一方
最近ネタが切れかけています。
何かいいアイデア浮かばないですかね。
「なあ、向こう平気だと思うか。」
「大丈夫でしょ、コナラさんいるんだし。」
山岳地帯へと足を進めるフソウとヤナギだが、連絡機から無音だけが流れてる現状に焦りを覚えており、この会話をさっきから何回も繰り返している。
「……いつもの軽さを戻しなさいよ。」
「無理だって、確実に狙われてる味方がいるのにおちゃらけるのなんて。」
いつも軽く物事を流しているクセに、こういったときだけちゃんと真面目になるというか、臆病になるというか。楽観視し続けられるよりかは全然いいだろうけども、こうも切り替わられると調子が狂うというものだ。
「クヌギさん心配だな。」
「何、コナラさん信用できないの。」
さっきから本当にこの調子だ、正直言っていい加減にして欲しい。こういったことは今までに何回もあっただろうに、何故今日に限ってここまでセンチメンタルになっているのだろうか。こうも気が狂わされては、こっちの気も滅入ってくるというものだ。
「……そういうつもりじゃねえよ。」
頭を掻きながらそう答える姿からは何もできない事への苛立ちが強く出ているように見える。こっちからアクションが取れない以上合流地点へ急ぐのが一番の協力だというのに、もう目先のことから頭が離れてしまっている。
「私たちがしないといけないことはまず合流地点に行くこと、違う?」
「……そうだよ。」
ようやく目的を思い出してくれたようで、頭を掻くのを止め前を見るようになった。まったく私がちゃんと付いていないとすぐにこうなっちゃうんだから。
「ほら、だったらさっさと行くよ。」
ベースキャンプに馬を置いて進む、ここからの道は険しすぎて普通の馬では足を踏む外す可能性が高すぎるからだ。ベースキャンプ内では誰かに盗まれることもないし、魔物に襲われることもない。餌を桶にある程度入れておけば何日間も持つだろうし。
「わーった、待てよ。」
……ほら、そっちの方がいいよ。軽く受け止められるというのは一種の才能で、楽観視したくとも出来ない私からしたら羨ましい能力だ。それにそうやって明るい顔しているほうがやっぱカッコいいよ。
「なんだよ、顔になんかついてるか。」
「……なんにも。」
もう、こんな時だけちゃんと見るのやめてよ。
「山ってこっちだよな。」
視覚を便りに段々と険しくなっていく獣道を進む。セレストは大丈夫だろうか、そろそろ降りて徒歩で向かうのが正解なのではないだろうか。
「うーん、俺ちゃんと戦えるかな。」
基本今まで足場がちゃんとしていた場所で戦い続けてきたのだが、この山岳地帯は斜面や岩石など足場があまり良くない場所での戦闘が増えるだろう。特に足腰を使う槍だというのに、踏み込めないとなると結構DPSに期待はできなくなる。
恐らく足場関係なく自在に動くことのできるダンゾーに頑張ってもらうほかないだろう、それとカグヤの鱗粉も今回最も活躍することになるだろう。
「うわぁ……。」
そう考え事をしていると、沼田場に遭遇する。何故ただの泥沼じゃなくて沼田場だと分かったのかって、そりゃあ浴槽みて風呂だと分からない人がいても、入浴中の人がいたらそこが風呂だって分かるだろう。
そう、ここの利用者が思う存分に泥を浴びている。イノシシだねぇ、立派なサイズだねえ。
「あ、気づいた。」
目と目が合うその瞬間、両者の視線は絡み合い時間がゆっくりと進んでいく。互いにどうするか迷っていると奥から一頭、子供連れの大きい個体がのそりと進んで泥に入っていく。
「……警戒心というものが無いな。」
多分こいつら強い、だって見つめ合ってた奴ももう飽きたのか気にせず泥に体をまた擦り付け始めたからだ。一切の警戒心が無いということは、警戒する必要が無いということだ。もしかしたらただ馬鹿な可能性もあるけど。
「見なかったことにしよう。」
幸いそこを通る必要は無さそうだし、気に掛ける方が面倒なことになるだろう。互いに不干渉なのが丁度いいだろう。
「さっさと合流しますかね。」
そういえばさっきから瓢箪から一切声が出ない、もしかして気絶でもしたのだろうか。
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