66 絡まれた
「いいですか?流石に街で襲うのはダメです。衛兵さんがきます。なので街からイモ村までの道中かイモ村で襲います」
我が国の衛兵さんは優秀だ。ちょっとしたことでもスタァァァァァップって止められる。そして連行されるか、袖の下渡すか、生死をかけた闘いになるかだ。勇者様が言う裁判とか人権なんてない。
「質問はありますか?」
「ないです。おやすみ!ぐー」
「私もないです」
街からイモ村までの道中なら、モンスターは出てくるが、その他の邪魔はないだろう。イモ村だとどうだろうか。ちょっと遅れると既に勇者様達は半殺しになっていて死体置き場に捨てられているかもしれない。それだとつまんないよね。そうなる前にイモ村につかなくては。
「それじゃ明日も早いよ?おやすぐー」
ベッドに入った瞬間にヒルデさんが熟睡。これがハイエルフの能力。恐るべしぐー。
明け方目覚める。も仲良く二度寝。宿屋の方のご厚意でお弁当を作ってもらった。さて出発だ。太陽がさんさんと輝いている。
「まーちゃん、メアリーちゃん、行くよー!」
シュババ!街へと走り出す。シュババ!
途中、何体かゴブリンを跳ねるも無事到着。大きな街だな。夕暮れ時の街はまだまだ活気があった。
「今日の任務はここまで。そして今日の宿はここです!」
隊長からヒルデさんに戻った。たぶんここも料理が美味しいはず。そして持ち込みの素材で調理もしてくれるのだろう。私はあのお酒また呑みたいよ。
チェックインして、食堂に向かう時に、メガネのキモい奴とすれ違った。やだな。今から食事なのに。はぁ。
食堂を見渡すとキモデブハゲが中央にいた。やだな、今から食事なのに。化粧の匂いがきついおばさんまで。やだな。
ヒルデさんが一番隅の席に陣取ってくれた。
「美味しいものを食べて気分を変えましょ?あんな大人になっちゃダメよ?まーちゃん、メアリーちゃん」
そうね。私たちはあんな大人にならないようにするよ。ヒルデさん!
続々と料理が運ばれてきた。さっき素材を渡してきたから。これでシェフが思い付くままに作って呉といってね?肉、野菜を中心に渡してきた。
「お待たせしました!ギョーザ、麻婆豆腐、回鍋肉です!」
机に並べられた行くお料理。刺激的な香りだ。頂きますか?
「ほぉ、中華か。うまそうだな。俺らにもあれをよこせ?」
「あちらは素材を持ち込みされたお客様限定のメニューになります」
折角のごちそうのひとくち目を前に、キモデブハゲが口を開く。その臭い口は閉じておけ?
「ならば、あれをこちらへ持ってこい?俺たちが誰だかわかってるな?」
「できないものはできません!あうっ!?」
ウェイトレスさんがキモデブハゲのビンタをくらいこっちに吹き飛ばされた。メアリーが食べようとしていたギョーザが吹き飛んだ。これを見たキモデブハゲとその回りの連中がゲラゲラ笑っている。
あ、これヤバイやつだ。ヒルデさんの麻婆豆腐も溢れてしまっている。あばばばばば!!
「おいはげ?食べ物を粗末にするとは何事だ?あぁん?」
「いつからこの宿は豚小屋になったんだい?」
ヤベェ、メアリーとヒルデさんがキレた。私は知らないからね?
「ほぉ?姉ちゃんたち?俺たちが誰かを知った上で、そういう態度なんだろうな?」
キモデブハゲが持っていたグラスをなげた。私のグラスにあたって砕けた。私のグラスにはハイエルフ秘伝のお酒が入っていたのに。ヒルデさんに赤飯のおにぎり5こ渡して手に入れた最高の一杯だったのに。一口も飲めずに…
「黙れキモデブハゲ!誰だろうが知るか!!」
私はテーブルに載っていたフォークとナイフをキモデブハゲに投げそうになる直前。
「スタァァァァァップ!!首長の命令により止まれ!お前はビッグシティとその国の民に対して罪を犯した。何か釈明はあるか?」
衛兵さんが来てくれた。こらしめてくだせぇ。衛兵さん!
「あぁ?」
衛兵さんを睨み付けるキモデブハゲとその取り巻き達。くくく。連行されてしまえ!
「まぁ、まぁ、ここはこれで…」
「そうですよ?衛兵さん?」
キモいメガネと臭いおばさんが衛兵さんに袖の下渡してた。
「つまらないな。もっと手こずらせてくれるかと思ったのに」
衛兵さん帰っちゃった。よし。投げよう。
「死ねや!キモデブハゲ!!」
私の投げたナイフはキモデブハゲが臭いおばさんで防いだ。フォークはキモいメガネで。
「ぐふぅ!?」
「げはぁ!?」
「あぶねっ!?おいおいこんなの食らったら大変じゃんか?」
キモいメガネと臭いおばさんは自力でポーションをかけていた。まぁ、私はこれ以上しないでおくよ?私はね?
「お姉さん。危ないから下がってようか?」
私は吹き飛ばされたウェイトレスのお姉さんと共に避難する。そして他のお客さんの避難誘導に徹するとしよう。あとこれ修理代です。お納めください。
「おい、お前達!こんなところで騒ぐんじゃない。」
「最強の武器と防具を手にいれるんだろ?ずらかるよ!!」
「ちっ。仕方ねぇな。あばよ!!」
キモいメガネと臭いおばさんの言葉に、キモデブハゲが煙玉を投げた。メアリーに直撃。もくもくとする食堂。くそう、折角のご馳走が………




