53 マッドサイエンティスト☆マチルダ
森の小道を進む。ちらほらと新人冒険者の姿が見える。皆むしってんな?
「この辺りで探してなかったら奥へ進むのがいいかしら」
ジュリアが提案してくれるけど、この辺りはまだ森の入り口。毎日毎日、むしられ続けているであろう薬草なんてあるわけない。
「ジュリア、流石にここだとないんじゃ?」
って私が言ったのに。メアリーとキョーコはごそごそと探し始めた。仕方ない探すか。
薬草は森の中、日の当たる場所、当たらない場所関係なくわさわさと生えてくる。生命力は雑草並みだ。何を養分にして育つのか不明だが。その辺りを考えながら探してみよう。
「お、あった。ジュリアこれだよね?」
メアリーが薬草らしきものを見つけたようだ。大木といっても過言ではなさそうな木の根本に生えてた。エリが見せてくれた絵とも同じに見えるからたぶんそうだろう。
「メアリー、それだよ!」
何故この大木の下に生えていたのか。うーん、わからん。
「こっちもあった!」
キョーコが見つけたようだ。これは草むらの中だ。わけわからん。何か生える条件があるはず。ごそごそと探っていると私もちょっと少ないけど見つけた。こつんと何か蹴ったなと思ったらゴブリンの頭蓋骨。転がって薬草の傍らに落ち着いた。ん?と思っているうちに頭蓋骨は吸収されるように少しずつ穴を広げている。んんん?脆くなったのか砕けて吸収された。わさわさと繁茂する薬草。
「たくさんとれたよ?」
「うわ!マチルダすごい!」
「刈り取りしがいのある薬草だね。今宵の鎖鎌は血に飢えている…」
「ないって言ってたマチルダが一番とってるじゃん。ほら見ろ!」
ゴブリンが関係してるのか?いやそんな単純なら過去発見されているだろう。仮説を考えてみよう。このゴブリンはどうしてここで死んだ?一番考えられるのは冒険者に殺された。そして魔石を抜かれて放置された?か埋められたものが掘り返された。森だから死体を焼くのは推奨されていなかったはず。ゴブリンの魔石なしの死体が肥料?体はあったのか?首だけ?首だけってのもありそうか。
うーん薬草栽培の記述は少なかったからな。何を試して何を試していないのかわからん。とりあえず今見た吸収された頭蓋骨のように頭を薬草のそばに置いてみよう。やってみよう実験。そこのゴブリン首おいてけ。
薬草を採取しながら森を奥へ進む。段々とまわりに新人冒険者が見えなくなる。カモンゴブリン。私が屠ってやるから。薬草の肥やしになるがいい。薬草を夢中になって探す。枯れた白い幹が特徴的な木が見える。あの木の後ろの茂みに入ってみよう。入ると声が聞こえてきた。
「お頭きやした。女3人です」
「ほう、トウがたってはいるが高く売れそうじゃないか。トウがたっているんだ、大きな傷さえついてなければいい。お前ら少しなら楽しんでいいぞ?」
「げひひひ、お頭一生ついていきやすぜ?俺はエルフっぽいのな!」
「ひひひ俺は向こうで薬草とってる黒髪のだ!」
「なら俺はこっちので。好みが別れて丁度良かったぜ!」
4人組の盗賊は後ろの茂みに私がいるとも知らずにそんな会話をしていた。よしこいつらの首で実験だ。まずは様子見かな?お頭と呼ばれる男が私の目の前に残って、手下が3人キョーコ、メアリー、ジュリアのもとに行くようだ。チャンス。
「よーお前ら?人攫いの時間だぜ?その前にたっぷりと楽しませてくれ?泣き叫ぶのは勘弁だが、まぐろぼぶぅ」
「は!?ほあああ」
「あ!?ひぅゥゥゥゥ……」
手下Aはメアリーの分銅が鼻を破壊、おそらくいろいろと破壊されたであろう、耳からピンクの何かが見える。いきなりの反撃でほぼ即死ので手下Aを見て怯んだ残りの2名。手下Bはジュリアがレイピアで右目を刺し貫かれ後頭部から、レイピアの先っちょが結構長めにこんにちは。手下Cはキョーコがメイスの一振りで頭部を破裂させられ、側の木の幹にべっとりと。残された気管から息が漏れる。
「はぁ?何だって!?おぼお…あれ…腹から剣っ…があああああぁぁぁぴょ…」
手下どもが殺られ戸惑うお頭の背中に刀を突き刺した。引き抜いた刀を振るう。首がボトンと音を立てて落下した。立ち尽くす、物理的に頭のない盗賊のお頭を蹴り飛ばす。よーし。薬草のわきに供えるぞ!!首をもって、さっき見つけて刈り取った薬草の株もとに供える。
「キョーコ、どうしよう…友達がサイコパスだよ…」
「う…これは…村の儀式?いや違いそう…やっぱりサイコパス!?」
メアリーにばれた。キョーコにもサイコパス疑惑を持たれた。
「ちが・・これは実験で…」
「いよいよサイコパスだよ…あとマッドサイエンティストだよ…どうしようキョーコ…」
お供えした首がすごい勢いでしわしわになり薬草がにょきにょき生えてきた。ちょっ、タイミング考えろや。ピンチだよ。
「あああぁっ!?サイコパスのマッドサイエンティストのマチルダだよ。PMMだよ。四暗刻で字一色だよ…絶対もう一つくらい、四喜和くらい隠してるよ…ああぁぁぁぁぁ!」
「これが黒魔術なんですか?マチルダさん…」
メアリーとキョーコにあらぬ疑いをかけられタジタジな私のところにジュリアが来た。万事休すか、よし逃げるぜ!と思ったらジュリアが話しかけてきた。
「マチルダ、ここさっき刈り取ってたよね?何か見つけたのね?これ今も首から肉がなくなっているのがそうなの?」
見てみると首は皮膚と肉がなくなり、骸骨に眼球がはまっている状態、と思っているうちに徐々に眼球もなくなり、骸骨へ。そして穴が広がり崩れて吸収されたかのように薬草がわさわさと繁茂した。




