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不人気理由、身をもって知る

本日三度目の投稿(今日中にこの後の投稿は多分無い。)


ブックマーク、評価ありがとうございます!……まだの方はしてくれても…いいのよ?


「おや、あんたがあんな依頼受けた物好きかえ。」

 依頼書に書いてあった場所に向かうと、背中の曲がった老婆が開口一番に嫌味っぽい口調で話しかけてきた。あんな依頼って自覚あったんだな。

「ええそうです、クヌギと言います。よろしくお願いします。」

 とりあえず挨拶。挨拶は大事だって古事記にも日本書紀にも書いてある。なんなら風土記にも…書いてるわけないか。

「ふん、名前なんかどうでもいいわい。さっさと仕事しな。」

 態度が悪いなこの婆さん。流石にフラストレーション溜まるぞ。

『クエスト: 薬草保護の依頼─キャタピラーの駆除─を開始します。討伐数0/10』

 クエスト開始のアナウンスが鳴る。さて、薬草畑から芋虫の駆除始めますか。


「でっか……これ何センチあんだ、腕一本分ぐらいの長さあんだろ。」

 それは芋虫と呼ぶにはあまりにも大きすぎた、大きく肉厚で、体色はあまりにも大雑把だった。こんな大きさの虫が存在できるのだろうか。まぁゲームだし可能なんだろうが。

 しっかし、鈍い。動きがのっそのっそとしてかわいらしい。見た目は蛾の幼虫を想像していたが、フォルムは丸まっていないカブトムシの幼虫に近い。もしかしてカナブンやコガネムシ系列の幼虫なのかもしれない。手足を必死に動かしてトコトコと移動していく。

 段々好奇心が湧いてくる。腹をつついてみる。柔らかくブヨブヨとした触感が指先に残る。

 つつかれたキャタピラーはいそいそと動いて逃げようとする。もっと突っつくと丸まって身を守ろうとする。うん、かわいい。

 次に持ってみる。藻掻くがそれだけ。ダメージを与えてこない。あらかわいい。

 まずいな、このままだと殺せなくてクエストをリタイアしてしまうことになりそうだ。思い切って殺ろう、害虫だから駆除依頼が出ているのだ、下手な同情はしてはいけない。

 意を決して足元を歩いている一匹に青銅の剣を突き立てる。キャタピラーはその一撃で息絶えた。そして同時に体液を辺りにまき散らす。爆発した、死んだ瞬間に内から爆ぜたのだ。

「くっっさ。カメムシとは違った臭さだこれ。」

 酷い悪臭だ。あの魅惑の体内に、こんな臭いを隠していたとは。臭いの分類的には腐敗臭だろう。ログインの浮遊感がまだ残っていたらやばかったな。確実に吐いている。

 気持ち悪い体液が体中に吹きかかっているが拭うものが無い。後で井戸を借りて水で流そう。

「これここで駆除しない方がいいかもな。」

 悪臭体液が降りかかった薬草なんて誰も口にしたくないだろう。肥料とこれはまた別の話だろうし。

 とりあえず一匹ずつ抱えて畑の外に出し、そこで処理しよう。臭いの影響も考えて何もない草むらの方でしよう、そうしよう。早く終わらせたい。

いつもご愛読ありがとうございます!

感想いつでもお待ちしています…わよ?

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