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28 非常に非情のライセンス

 私の御者で馬車は進む。道なりに進めば昼頃に村に到着する予定だ。かなり向こうに村の入り口が小さく見える。村では山に薪を取りに行ったり、獣を猟に行ったりするから道がある。王の都だと、薪も肉も買えるもんね。そんなことを思いながら辺りを伺う。周りにはモンスターの気配もなし。でもこの気配は?


「みんな一応注意してね?変な気配がするから!」


 メアリーは鎖鎌を、ジュリアは弓を、キョーコはクロスボウを構えた。私も投げナイフを用意する。そのまま馬車を進める。


 道なりに曲がっていくと、コーナーの内側が茂みになっている。そこから汚い格好の男が4人現れた。後ろに2人。手には錆び付いた剣。はぁ、盗賊か。こいつら臭いから嫌い。


「ひゃっはー、お頭、現れやしたぜ!」


「へへへおなご、おなごですぜ!」


「野郎共、あまり大きな傷は残すなよ?安くなっちまうからなぁ!」


「上玉じゃないですか?へへ?傷物はいただいても?」


「おう、好きにしろ!行くぞ!がふ!?」


 口上が長い。飽きたメアリーが分銅をお頭に当てた。顎が砕けたようだ。私もえいっ。投げたナイフは「いただいても?」って聞いてた野郎の鎖骨の下あたりに深く刺さる。後ろの盗賊2人はお腹から矢とボルトがはえてた。痛そう。鎧つけてなかったのが運命の分かれ目だったね。


「よし、お前ら全員、これを首にかけな?異論は認めない」


 残った盗賊にメアリーが縄を渡す。いきなり4人も倒されたから、こくこく頷いて、自分を含めて全員の首に縄をかけた。メアリーは荷台から降りて、馬車の後ろ側にその縄の端を結びつけた。


「お前ら、あの村まで歩いてもらう。それだけじゃつまらないからなぁ。うーんそうね…えい!」


「ぎゃぁぁぁ!!がは…お前頭おかしいだろ!?」


「助けてくれるんじゃないのかよ、いてぇぇ…うううう俺達が何をしたって言うんだよ?」


 無傷だった2人の盗賊の足に刀を突き刺した。うわぁ、痛そう。この出血だとあれだ。長くは持たない。でも襲ってきたのはそっちだよ?襲っておいて返り討ちにあうと文句かよ。この屑どもが。まだ生きてられるんだから、悔いて悔いて苦しむがいい。


「馬車の速さに着いてこられたら死なないよ?はい頑張って?」


「悪魔だ!お前悪魔だろ?」


「お前、やっぱり頭おかしいだろ!?」


 メアリーは盗賊の言葉を無視して縄を引っ張り締め上げた。荷台に登りながら盗賊に言葉をかけた。


「よし、これで抜けないね。外せないでしょ?」


 きっちりとしまった縄は盗賊の首に食い込んでいた。かなりしまってるから外せないだろう。まぁ、逃げたら鎖鎌が頭を砕くと思う。ちなみに私達に攻撃された盗賊の4人は瀕死だよ。たぶんみんな致命傷。私の投げナイフも肺に刺さってる。肺に血が入ったのだろう息をすると、ゴロゴロいってる。メアリーに顎を砕かれたお頭は既に意識はないけど、血はどくどくでてる。顎ちぎれてるかもしれないね。


 お腹に矢とボルトが刺さった二人も内臓にあたってるから、そのままなら死ぬだろう。持って村までかな?この中だとジュリアの矢をくらった奴が一番長生きかな?でもきっちりと内臓狙ってあててると思う。クロスボウは手で引けるやつだから射程と威力はお察しだけど、ボルトって太いのよ。お腹に太くてごっついボルトを受けるの私は嫌だな。


「じゃ出発するよ?村までもう少しだからちょっと速めにね?」


 荷台の3人に声をかけて馬車を進める。馬にも声をかけた。スピードが今までより1.5倍ほど体感で速くなった。早速、後ろの盗賊達は引き摺られていて悲鳴をあげている。嘆くなら自分のしていた職業を嘆きなさい。既に聞こえてないだろうけども。


 馬車がスピードをあげても荷台は快適だ。もちろん御者席も。何故ならば勇者様が開発してくれたサスペンションがついているからだ。この馬車のサスペンションはドワーフが鍛えた鉄の板バネが取り付けられている。貴族様が乗るのだともっと凄い仕組みだって聞いたけど、私には理解できなかった。勇者様がは本当に色々と知ってるなぁ。凄いや。


 村は見えてはいるけど、まだまだ距離がある。スピードあげたから馬を休ませるためにも一旦休憩を取ろう。道から外れて草原に馬車を停める。


「みんな、お茶休憩しよ?馬にも水をあげたいから…ね?」


 キョーコが馬に水とニンジンをあげていた。キョーコが色々とくれるからすっかりなついている。意外とジュリアのことも好きみたいだ。舐めたとき甘かったのかな?


 それなりの長さの縄を結んだから、盗賊どもは道の上だった。お頭とボルトをくらった奴か死んでいた。意外と頑張ってるのは私に投げナイフくらった奴かな。一応動いていた。咳き込んで大量に喀血してたけど。


「…へへへ俺達まだ生きてるぜ?」


「ああ…逃げ出していつか仕返ししてやろうな?」


 ボロボロだけど足を刺された二人は生きていた。両手は自由だから、傷口を何かで締め付けて止血したようだ。そしてお頭とボルトをくらった奴に、しがみつく事によって自分達はなるべく地面に擦られないようにしていたみたいだ。でもここから村の入り口まではメアリーが許さないだろう。


「よし、お前ら。次はここと、ここな?」


 メアリーは両手、両足の腱を刀でスパンと切った。切られたところから、ちょっと遅れて血が吹き出す。


「ぎゃぁぁぁ!!やっぱり頭おかしいだろ!?」


「くそ…悪魔が!?あれ寒い、寒い?これから季節は夏だよな?あれ…くそ、意識が…」


 死んでいたお頭とボルトの奴の首を刈り取りマジックバッグに回収したメアリーがボソッと答えた。


「お前らは人を襲ったんだ。反撃されても文句は言えんだろ?お前らは盗賊しながら命乞いする人を殺してきただろ。違うか?お前らからはそんな腐った臭いがするから。良いから黙って色々と悔やんで死ね」


 メアリーは盗賊に対して非常に厳しい。盗賊限定の非情のライセンスを持ってるんだろうな。あ。ごめんなさい。なんでもないです。

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