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37 罪人達の導かれる場所

 今日は祭りなんだね?私のために山賊と屑の勇者を根絶やしにしたんだ。うわぁ!噴水が首で埋まってるよ!踊り狂うイーちゃんと歴代ダンシングクイーン。ヒルデリアンさんも踊り狂ってる。あれ?ジュリアとエレナさんも?朝日が昇ると同時にダンスが終了。一斉に燃え上がる首。わぁ。飛び火して王の都まで炎上した。あああぁぁぁ!?完



 あれ?ここはどこ?キョーコに連れてこられた所は道が黒くて固い。メアリーがどこまでも転んで削れていく。あぁ!?メアリーが無くなっちゃう。右だけになったメアリーと細かなメアリーがケフケフ笑っている。なんだ元気じゃん。見渡すと高い建物がいっぱい。人もいっぱい。キョーコ、ここどこ?キョーコが空に吸い込まれていく。右だけのメアリーが犬に食べられたけど、尻から出てきて、やっぱり空に。ファ?私も吸い込まれる…


「マチルダ?ご飯よー?お友だちも起きてね?」


 三本立て、三本目の途中で起きた気がする。先の二本は悪夢だよ。あれ?どんなのだっけ。恐ろしかった感覚しかない。メアリーは大丈夫かな?


「キョーコ?メアリー?ここ空の向こう側?」


「マチルダ、行くよー?」


「置いてくよ?マチルダ?寝ぼけてない?」


 メアリーとキョーコに声をかけられ、現実に戻された。まだまだ夜明けまえだ。今日は祭りのフィナーレ。日の出と同時にダンスクイーン達のダンスが終わる。そして魔法によって首が荼毘に臥される。


「さ、召し上がれ?」


 お母さんの朝食を食べる。友達も一緒だ。ほんの小さなことだけど幸せを感じる。だからお父さんは血濡れで視界に入らないで?


「く、娘が反抗期だ…ガフっ」


「成人した娘に何言ってるの?さらに娘の友人をなんて目で見てるのかしら??まだ教育が足りないようね?」


 目玉焼きを食べ終わるころ、お父さんは裏に連れていかれた。今日はうめき声も聞こえないや。一緒に燃やして貰おうか?


「ごちそうさま」


「美味しかったです。ごちそうさまでした」


「ごちそうさまでした。お昼は手伝いますね?」


 少しだけ東の空が色付き始めた。メロウなメロディが響き、ダンスフロアは最後の時をカウントする。曲調が変わり、弾けるビート、疲れを見せないダンシングクイーンたち。申し合わせたように、すっと静かにダンスフロアから退く二つのシルエット。暁の今、最高のダンスを表現する。ステップと太鼓のリズムが時を刻み、日の出の瞬間、最後の音とステップがダンスフロアに響き渡り終了。惜しみない歓声がダンシングクイーン達に贈られた。私たちの歓声も合わさる。


 今回の祭りのダンシングクイーンはジュリアとエレナさん。イーちゃんは既に永世名人。ヒルデリアンさんは初代ということで、最後の瞬間にフロアから降り辞退したそうだ。あの動きで申し合わせはしていなかったんだって。最後までダンスフロアに立ち踊り続けた者、それがダンシングクイーン。8年ぶりのダンシングクイーン誕生に拍手が巻き起こる。拍手の渦が二人を包む。かっこいいし憧れがないわけではない。でも私は無理。眠いし疲れるから。


 そして点火された炎が、煙が、首を天へと導いていく。魔法使いの腕の見せ所だ。ダンスフロアから退いたヒルデリアンさんが、魔法使いたちが幾重にもなる炎の螺旋を天へと向かって伸ばす。差し込む朝日、渦巻く炎、立ち上る煙、真っ白に燃え尽きていく罪深き者たち。まるで浄化されるように、罪が少しだけど償われたかのように風に乗って舞う灰。すべてが重なり真っ白になる一瞬。祭りもそろそろ終了に近づいてきた。


 集められた真っ白な灰は木でできた小さな壷に纏められ、供養塔へ入れられる。この木の壷が朽ちるころには罪人たちは罪から解放されるのかもしれない。夜通し行われた8年ぶりの村の祭りは静かに終わりを告げた。


「マチルダ、私少し感動しちゃったよ。特に炎の螺旋が天に向かうの。罪を償った罪人が天に還るようだった。宗教的な意味合いもあるんだね。でも毎月はきついかな。はじめは親友がサイコパスかと心配したよ」


「仏教っていうよりも、仏教から派生して…ここで育まれたた宗教って感じがしたよ。私も感動しちゃった。朝日が差し込んだ瞬間の真っ白になるのが幻想的だったな。心を奪われたよ。でも…そうね、あの会話だけ聞くとサイコパスだよね」


 噴水周りはクリーンの魔法が使われ、綺麗になった。いつもと変わらない日常が始まる。


 お爺さんのお店を見学したり、ヒルデリアンさんとお茶したり、ギルドの売店でお買い物したり、朝市でドワーフの駆け出し職人の製作物や自分達で食べる用の各種イモを買ったり、お母さんに料理を教えてもらったりして過ごす。そして、最終日。


「イモ村のジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、山芋を馬車の荷台とマチルダとメアリーのマジックバッグに入るだけですね?料金表はこちらになります。先にお断りしておきますと、山芋は専売になりますのでお売りすることができません。在庫を確認しますね」


 エレナさんに今日のレートの料金表を貰う。芋は全て最小単位が100キロ=一箱。ポーションのケースより大きな箱だ。ジャガイモとサツマイモは一箱3万ギル。サトイモは4万ギルだった。


「お待たせいたしました。誠に申し訳ありません。ジャガイモとサツマイモは3箱ずつ、サトイモは1箱となります。」


 ジャガイモとサツマイモは単純に大きな街の商人が買った後で3箱ずつしかなかった。サトイモはちょっと時期が悪かったかな。山芋は仕方ないか。自分達で食べるのは買ったから特に問題もない。ポーション自体には制限がなかったのは幸いだったな。


「じゃあそれで。馬車にお願いできますか?」


「それでしたら全てマジックバッグにいれる事をオススメします。たしか重量無視のバッグでしたよね?馬の負担が軽くなり、スピードも出ますから。いかがですか?」

 

 や、やるな!?流石だよ完璧超人エレナ。


「うん。そうしてください」


 私とメアリーのマジックバッグはキョーコにエクストラクリーンをかけてもらい、鑑定してもらった。結果は(非常に綺麗な袋。食品をいれても問題なし。)とでた。首を出した直後は(死体袋として使用された。食べ物を入れるには倫理的、気分的に問題がある)となっていた。


 パーティー口座から引き落としてもらい、私のマジックバッグへと詰め込んだ。



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