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26 白熱の演技指導

 私とメアリーの言葉に二人は驚愕の表情。


「マチルダの代わりに私が時間を稼ぐ方が…」


「キョーコは勇者様だからダメだよ?それにキョーコが捕まったら武器の替えが効かなくなるからダメ」


 私の言葉の、勇者様だからには納得してないようだけど、武器の替えが効かなくなるからには納得してくれたようだ。山道でのオークとの戦いでサポートしてくれたから理解してるのかな?


「な、なら私が!私の美しさにオークもうっとりするはず!くっころまでの時間が稼げるはず!」


「…あ、えーと。ほら、オークって巨乳至上主義だからね?その、小さな胸はステータスになり得ないんだよ?」


「…ぐふぅ」


 メアリーの言葉に吐血しそうなジュリアがいた。キョーコは息してなさそう。


 オークが巨乳至上主義なのは事実だ。例外は無いとされている。巨乳至上主義者は私達人間にもいる。種族によって多い少ないはあるけどエルフにも獣人にもドワーフにもいるからね?


 あとエルフにも巨乳の人はいる。勇者様の中にはエルフ=貧乳の図式が出来上がってる人が一定数いる。割りと高め。約9割だ。だからジュリアはそんな勇者様に人気が出ると思う。


 私とメアリーは巨乳ではないけど、貧乳でもない。普通。良い言葉で言うと美乳だ。微ではなく美しいほう。微はジュリア。あとキョーコ。


「だから罠を仕掛けて、オークがなるべく集まらない、連携できないようにするよ?」


 少しだけ暗い雰囲気になっていた二人に、罠の設置を話した。旅を続けられるんだよ?あれ?明るくならないぞ?まさかとは思うけどこっちか。


「キョーコ、ジュリア、人とエルフ、あと獣人には小さな胸がステータスになり得る人がいるからね?ドワーフは諦めて?それとオークに好かれたい?」


 ドワーフは貧乳だと子供だって思われて相手にされないし、例外はいるけど、ほとんどが巨乳至上主義者だ。流石に今のご時世、髭のはえてないような女はとは言われなくなった。髭がはえてないのも子供だって捉えてたんだった。20年ほど前まではそうだったらしい。まぁ、例外はそんな娘が好きなロリコンドワーフだから、ジュリアもキョーコもその枠からは外されるだろう。


「そうよね!」


「くっころに憧れることはあるけど、オーク臭いもんね」


 キョーコとジュリアが息を吹き替えした。私とメアリーは遠い目で二人を見ていた。そういえば、くっころツアーっていうのがあるらしい。ベテランの女勇者様達はわざとオークに捕まってくっころを叫んだあと、オークが事に及ぶ前、もしくは服を剥かれる前に、そのオークを瞬殺するのを競うという生命を冒涜した遊びがあるとかないとか。そんな勇者様のお供はいやだな。さ、設置しよ。


 罠といっても虎ばさみは持ってきてない。そうなると落とし穴と括り罠、あとはクロスボウとか弓を使う罠かな。この中で括り罠は却下。オークに切られないロープが手元にない。という事で落とし穴と弓の罠を作ろう。


 落とし穴は簡単だ。魔法使えるから。ジュリアが。キョーコももしかしたら使えるようになるかも。頑張ってもらおう。


 ジュリアのサポートにキョーコがついてくれた。穴は3メートル位掘ってもらって、底を逆さにした三角錐の形にしてもらう。これなら地面が斜めになるから着地も難しい。足首くらい捻るだろう。穴の蓋には私達なら大丈夫だけどオークだと折れそうな細さの木だ。暗いし全部塞がずに橋にしておくか。


 弓の罠を設置しようと思ったけど真っ直ぐな矢を作るの面倒だし時間がかかる。予定を変更して弓用に切った、よくしなる木を太めの木にくくりつけて設置。削って尖らせた棒をしなる木の先端に装着。キリキリとしならせて杭で止めておく。紐で繋いで、こっちの紐を足に引っ掻けると、杭が外れてしなりが戻る仕掛けにした。いくつか設置しておこう。


 クロスボウも1つだけど、ちょうどオークの頭にあたるように設置しておこう。キョーコもクロスボウよりメイスの方が得意そうだから。でもジュリアの弓は奪えなかった。この弓のゾーンを抜けると落とし穴だ。今できる準備をやり終えた。


 落とし穴に落ちないように戻ってきた。暗いから中が見えない。どこまでも落ちていきそうな穴が空いていた。


「おかえり!コーヒー温め直したから、飲んでね?」


 ジュリアが魔法で温め直してくれたようだ。メアリーと一緒に飲む。振りをして、メアリーが飲むのを待った。よし問題ないね。二人で貧乳、貧乳言ったからな。仕返しされるかもしれない。少なくなっていたコーヒーが温めて少しだけ濃くなっていて気分がシャキッとする。


「ふー、ありがとう。ジュリア」


「やっぱり甘くて温かいコーヒーは美味しいよ。暑い日にキンキンに冷やしたのも美味しいけど」


 こういう時には先に感想を述べる方が誤魔化せるよね。疑ってたの。


「マチルダ、メアリー、落とし穴確認して?」


 キョーコが仕上げをして戻ってきた。落とし穴の底を斜めにする仕上げはキョーコがしたみたいだ。使えるようになったのかな?


「ジュリアの見て手伝ってたら、できるようになったよ!少しだけど」


 一番テント寄りの穴を見せてもらった。キョーコが落とし穴にライトの魔法を落とす。底には綺麗な傾斜がつけられていた。底に傾斜がつけられているからさらに深くなった。壁面ツルツルだ。なにこれ?凄い。


「ピラミッドを押し付けるイメージでやってみたよ。トゲトゲにしたかったけどできなかったから」


 ピラミッドが何か知らないけど、三角形がきれいに4つみえる。


「絶対に足を砕いてやるのよ!」


「じゃあ、私とマチルダはこの穴と、あそこの穴の後ろで、オークに追いかけられて命乞いして貞操を守ろうとする娘の役ね?」


 メアリーの説明によると、わざわざ暗い中に私達が攻める必要はないとのこと。それは私もそう思う。だって自分で罠にかかるもん。そして落ちる。で、落とし穴の向こう側に餌があれば寄ってくるんじゃないかって。なるほど。穴はテントを囲むように4つ作られていた。中央の2つに私とメアリーが付く。


「それなら、ジュリアとキョーコに私達を照らしてもらおう。そうすればより落とし穴が見えにくくなるはず」


 明るく照らして貰えば、嫌でも目立つよね。落とし穴がより闇に溶け込むはず。


「なら準備をしよう!マチルダ、メアリー、姿勢はこうよ?」


「あと、指先はこうね?衣類はこんな感じで、上目遣いでお願いするのよ?」


 ジュリアによる姿勢の指導とキョーコによって衣服がはだけた感じにされた、あと演技指導も。私の方から衣服がはだけさせられて演技指導が入った。ところでメアリー?なんで顔を赤らめているんだい?


 私とメアリーの演技指導が終わる頃、ブオンっと空を切る音が響き、太い悲鳴が響いた。作戦開始だ。ジュリアとキョーコによって私とメアリーの上にライトの魔法が浮かんだ。


 幾つかの空を切る音と悲鳴が響いた後、月明かりにオークが近づくのが見えてきた。おそらく向こうからは、私たちがくっきりと見えているはず。


「い、嫌、近寄らないで!!お、お願い、見逃して?エロいことはしないで?キャァァァ!!」


 メアリーの迫真の演技が始められた。上手いな。


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