表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/82

3 辞めさせてくれ

 近衛隊、本隊の部隊長に聞いてみた。


「私とメアリー除隊したいんですけど?」


 部隊長は渋い顔をしながら答えてくれた。


「英雄を失うわけにはいかないが…あんな仕事を英雄にさせるわけにはいかんよなぁ。はぁ、ちょっと考えさせてくれ。マチルダとメアリーは、今日からしばらく休暇とする。そうだな、1ヶ月位でどうだ?ゆっくり休んでくれ。休暇明けには返事をするから」


 とりあえずしばらくは勇者様を召喚しては殺すをしなくてよくなった。戦で敵兵を殺すのとは違うから。さて、休みは何をしようかしら?


「ねえ、マチルダ!マチルダの産まれた村に遊びにいこう?」


「そうねぇ、学校卒業してからは帰ってないから久しぶりに帰ろうか!手紙のやり取りはしてたけどね?メアリーの村は?」


「私の村は戦で燃えちゃったみたいなの。家族は逃げてきて無事だけど村は消滅したわ。私を苛めてた、くそ女グループが巻き込まれて行方不明ですって。ざまぁ!」


 メアリーは黙っていれば、ニコニコしているから明るくて、小柄でかわいい感じがするタイプの女性だ。ニコニコしているのけど本当は…腹黒い。


 私と同じ村娘だったけど、勉強して兵士になった同じ境遇の女性だ。メアリーはまぁ、苛めから逃げてきたって言っていたけどね。近衛班の他の四人は貴族の末娘だったかな?あの名誉で割りと良いところにお嫁に行っている。親の爵位より上の爵位だ。兵士にならなければ良いところ一般人との結婚だったからなぁって皆言ってたな。


「じゃあ、明後日から出発するとして、装備も一応整えようか。流石に近衛の装備はしていけないよ?」


「そうだよね。明日は装備を見に行こうか。あと、馬車の手配とかしようか。マチルダの村ってどのくらいかかるの?」


「馬車で3日位かな?そうか、食料とか水も用意しなきゃね!?」


 久しぶりの休暇だ。その日はゆっくり休んだ。次の日ゆっくり起きた私とメアリーは、友達との旅行の計画にキャッキャッしながら武器屋に向かった。あれ?行くところが女の子らしくないぞ?


「こんにちは!ちょっと見せてね?」


「おじさん、久しぶりに見に来たよ!」


「おう、嬢ちゃんたちか。久しぶりだな。どうだ?仕事は?」


 この店は私とメアリーが兵士になって戦に出るときに武器を買った店だ。この武器屋の隣が防具屋だ。私達は英雄ってことになってるけど、知られてるのは王様と兵士位だ。市民には英雄ってことを知られていない。


「うん、毎日大変だよ!でねぇ、今日から長期休暇もらったから、里帰りしようと思ってね?流石に近衛の武器を持っていくわけにもいかないから、私達にあう武器を買いに来たよ?」


「そうそう、武器を買ったら、隣の弟さんの防具も買いにいくからね!」


「そうか、あの戦からほとんど休んでないんだろう?よし、おじさん奮発しちゃうぞ!」


 武器屋のおじさんは剥げた頭をぺしぺし叩きながら店の奥へなにかしに行った。


 店内の武器、私は弓を、メアリーは拷問器具を見ていたところ、おじさんが戻ってきた。手にはうーん、あれ刀かな?確か和の国で作られてるよく切れる片手でも扱うことのできる刃物だ。


「嬢ちゃん達に、これをプレゼントするぜ!見てわかる通り刀だ。名刀って訳じゃないが、良いものだぞ?」


「わーい!ありがとう、おじさん!」


 メアリーが飛び上がって嬉しさを表現していた。


「ありがとう。おじさん。でもいいの?」


「あぁ、もちろん。あの戦の時に買ってもらった武器は壊れちまっただろ?そのときのお詫びも込めてな?」


 おじさんから刀を受け取った。


「おじさん、あとこれちょうだい?もちろんお金は出すから!」


 メアリーは苦悩の梨と柄が短い鎌に鎖と分銅のついた変わったものを買っていた。私は投げナイフ10本とクロスボウと専用のボルト一束を買った。本当は長弓の方が良いんだけど、私達は習ってないから弓が使えないんだよね。


 おじさんにお礼を言うと、そのまま隣の店舗へ。弟さんの防具屋だ。


「こんにちは!」


「鎧見せてね!」


「おう、久しぶり!隣から声が聞こえてたよ!」


 武器屋のおじさんとそっくりだけど、防具屋のおじさんは髭が生えてる。頭はツルツルだけどね。あ、また何かしに髭のおじさんはツルツルの頭をぺしぺし叩きながら店の奥へ行った。


 私が鉄の鎧を、メアリーが三角木馬を見ていると、奥から戻ってきた髭のおじさんはブーツを持っていた。


「嬢ちゃん達は村へ里帰りするんだろ?じゃあこのブーツなんてどうだい?おじさんからのプレゼントだよ?」


 なかなかおしゃれなブーツだ。膝丈の編み上げブーツだ。爪先には鉄板入り。そうか。私達は近衛以外の装備ってあの戦でボロボロになっていたなぁと改めて思った。あのときのブーツはかかとがとれてたし、爪先には血の跡がね?あと臭いがこびりついて捨てた。ボールクラッシャーの名に恥じないよ。いくつ砕いたか100を越えた辺りで数えるのを辞めた。メアリーも同じ事を言ってたな。その時のお気に入りのナイフは捨てたって言ってたな。


 早速試着。足のサイズは変わってないからぴったり。おじさん、良い仕事してますねぇ。中敷きの心地が良い。クッションもよさそうだ。この履き心地にはメアリーもにっこり。


 髭のおじさんの防具屋ではメアリーとお揃いの革の軽鎧と色ちがいのマントを買った。私が濃い緑で、メアリーが濃い茶色だ。流石に桃色も桜色もおいてなかった。


 髭のおじさんにお礼を言って次は馬車の手配かな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ