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捨て駒

ジバクアリって知ってますか?


 羽虫が辺りをブンブンと喧しい音をたてながら飛びまわる、これが普通のハエだとかアブとかそういったものだったらちゃんと観察しようという気力が湧いてくるのだが、ハエ男の恐怖にでも登場していたかと思わせる人体実験に失敗した姿を見せられてやる気が上昇するわけがないだろう。逆に憐れみを覚えるよこんなん、あはれではないぞ。

 先ほどの挑発を理解できているのだろうか、カグヤは発声できなくとも俺の声を理解していた。人体の一部を有していて尚且つさっきの感じからお前言語理解できるだろ。

 「ほらほら、さっさと攻撃してみろよ。」

 槍を持っていない方の腕で挑発するように手招きする、この動きで頭に来なかった知能指数低レベルの魔物はいなかった。特にゴブリンとかゴブリンとかゴブリンとか。

 例に漏れずこいつらもそこまで挑発耐性が無いようで、その手招きに乗って三匹突っ込んでくる。あとの二匹はまだ様子見をしているようで、多少他のより理性があるようだ。

 「五月雨」

 いつの間にか習得していたスキル「五月雨」、効果は突きを何度もお見舞いするといったもので速突の素早さを消して回数を増やしたものだ。

 「おらおら、避けないと死ぬだけだぞっ。」

 なんだか今日のテンションおかしいな、いつもだったらやらない挑発をしたからだろうか。いや人目のつかない所で結構挑発の練習とかしてみたことあるんだけどもさ。

 突きが2、3と蟻の体に当たっては体液を吹き出させていく。この体液にも酸の効果があるようで、地面にあった小さい倒木に当たっては焼き溶かしていっている。ヤバいなこいつら、ジバクアリかなんかかよ。

 「殺す、助けて、死にたくない、死にたい。」

 さっきから支離滅裂なことを熱に浮かされた患者のように言葉にしては暴れまわっている。もう本当にこれを設計した奴はサイコパスとしか言いようがない、このゲーム子供もやってるんだぞ、トラウマになったらどうするつもりなんだまったく。

 「死は救済、ってことで楽にしてやる。」

 一匹翅蟻が力尽き、その翅を弱弱しく暴れさせながら墜落する。するとその死体が段々と膨らみ始めるではないか。おいおい、見覚えある状態だぞこれ。

 「これってキャタピラーの時と一緒じゃねーかっ。」

 急いで死骸から離れようとするが、それを妨害しようと待機していた二匹が同時に突っ込んでくる。こいつらさっきまで連携のれの字も無かったというのに、ここぞとばかりにいやらしい場所を攻めてくる、お前らいきなりどうしたんだよ。

 「あっ。」

 突っ込んできた蟻の対処に手間取ったせいもあって十分な距離を稼ぐことのできなかったため、爆発範囲から逃れることができなくなっていた。

 ブシュウと辺りに体液がまき散らされる、まさしくキャタピラーの時を思い出す光景だが、あの頃と違う要素はあっちは激臭で他己防衛用、こっちは強酸という完全に攻撃に振り切った自爆という所だ。

 「あっつ。」

 痛覚なくとも温度は感じる、そのシステムを悪用した攻撃だ。流石にヤケドを負わせるような温度では無いのだが、それでも熱いものは熱い。

 「防具だけ溶かさないで内部の肉溶かしてくるとか、分かって無いな本当。」

 そう、防具は一切の無傷。こういったゲームだとか創作物だと防具を溶かすのが主流だというのに、そこら辺のコンプラは順守するんだな。

 倒す順番は考えないといけない、狙うはさっきから様子見を繰り返している二匹、あいつらが一番頭が良くて狡賢い。それに他のとは違って死にたがっていない。

 生への執着は力への繋がりをもたらすのだ、他の直線馬鹿より先に潰さないと残りの二匹を使った自爆特攻を繰り返してくるだろう。

 受けは不利、無理やりにでも攻勢に出る必要があるだろう。幸いそこまで体力が高いわけではない、こっちが消耗させられる前に決着を付けよう。



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