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5 ジュリアとの出会い

「それでは登録をお願いします。登録料は10000ギルです。それと、こちらのカードに血を一滴お願いします。こちらの針を使ってくださいね?」


 針を2本だしてくれたので、私とメアリーはそれぞれ受け取った。針を目の前のろうそくの火であぶる。そしてざっくり。兵士の時には、ナイフでもっと深くえぐったりしてたな。矢じりが残ると大変なんだよ?


「ヒイィィィ…そ、そんなに刺さなくて大丈夫ですから!」


 カードとカウンターにボタボタと血が染み込んでいった。どうやらメアリーもざっくり刺したようだ。


「ヒール!あとクリーン!」


 私とメアリーから針を取り上げた受付のお姉さんが私達の流血する指先を握ってヒールをかけてくれた。こりゃ思春期の男の子は惚れるよ。メアリー?何んで頬を赤らめてるんだい?少しだけ尖った耳に金色の髪をかけながらお姉さんがほっと一息ついた。血に濡れた針とカウンターも消毒されたようだ。


「ためらいなく深く突き刺した人を見たの初めてですよ?では、こちらが冒険者カードになります。ちょっと他の人より色が濃いですけど…あ、口座の情報も登録しますか?」


 確かにさっきの若い男の子達はもっと薄いというか、ほとんど白というかクリーム色というか。私達のは綺麗なピンクだ。メアリーと比べると若干私の方が淡いかな?


 冒険者カードに口座情報を登録すると、このカードで入出金、仕入れの時にカードから引き落とし、依頼達成時の報酬の入金などができて便利だって。血で登録してるから不正もできないから安心安全だって。ギルドでは残高までは見ることができないから、そこも安心してくださいってお姉さんが言ってた。


 この辺りの仕組みも勇者様がギルドと銀行を通して作ったそうだ。凄いなぁ。本当は銀行だけで作りたかったみたいだけど。


 私もメアリーも口座を登録した。私達の口座にはそこそこの金額が入ってるんだよね。ほとんど使わないからさ。近衛隊は衣食住保証だったから。


「お姉さん、旅の用品を買いたいんだけど、どこで買えるの?」


「そうですね、それでは私についてきてください。休憩に入るので一緒に見て回りましょう。見終わったらギルドの食堂でお昼にしませんか?自己紹介がまだでしたね、ジュリアです。よろしくお願いします」


「賛成!食堂!食堂!よろしくね、ジュリア!私はメアリー!」


「よろしくね。私はマチルダです」


 メアリーがはしゃぎ出した。衣食住保証だったけど、美味しいとは言ってない。不味くもなかったけどね?


 受付のカウンターの脇の板を跳ね上げて、お姉さんが出てきた。休憩中の札も掛けてあるね。


「あ、そうだ、流血で忘れてましたが、説明の続きです。マチルダさんも、メアリーさんもギルドランクはFになります。貢献によって上がりますので頑張ってくださいね?」


 上からSSS.SS.S.A.B.C.D.E.Fのランクがあるとのこと。登録したては揃ってFからのスタートになるようだ。Sから上はほとんど勇者様専用だった。一般人はAが最高ランクだ。


「ではこちらです。ここでは旅に必要なものを購入できます。他にもモンスターの素材とか、王の都の特産品とか。商売をやりたい人もモンスターの討伐をしたい人にも便利ですね」


 討伐に必要な武具は武器屋や防具屋で揃ってしまうけど、消耗品の矢だとか投げナイフ、素材を剥ぎ取るようのナイフとか素材をまとめておく紐だとか袋なんかが置いてあった。


「ねぇ、マチルダ。どうせ荷台が空いてるし、仕入れて村で何か売らない?帰りはお芋買ってくるんでしょ?」


「そうねぇ、買っていこうか。うちの村だと薬品が少なかったかな?今もたぶんね?」


 私の村にはヒールの魔法を使える人が少なく、お医者さんもいなかった。だから怪我の時は薬が欲しいんだけど、薬草を磨り潰して患部に貼る位しかしないんだよね。


「それでしたら、こちらの初級ポーションはどうですか?患部に振りかければ切り傷や刺し傷などの怪我を治療しますし、飲めば風邪や腹痛なんかの病気の治療もできます。重傷は流石にこのポーションでは無理ですけど」


 上級のポーションはすごいよ?あれ?最上級だっけ?千切れた腕もくっついてた。あの戦で上官が自分の腕がもげたときに使ってた。凄いなぁと思ってみてたら上官の首がとれた。こめかみに矢があたってもげてたっけ。「意味ないじゃん!」って同じ班のアユが怒ってたな。返り血と自分の血で真っ赤に染まったアユの胸は綺麗だったけど。そこから流血のアユってつけられてたな。


「ありがとう、ジュリア。じゃあ明日馬車でくるから乗るだけちょうだい?」


「それと、イモ村まで行くので食料と水…あとは何が必要?」


 メアリーがポーション注文してくれた。私も追加で必要かなと思った食料と水、あとは何が欲しいかな?


「イモ村までだとだいたい3日かかりますので3日分の食料と水、それと薪もあった方が楽ですね。現地調達できないこともありますから。あとはテントですね。馬車の下で寝るのも良いですけどね。武器などはお持ちですから、食料と水があればなんとかはなりますよ?」


 受付のジュリアが答えてくれた。テントは使ったことある。一人用を2つで良いかな?ちょっと良いやつ買っておこう。


「じゃあ今日は食料と水を確保しておきます。あと素材を縛る紐と袋もください。明日馬車で取りに来ます」


 必要な物の買い物も終わった頃、きゅるるるると誰かのお腹がなった。

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