員を投じているわけではなくこうやってキメラを投入して他勢力や邪魔になりそうな敵モブの排除に時間を割いているタイミングなのだろう。

 今俺がしないといけないことは一つ一つ虱潰しに探すよりも、大まかな場所の想定なのではないだろうかとすら思い始める。もし奴らに視覚を共有する機能があったとしたら、ドローンみたく発見したら信号を上げる機能があったとしたら。俺という異分子は今孤立状態にあり殲滅は簡単、その後に小屋待機組を叩くだけでワンサイドゲームを築くことができる。

 「コナラさん待った方が良かっただろうか。」

 段々自分の考えすら疑い始める、あの場では最適解だと思ったが、他勢力の軍事力が自身の想像を遥かに超えていることを知らなかったからこそ思いついた愚策なのだ。

 だが今ここで後戻りしたところでだ、もう俺という存在は知られてしまっていると考えたほうがいいだろうからだ。奴らがまだ余剰戦力があるのなら退路と進路両方を封じてそのまま登山に勤しみ始めるだろう、俺が取れる選択自体が前進のみになっているのだ。

 自身の先見の明の無さに若干無能感を覚えながらも、隠密を発動させ続けて背丈の大きい草に出来るだけ身を隠しながら走り続ける。

 「……ん。」

 だが前に誰かを見つけゆっくりと音をたてないように速度を下げる、まだこっちを見ていないからバレてはいないはずだ。

 背丈や装備からコナラさんではなさそうだ、もしかして追討部隊がもう行軍を進めたのだろうか。フィールドワークのメンバーでもなさそうだ、他のひとあまり知らないからよく分からないけどさ。

 「おい、前ばっか警戒しすぎだぜ。」

 後ろから男の声が聞こえる、瞬間後頭部に強い一撃。眩暈状態が誘発される、一体いつの間に後ろを取られていたんだ、ちょくちょく確認していたというのに。

 勢いよく草むらへと吹き飛ばされて転がっていく、距離を取れたのは万々歳というものだ。眩暈判定の続く中槍を眼前に構える、多分ちゃんとはできていないだろう。

 「なあ、あれどう思う。」

 「さあ、敵の雇った雑兵ってことにしとこうぜ。」

 何か男たちが話しているがよくわからん、いや分かりたくないね。あいつらは傭兵、ここらのプレイヤーを倒すことで金を貰っているんだろう。面倒なことになった。

 装備からしてそこまで強そうとは思えないが、もしかしたら正体を隠すためにわざと低級のものを装備している可能性がある。それに二対一、人数的に不利だ。

 「さあ死ねいっ。」

 こん棒持った男が走ってくる、眩暈もなんだか晴れてきたころ合いだったこともあってか対処は可能だろう。そのまま強く踏み込んで突きを太ももにお見舞いする、するとそのまま転んで倒れこむ。まさかこいつら痛覚設定切っていないのだろうか。

 「痛え、痛えよぉ。」

 男が患部を押さえて泣きじゃくる、いやそこまでの痛みじゃないでしょ。

 「て、てめえよくも。」

 そういって学習能力が無いのか、また突っ込んでくる。はい同じ処理法パート2。

 「なあお前らってさ、もしかしなくても馬鹿?」

 足を押さえて転がる二人に軽蔑の目を向けながらトドメを差す、いやまじで何がしたかったんだろうこいつら。


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