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三人寄ればなんとやら

絶対に投稿時間を間違えない(鋼の意志)

 「お、あそこが山小屋かな。」

 あれから30分、えっちらおっちら山道を登って歩いてきたが、道中何もおかしなこともなく安全にここまで来ることができた。え、捕獲できるって意気込んで逃がしたあの失態は何もなかったに含まれないのかって。話さなければそこに何があったなんて誰も分からないだろ、つまり誰かが話さない限りあの場では何も発生しなかった、いいね。

 「あ、クヌギさん、よかった無事だったんですね。」

 先にもう着いていたようで、小屋前で待っていたヤナギさんに声を掛けられる。横にはどこか落ち着かない様子ながらも無事なフソウ君もいて、向こうに襲撃は来なかったということが様相から分かる。となると随分と待たせてしまったのではないだろうか。

 「なあクヌギさん、コナラさんは何処行ったんだ。」

 ソワソワしたままそう聞いてくる、何故落ち着いていないのかと思っていたが、そういうことか。

 「襲撃された時に囮になって敵を引き付けてくれてたんだ、やっぱりまだ来てないんだね。」

 そう事実を話す。実際あそこで囮になってくれなかったら、俺は確実にここまで来れていない。

 「そうか……なあヤナギ。」

 「駄目、するならここで待機よ。」

 凄いな、つうと言えばかあとはこう言う事だろう。まあ今回は俺も何となく言いたいことは分かってたけども、それ以上に反応が早いな。それ程までに一緒に活動を続けてきたのだろう、もしかしたらあっち方面の可能性もあるけども。

 「そういえば、何故だかチャットが送れなくなっているんですよ。」

 今二人のやり取りを見て思い出した、増援を呼ぼうにも、助けを求めようにも何処にも連絡することが叶わない状態であったということを。もしこの状態が俺だけだったなら、バグ発生の可能性もある為運営に報告したいところだけども。

 「いや、こっちもそうなってるぜ。」

 「ええ、恐らくジャミングしてる奴らがいるんだと思う。」

 二人がそう答える、どうやら俺だけでなくこの一帯でチャットなどの連絡機能が使用不可状態になっているらしい。しかしそんなことできるのだろうか、それって最早システムへの介入じゃないだろうか。

 「一応限定的な範囲だけの術だけど、今回のは異常すぎるわ。」

 ヤナギさんが、恐らく無知である俺に補足として説明してくれる。成程、普通はここまでの範囲で妨害活動は出来ないんだな。まあこれが普通だったら各地で情報統制とかスパイ防止みたいなことされてるだろうしね。

 「そういえば連絡機は使えますか、あの後コナラさんが持っていったままなのでもしかしたら。」

 唯一この状態でも会話ができた装置、連絡機に望みをかける。もしコナラさんがもう逃げ切っているのなら、場所を特定できるだろうし待機か合流か選べるだろうし。

 「さっきから試してみたけど一向に返事が返ってこないの。」

 多分まだ逃げているのかそれとも戦っているのでしょうね、とまでは付け足さなかったけども、確実にそういうニュアンスで彼女は結果を話す。

 正直言って俺はコナラさんの強さを知らない。知っているのはカグヤの毒を受けても普通に耐えられる性能をしているということだけだ。でもそれだけの人が副団長という座にいられるはずがない。普通に強いはずだ、俺を離れさせたのも足手纏いになるだけだったからのはずだ。言ってて悲しくなるけども。

 「……なああれ。」

 そう考えこんでいるとフソウ君が何かを見つけたようで指さしている。その先にはテントウムシ、残念なことに背中にある星は三つで今回の目当てでは無いけども。

 「中心部に避難しにきた個体かな。」

 まあそりゃあ外周部であれだけの怪物が暴れまわっていたらここまで逃走しにくるだろう。もし俺が野生化の動物だったら、確実に同じ行動を取っていただろう。

 「…ん、いや待て。」

 中心部に避難しに来た、というのは果たして正しいのだろうか。先ほどの言い方やあのムカデの存在からして、第三者が同じ目標を得るためにここにきていることぐらいは分かってきている。そんな奴らがわざわざここの捜索をしないなんてことするだろうか。

 「……ええ、彼女らはここに集められている。」

 追い込み漁だ、周辺を脅かし逃げ道を一方向化させ一網打尽にするあれだ。今回俺らもその網の中に入り込んだ外道なのだ、同じように等しく狩る対象かそれともほっぽりだす代物かは不明だけども。

 「……それでも待ちましょう、コナラさんがいない時点で戦闘なんて勝ち目がないもの。」

 そう、現地戦力は僅か三人。周辺部隊数が未知数である以上下手に動けない。コナラさんの合流が先か、それとも俺らが殲滅される方が先か。もしくは先に捕まえられるかだ。


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