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48 マチルダ、メアリー家を買う

「それでな?その勇者様達に、近衛隊が指導することになってな。お前らは外しといたから、心配するな。この後、さっきの提案通りに手続きしておく。休暇、有給にしておいたぜ?あと半月あるから、それまでに荷物まとめておけよ?兵舎から追い出したことにしておく。その方がへなちょこも納得するだろうからな。あとは俺に任せておけ。ちょっと話を作るが…問題ないな?」


「うん。大丈夫。口座押さえるって言ったら泣いて謝って給料半分で良いので兵士として先に召喚された勇者様の護衛をしますので、兵士として残してって言っておいてよ」


「そうね。私も衣食住は要りません。キョーコの護衛するから許してぇって泣き叫んでたって言っておいてよ」


 隊長は笑いながら、出ていった。休憩時間が終わったんだな。ありがとう。私たちの話も万事解決。次は家だね。皆家なき娘だよ。


「ジュリア?ギルドで家って探せる?」


「うん、商業の関係で探せるよ」


 そんなわけで、またギルドに戻ってきた。


「ちょっとごめんよ?」


 ジュリアが受付のカウンターをひらりと飛び越えた。ほらまたスカートが、ひらりってするから見えそう。受付に並んでる若い男の子の顔が赤いよ?流石にエリに蹴りをくらわせなかった。進歩したのか?いや、ひらりするならズボンはけや?


「ジュリア、メアリー、借家にする?売りに出てるのを買う?」


 どっちでもいいかなと思っていたらヒルデさんがひよこの絵が描いてあるエプロンをし始めた。そして竹箒を持った。う、未亡人だ…


「私が管理人さんになるから、売りに出てるのを買おう!借家だと既にいるから…抹殺することになってしまう…」


 物騒だな。神にもっとも近い人が抹殺ですって。怖いよ。管理人さんは流石にそんな事言わなかったよね?と思ったけど結構過激なこと言ってたかも?


「メアリー買おうか?」


「そだね?」


 買う方で話が進む。ジュリアが売りに出てるのを探してくれている。あ、エリも手伝ってくれるの?ありがとう。


「うふふ。ペンダントのお礼です。家に遊びにいきますね?」


 しばらく探していたジュリアが叫んだ。


「マチルダ、メアリー、これ!これどう?魔道具屋のおばあちゃんが売りに出してる物件なんだけどね?」


「え?お店なの?」


「違うよ?別に家を持ってるみたいなの。見に行ってみない?」


 魔道具屋のおばあさんに一度断ってから見に行こうってことになった。ギルドをでて商店街へ向かう。


「おーい!ババア生きてるか?」


「ちょ!?メアリー!おばあさん。来たよ?」


 生きてるか?と叫んだメアリーが骸骨の呼び鈴を叩く。ガコンって音が響くと、奥からババアきたよ。


「おう、生きてるぞ?残念ながら、なかなか死ねんわ。あぁ?なんだ?ヒルデも一緒か?ほーそこのが娘か。末娘だな?」


「そうよ?久しぶりですね。勇者様」


 私、メアリー、キョーコ、ジュリアが一斉に二人を見た。なんですと?


「それでね?勇者様。お願いがあるんだけど?おうち見せて?売って?そしてまけて?」


「んー?おお、お前ら買ってくれるのか?そうだな。まけてやるぞ?見てくか?着いてこい」


「ちょっとまって?勇者様?え?え?えええ?」


 皆驚いて声が出てないから、代表して私が声を出したけど、いまいち考えがまとまらない。


「ああん?そうじゃよ?ワシが勇者だ。倒した魔王に呪いをかけられて、ババアになったら永遠に近い時を生きる呪いをな?くっそ。ワシ、超絶美人だったのに…そうそう、そこの黒髪のキョーコが巨乳になった感じ」


「あ!?そうそう!そんな感じでしたねー!?」


 ヒルデさんが肯定してるから、本当にそんな感じなのかもしれない。なかなかの呪いだよね。ババアになったら死ねない呪い。永遠のババア。なにその呪い?残酷だよ。


「いいから、見に行くぞ?ほら、鍵かけるから店からでな」


 店をでて、歩いて数分。手頃な大きさの家だね。部屋も結構ありそう。


「もともとは部屋を貸してたアパートだな。10室あるから十分だろ?別に管理人室もあるし、皆で使えるリビングと台所、あと風呂もある。土地と建物の売却になるから、ちょっと高いが、1億8千万でどうだ?ちなみに他のやつらには2億3千万だな」

 

 場所はババアの店がある商店街から近く、さらに冒険者ギルドも近い。庭もなかなか広め。何故あるかわからないが、メアリーがまっしぐら拷問部屋があった。中央に皆で使えるリビングもある。トイレも水洗だよ。あと大きなお風呂がある。もうこれメアリー動かないよ?値段も払えなくないよ?王の都の一等地の土地と建物がこの値段だ。


「マチルダ、私ここが良い!ここ以外は認めないよ!」


 ほらやっぱり。メアリーの心はもう拷問部屋に持っていかれてるし、拷問部屋の隣の部屋をキープしてるじゃん。


「うふふ。今日も良い天気ね!」


 竹箒で玄関先と表を掃き始めるヒルデさん。残念ながら犬はいない。これだけ庭があれば犬ぐらい飼えるかも。


「私は…お金がないから、マチルダとメアリー、二人に委せるよ」


「私もかな?ええ、貯金はないよ?嘘じゃないよ?あれ?その顔は信じてないな?」


 キョーコはともかく、ジュリアの口座は押さえておこう。エリに頼んでおこう。


「ワシが言うのもなんだが、マチルダ、メアリーの口座の残高で足りる金額だ。計算して値引きした。残しておいてもたぶん徴収されるな」


「まーちゃん、メアリーちゃん、勇者様の言うことだから聞いておいた方が良さそうよ?」


 そういえば、隊長が口座をへなちょこが押さえるとか何とか言ってたな。やめたらだったけど、たぶん押さえに来るだろう。だってさ、へなちょこは狡いもん。


「いいよ?おばあさん。その金額で買った!」


「私もだよ。ババア。この拷問部屋にはそれだけの価値がある!!」


 こうして家を購入した。忘れていた芋も倉庫で売却した。

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