63 特殊遊撃隊発足
ハイエルフ出席の御前会議は閉幕した。明日は準備で、明後日からかと思ったけど、明日の午前中に準備、午後出発になった。なかなかハードだな。
明日のことを考えながら早めに終わらせてあげようか。抜け駆けしたジュリアを吊し上げるの。まぁ、これはこれ。それはそれで、おめでとうを言った後、縛って吊し上げられて罵声を浴びせられている。あら?エリとシルビアも参加してるのね。罵っちゃえ!
翌日は早朝に朝市へ。キョーコに美味しそうな物を購入してもらう。なぜかヒルデさんはお酒の樽見てるけどなんだろう?キョーコに買わせてた。買い物が終わると足早にアパートへ戻り、調理開始。キョーコいないと料理できないじゃんって今朝気がついた。ハイエルフがべそをかくので、私が提案したんだ。調理済みの物をヒルデさんのアイテムボックスと私達のマジックバッグへ入れていこうと。
この提案に、ヒルデさんは泣き止み、今は椅子に座って足をぶらぶらさせている。待ち遠しいみたいだ。
「ヒルデさん、出来た奴からしまっていって?」
キョーコがいろいろと作ってくれた。おほう、美味しそう。こらそこの耳長、つまみ食いするんじゃない。これを食べ尽くすと、私とメアリーの創作料理だからね?ジュリアはキョーコと一緒だから高見の見物だね。く、勝ち組だよ。うがぁ!
キョーコが昨日握っていたお赤飯のおにぎりとオークのステーキを私とメアリーのマジックバッグへ入れてくれた。
「とりあえずこれだけあれば、ヒルデさんが料理独占しても飢えないよね?」
おそらく先行している、勇者様御一行の乗った馬車は、大きな街の二つ手前の村で宿泊して午前中に出発するくらいだと思う。夕方には次の村、次の日の夕方には大きな街へとたどり着くだろう。整備された道を進むと3日ほどで大きな街へとつく。そして次の日は馬車をノンストップで駆け抜けイモ村へと到着する。最短で4日の行程だ。
「ねぇ、マチルダ。そろそろ大きな街じゃなくて名前で呼んであげなよ?」
メアリーから提案されたけど、ビッグシティだよ?命名した勇者様はもう故人だけど、成仏できない呪いをかけてやりたい。キョーコに聞いたら直訳だってさ。折角の港町なのに。
「わたしならそうね。ピュアウォーターにするかな?港町なら。水に関係する方が良さそうだよね?」
キョーコはサイレントヒルの出身だと言ってたな。ピュアウォーターか。ビッグシティより良いよね。でもあの大きな街はビッグシティなんだよ。現実は酷い。
「そんな事言ったら、途中の村の命名も酷いじゃん。一村、二村だよ?王の都から一つめの村と二つ目の村だから」
考えてみるとイモ村も酷いよ。イモが採れるからイモ村だよ?ドワーフ置いてきたんだから、何かドワーフに関係するのにすれば良いのに。あれ?イモ村って命名したのババアか?
「まーちゃん?勇者様は名前着けなかったから、後の勇者様が着けたんだよ?襲ってきた勇者様が腹いせにね?それが定着したのよ?」
イモ村の命名は200年ほど前にやって来た、俺に最強の武器を寄越せと言って村をあげて半殺しにされた勇者様改め屑が腹いせに着けたものが定着したとのこと。あの村にはイモしかねぇ。それが遺言だとさ。
「ただいま、馬車とってきたよ?お姉さんから馬の名前決めてって言われたよ」
ジュリアが馬車組合から帰って来た。馬車をとりにいってくれたんなよね。たぶんジュリアの言うお姉さんは受付のジャスミンさんではなく、本当のお姉さんのルシアさんだろう。
「じゃあ、キョーコとジュリアで決めてよ?イモ村で待ってる時間にでもさ?」
キョーコとジュリアは馬車にのり山越えのルートでイモ村を目指す。普通なら死ぬルートだけど、ヒルデさんが魔法をかけてくれた。馬には疲れ知らずの魔法とスピードをあげる魔法、馬車自体には結界だ。ヒルデさんが創造したクリエイト魔法らしいけど、私は魔法に詳しくないからよくわからん。凄いんだってよ?
「ウフフ。命名が酷くても文句言わないでよ?キョーコ一緒に考えようね」
「そうね。馬のステータス見ながらつけるね。気に入ったのにしてあげたいからさ」
そうか。キョーコが鑑定しながらなら、馬の気持ちがわかるもんね。でもあの馬が中2病だと嫌だな。例えば馬車組合でジャスミンさんにうちのブラッディ ファング取り来ました。とか言いたくない。ん?そういえば、パーティー名って中2病全開だよね。良かった。中2病に罹る前のヒルデさんで。
「まーちゃん?メアリーちゃん?準備できた?私達、特殊遊撃隊はそろそろ出発よ?」
「ういうい!」
「アイアイマム!」
ちなみに私とメアリーの疾病欄にも中2病はあった。少し字が薄くなってるってさ。
「じゃあお母さん行ってくるね?イモ村で落ち合いましょう!アデュー!」
シュババと走り出す、ヒルデさんについて私とメアリーも走り出した。マジックバッグに沢山の食料を詰め込んで。
「いってらっしゃい。気をつけてね!」
「ジュリア、私達も行こうか?」
留守中のアパートはババアに頼んである。ババアは合鍵持ってるからね。
「あれ?マチルダ、メアリー?あとお母さん?お出かけですか?」
門には件のサムソンが仕事をしていた。
「サムくん、私達、特殊な任務で大きな街経由でイモ村まで行くから。しばらく留守にしますね。ジュリアもちょっと出掛けるけど、心配しないで?ほらあの馬車ね?」
「サムソンいってくるよ!」
「お土産は生肝でいい?」
「ああそうなんですね?いってらっしゃい。気をつけて。生肝はいらない」
私達は走り出した。シュバババババ!ヒルデさんが魔法をかけてくれたから風のように速いぜ!ふはははは!
「いけね!ゴブリン跳ねちゃった!」
メアリーが道を横切ろうとしていたゴブリンを跳ねた。私達の任務の前では些細なことだ。ゴブリン一体位の犠牲は仕方ないから。
「ウフフ?私なんてもう何体も跳ねてるわよ?さっきの人じゃないと良いなぁ」
ギャァー!!人身事故はやめて?ヒルデさんに待っててもらって確認に行ったらゴブリンで一安心だよ。魔石他は残しておこう。ゴブリンの轢死体を片付ける人のものだ。私達は再び走り出す。任務のために!シュババ!!




