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60 オーマイジュリア

 ゴブリン狩りの初心者パーティーと距離をあける。ここなら実験してもばれなさそう。魔力草を探す。すんなり見つかるが、なんだか弱々しい。


 不意に少しだけ背丈が高くなった草むらから出てくるゴブリンは、ジュリアに向かうも、私が音もなく忍より、後ろから刀で首を落とす。数歩歩いた首のないゴブリンが気が付いたように血を噴き上げ、前のめりに倒れた。


「マチルダ、もう少し早めに殺せない?血を浴びたよ……」


 赤く染まるジュリアは綺麗だった。儚げで、壊れそう。あ、すみません。次から気を付けます。だからミスリルの弓は仕舞おう。


 早速実験だ。私は転がるゴブリンの首を掴む。ゴブリンは殺されたこともわかっていない普段通りの表情だ。弱々しい魔力草の側にお供えする。しかし魔力草もゴブリンにも変化はない。血が大地を染めていくだけだった。


「あれ?薬草とは違うのかな?」


 ならば体かな?前のめりに倒れていた首のないゴブリンを起こす。そして魔力草に近づける。こちらも何も起こらなかった。頭を添えてもダメ。何か条件があるのかな。わからん。全てが手探りの状態でヒントもなし。お手上げだよ。また今度確かめよう。


「みんなありがとうね?私のわがままに付き合わせちゃって。魔力草を採取しよ?」


 振り替えるとみんなは私をおいて黙々と魔力草を採取していた。あれ?


「ん?マチルダ何か言ったか?」


「何でもないよ?」


 悲しくなんかない。マチルダは悲しくなんかないよ。一人寂しく実験してやるんだ。そしていつか成功して見返してやる。負けない。


 私も黙々と魔力草を採取することにした。採取してると、たまにゴブリンが逃げてくる。初心者パーティーの方を見ると追いかけ回してるのが見える。そこから逃げてきてるんだな。


「とお!」


 キョーコがカモフラージュされたミスリルの剣で切りつける。キョーコはまだ剣の刃筋がたってない。中途半端な所で引っかかる。主に太い骨だ。背骨とか大腿骨とか。ただ、勇者様の力で殴られるので即死だ。骨が砕けるのよ。たぶん激痛なんだろう。顔が魔力切れて白目向いて倒れてるときのジュリアと同じ苦悶の表情だ。


 日が傾き出す前に私たちは草原を後にする。夕方のギルドは混みそうだもん。やだやだ。歩いて分岐点まで戻ると、草原に入る前に出会ったパーティー、草原に吹く風と一緒になった。


「お姉さん達、お疲れ様!」


「たくさんゴブリン狩れたよ!」


 アークとウリエルがゴブリンの魔石の入った袋を見せてくれた。


「こっちはウルフの毛皮だよ?」


「今日はウルフの肉のステーキね!」


 ルーナとエレノアはウルフの毛皮と牙、肉を見せてくれた。肉食べられるんだ。あれ?ジュリア最初の時…


「うふふ?なんのことかな?わたしわかんない?」


 ジュリアがとぼけた。肉も採れたんじゃない?肉の切り分けの仕方知らないから無理だったのかもだけどね。


「お姉さん、大きな馬車が来たよ!」


「君たちも危ないから、クロへ避けなさい?」


 キョーコが避けなさいって草原を吹く風のメンバーへ指示していた。でもクロってなんだって思ったけど馬車が通れるように道を開けた。大きな馬車だな。王の紋章がついてるからへなちょこか?


「冒険者ども!道を開けろ!勇者様御一行のお通りだ!道の端へよれ!」


 金で任命された騎士達が馬車の上から叫んでいた。騎士なら騎乗しろよ。情けない。中にはメガネとおばさんが見知らぬ顔の人達と同乗していた。グラスとオヴァサーンだっけ?回りが勇者様か?剥げてるのもみえたし。


 大きな馬車はそのまま大きな整備された道を進んでいった。おそらく、隊長が言っていた、ミスリルの装備を得るためにイモ村へと進むのだと思う。元ギルド職員がいるから、安全な道を行ったのだろう。


「キョーコ、クロって何?」


「え?あぁ方言だよ。でちゃった。てへ?」


 キョーコお前もか。てへ?で頭をコツンとするんじゃない。みんなでそっち側へ行っちゃうと私が大変になるから、やめて?それはそうとして、勇者様の国の方言か。へー。勇者様の国の言語体型はぜんぜんわかってない。だから、ほんの些細なことでも勇者言語学を追及している方面には貴重だ。私は専攻してなかったから、生かせないんだけどね。そうか、クロは隅のことか。また一つお利口になったよ。


 私達は門に向かう。馬車が離れて小さくなっていく。この馬車とはまた出会いそうな予感を感じながら、門をくぐった。サムソンは上がったのだろうか。そこに姿は見えなかった。知らない門番さんにギルドカードを見せて街へと入っていく。少しだけ残念そうな顔のジュリアがいた。


 草原を吹く風のメンバーと一緒にギルドへ入った。受付は少し混雑し始めたかな?と言った具合だけど、まだまだ列は少ない。今のうちに並んでおこう。


「お姉さん達はたくさん捕れた?」


 エレノアが幼さの残る可愛らしい顔で話しかけてきた。この子達には実験のことを話せない。話したくない。


「うん。たくさん採取できたよ?ほら、魔力草!」


「えー?ゴブリンは狩らなかったんですか?」


 私が答えるとルーナが意外だと言わんばかり。ゴブリン臭いから嫌い。


「うん。ゴブリンは仕留めたあと、埋めないといけないでしょ?」


 エレノアとルーナが顔をあわせて首をかしげた。あれ?何か変なこと言ったかな?メアリーとキョーコを見ても変なことは言って無さそう。


「あの草原なら、ゴブリンを放置してもウルフが処理するから次の日には骨になってるよ?ほら、受付のあのお姉さんから聞いたもん」


 ルーナが指差す方にはエリが見える。おや?これはどういうことかな?ジュリアを見ると目をあわせてくれない。横を向いて口笛吹いてる。


「大丈夫、大丈夫、今すぐに土下座して、靴にキスして?私が間違ってたといって?」


 ジュリアか本当にしそうになったから、私は言った。


「なんちゃって 嘘だよ?あ、こら靴にキスするんじゃない!」


 所でメアリー?なぜ顔を赤らめているんだい?お前の赤面するタイミングがわからない。

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