82 剛のモノ
ミヒャエルさんが鎧を着たサムソンをひょいっと背負った。サムソンもガタイが良い方だけど、ミヒャエルさんの方が凄いな。
「ふふふ、スベスベだぁ…あぁ!?」
メアリーがいけない扉を開きかけている。百合はどうなんだろ?と思っていたら抱っこしていたジュリアを落とした。頭からいったな。鈍い音が響く。
「ぐえ!?あ…メアリー?マチルダ?それとマイダーリンを背負うイケメン?」
ジュリアの意識が戻った。頭から流血が酷くなったけど。ほらメアリー。ジュリアのスカート捲れてるから戻してあげて?ガン見してないでさ?セクシーランジェリーが見えてますよ?
「…ジュリアの彼処ボーボーだよ?パンツを突き破ってるよ?ええ!?処理しておこうよ?私でも最低限してるよ?マチルダなんて、いつかビキニアーマー着るためにビキニライン完璧なんだよ?」
「ちょ!?ちょっと忘れちゃっただけだからね?何時もは完璧なんだよ?昨日はちょっとね?えへへ?」
「…メアリー?何故ばらす?」
ほら、ミヒャエルさんの耳が赤い。大声でギャーギャー騒いだら聞こえるよね。ごめんよ?
意識を取り戻したジュリアに肩を貸して歩く。サムソンはイビキをかき始めたから大丈夫だな。程なくして門に到着した。
「森でこの二人が倒れていたんだ。最低限の手当てしか出来なかったから、後は頼んで良いかな?」
ミヒャエルさんが門番さんにサムソンを引き渡した。
「ジュリアはどうする?治療してもらう?」
「うーん?これくらいなら自分でヒールかけるよ。ヒール!そしてマイダーリンにもヒール!」
私がジュリアに聞いたらそんな返答だった。できるなら早くかけてよ。ジュリアのヒールはミヒャエルさんのヒールより回復量が多く見えた。
傷が癒えたけど、サムソンはイビキをかいて眠ったままだ。ジュリアは付き添うみたい。
「そういえば、ジュリアの弓盗まれたんでしょ?」
「あ!?そうだった。でもあれ、私以外引けないから大丈夫かも?興味本意で試しに引くと指とれちゃうからね。転売するにしてもオールミスリルだから目立つよ?」
弦までミスリルだもんね。ミスリルのハチマキと胸当て、あと弓掛は無事だったようだ。
「ふごっ!?あれ?詰所だ…ジュリア?」
「マイダーリン!」
サムソンが起きたら、熱い口づけが始まった。さてとギルドで報告だね。サムソンは同僚に、ジュリアは女性の衛兵さんにげんこつを食らっていた。自業自得だ。
色ボケの二人をおいて、ギルドに到着した。
「エリー!ゴブリン10体完了だよ?」
「はい。魔石ね?」
「お疲れ様でした。どうでしたか?ミヒャエルさん?」
「あぁ。何とかなりそうだが、仲間は必要かもしれんな。戦闘以外の依頼も視野に入れなければ…あと住む場所が欲しいんだが、料理の上手い宿はあるかな?」
メアリーがエリにゴブリンの魔石を渡してくれた。ミヒャエルさんも今日の感想を端的に語っていた。
「うーん?宿ですか。この辺りの料理がおいしい所は埋まってますね。料理なしの所でギルドに食べに来るとなるとお値段がかさみますし…困ったなぁ」
エリか眉毛を八の字にして困った表情だ。これは!安心させなければいけない!
「ミヒャエルさん、うちのアパートに住みなよ?部屋空いてるから。行くときに会ったキョーコの料理おいしいよ?なんならパーティーに加入しない?」
ミヒャエルさんなら大丈夫な気がする。はじめての男性居住者だけど、サムソンがもうすぐ住みそうだからな。
「良いのか?」
「ミヒャエルさんなら歓迎だよ?ね、メアリー?」
「そうだね。私の拷問部屋も見せてあげるよ!」
ミヒャエルさん若干引きぎみだけど、契約成立だ。
「そうそう、森でね?ジュリアとサムソンが血を流して倒れてたんだ。ジュリアのミスリルの弓が盗られたんだって。ヒールかけて門の詰所においてきたよ」
「ちょっと!?何故それを先に言わないんですか!」
「だって、サムソンが起きたら熱い口づけ始まったんだもん」
「…なら仕方ないですね。えーと、ジュリアのお母さんから捜索願いが出てまして、マチルダさんとメアリーさんに頼もうと思ってたんですよ。ほらこれ」
エリが依頼書を見せてくれた。何々?うちのジュリア知りませんか?あとサムくん。見つけた方にはキョーコ特性の焼きそばをあげます。とあった。報酬が焼きそばですと!
「じゃあ依頼達成だね!」
「マチルダ、焼きそばだよ!」
「では、依頼達成と。今日は二件の依頼達成ですね。報酬はどうしますか?」
「ミヒャエルさんにいれておいて?焼きそばは帰ったら直接貰うよ」
「良いのか?助かる。手持ちがほとんどなくなってたからな」
明日はミヒャエルさんを防具屋さんに連れていこう。服は頑丈そうだけど、防具はほしいよね。
夕暮れの道を三人でアパートへと戻った。アパートから良い匂いがしてきた。




