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69 酒の一滴は血の一滴

 思い出した。お酒だ。キモデブハゲの屑勇者にこぼされてしまったっけ。沸々と怒りが沸く。お赤飯のおにぎり五個と交換した幻のお酒グラス一杯の恨みだ。


「おうおう?この手か?この手が私のお酒に対してグラスをぶつけた手だな?そんないけない手はこうだ」


 持っていた刀でキモデブハゲの右手親指の爪を割る。いけね下まで貫いちゃった。親指の先が二股になっちゃった。


「ぎぃやぁぁぉぁ!?許して?許して?」


 私の酒の恨みを思い知るがいい。酒の一滴は血の一滴だ。オラオラオラァ!!


 悲鳴しか聞こえなくなる頃には、太陽はもう既に高い位置にあった。


「ふー。そろそろ終わりにするよ?」


 ヒルデさんの口調が元に戻りはじめた。キモデブハゲ、ギード、メガネ、おばさんの首に縄をかけていた。吊るのね。あの木に吊って見せしめにするのね。


「エリアハイヒール!マーちゃん?そんなに優しくないよ?苦痛を長く味合わせるのよ?」


 ギードが激痛に絶叫しながらも体外へと異物が取り出され、傷が回復していく。白眼をむき、大小漏らしながら気絶した。お爺さんの矢じりの怖さが見せつけられた。普通の矢じりや武器ならこうはならない。普通に体外に出てくる。サムソンに刺さっていた槍もきれいに抜けてたしね?こうなることがわかっていたようで、ハイヒールをかけたヒルデさんが怖い。


 キモデブハゲ、メガネ、おばさんは既に倒れている。


「はい、メアリーちゃんの針だよ?クリーンかけといたからね?綺麗綺麗にしておいたからね?」


「ありがとう!ヒルデさん!」


 縄を引き摺ってイモ村に到着。ギルドへ向かう。


 ギルドに着くとエレナさんが遠い目でぶつぶつ言っていた。なんだろう。何かあったのかな?


「エレナさん。おはよう?どうしたの?」


「あ、マチルダさん。おはようございます。ねえ、嘘でもいいから嘘って言って?ねぇ嘘って言ってよ?ジュリアに彼氏ができったって…モテてるって」


 ふと横を見ると勝ち誇ったドヤ顔のジュリア、エレナさんの肩を叩いて首を振るキョーコがいた。


「エレナさん。嘘だよ。安心して?ジュリアに彼氏ができたのは本当だけど。モテモテではない。あと、こいつらの処遇はギルドに任せるね?」


 エレナさんは崩れ落ちたけど、顔を上げて聞いてきた。


「マチルダさん、兵士の時の同僚でカッコいい人いないですか?」


「いい人は……皆先に逝ってしまったよ?いい奴らから死んじゃったから…敵も味方も…」


 思っていたより重たい返答だったのかエレナさんは暗い顔だった。あれ?使えねぇなこいつって顔じゃないよね?違うよね?ねぇ違うって言って!ああああああぁ…あぁぁぁぁぁ!!!エレナさんの隣に、私は崩れ落ちた。


 キモデブハゲ、メガネ、おばさん、ギードが屈強なギルド職員によって連行された。イモ村にこんなギルド職員いたんだね。このあと移送されて王の都のギルドから衛兵さんに引き渡しになるそうだ。安全ルートで行くようだ。帰り道に街や村で石でも投げられるがよい。帰り道の馬車は鉄の折が丸見えの馬車のようだ。あそこに見えるあれかな?


「ねぇねぇジュリア。馬車を破壊したのはどうやったの」


 メアリーが興味津々で質問していた。あんなもの人体に使ったら赤い霧になりそうだ。だって馬車爆ぜてたもん。


「あれはおじいさんの爆裂の効果がつけられた矢をつかったの。でもさあんなの都で買うとなると一本で砦が作れそうな値段だよ」


「フフフ…リアル一等地に家が建つだよ…さすがお義父さま」


 あれ凄かった。銀色の光が尾を引いて真っ直ぐ馬車の中心のフレームに当たったかと思うと弾けて馬車が四散。なかの屑達が転げ落ちてたもん。爆裂の効果か。あの戦の時に使われなくて良かった。ええ。本当に良かったよ。あんなの食らったら、ミリーの盾ごと爆発四散して木っ端みじんだよ。


 私とエレナさんが立ち直ったところで、お爺さんの店へと向かった。イーちゃんごめんよ。今日は首ないんだよ。また今度ね。


 お店にやってきた。お店の入り口付近にミスリルの甲冑が鎮座ましましていた。少しだけ奥に置かれている片っぽ小手のない埃の積もったミスリルの甲冑よりは迫力がない。でもなに仕込んだの?私は騙されないよ?


「おおマーちゃんはわかるか?銅の部分は弾く効果を付けておいた。射手ならば撃ったはずの矢が自分に飛んできて、両刃の剣をつかう剣士ならば自分に近い方の刃が自分を切ることになるだろう」


 剣はいいとして、矢は怖いな。弾かれた矢が射線を横切った別の人に当たりそう。敵ならいいか。


 鎧はジュリアのアイテムボックスに入れられた。愛しのサムソンの鎧だもんね。最強の門番が出来上がりそうだ。


「そうそう馬の名前決めましたよ。エドにしました。しゃべりそうでしょ?」


 キョーコが馬の名前を発表してくれた。名前はいいと思う。でもしゃべりそうって感想がよくわからない。みんなその部分については微妙な顔つきだった。よろしくエド。


 そしてもう一頭の馬。騎士とキモデブハゲたちの馬車を引いてきた馬はイモ村のギルドに引き取られた。丁度ギルド用馬車の馬が欲しかったようで、買取りしたいって打診された。馬もエレナさんを見て、僕こっちの子になるって聞こえた気がした。面食いだな。引き渡し完了。


 お昼ごろ、大量の負傷した冒険者がギルドに来たので、エレナさんに挨拶をして冒険者ギルドを後にした。さて帰ろうか。私はあのお酒と街の中華料理を要求したい。食べれなかったしね。

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