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23 変態と問題児の共演

 山道を馬車が行く。倒したオークは私のマジックバッグに収納した。オークの解体の仕方を知らないから。ギルドの職員のジュリアも知らなかった。「だって受付だもん」って本人は言ってた。イモ村の冒険者ギルドで解体料を払って解体してもらうことにした。


 最初のオーク遭遇以降は順調な行程で、特に休みをいれることもなく、馬車に揺られていると山頂の小屋にたどり着いた。太陽はまだ真上にはたどり着いていなかった。


 早速、キョーコが調理開始。私とメアリーはたき火を始める。ジュリアはお茶とコーヒーの準備を始めた。コーヒーも飲めるんだね。やったね。コーヒー大好き。


 たき火が落ち着いたので、メアリーと二人で、手頃な棒を片手に辺りを散策。小屋の周りには特に怪しいものもなく、散策終了。オーク等のモンスターも狼などの獣もいない。小屋の方から良い匂いが漂ってきた。はじめての薫りだ。炊きたてのご飯に近いけどちょっと違う。でも美味しそうな薫りだ。


 今日のお昼ご飯にワクワクしながら戻ってきた。ジュリアがコンロにかけた豚汁をかき混ぜていた。キョーコがご飯を確認。炊けたようだ。メアリーが走って覗きに行った。転ぶなよー?


「キョーコ、このご飯…炊きたてだけど腐ってるよ?茶色い…」


 メアリーが炊きたてのご飯を見て、そんな感想を述べた。何ですと!


「ふふふ、これはさくらごはんって言うんだよ?私達サイレントヒルの民が愛するソウルフード。お醤油とお酒を入れて炊くのよ?」


 キョーコはサイレントヒルの民なのか。勇者様の中にはサイレントヒルをシュティレンヒューゲルって呼ぶ人もいる。勇者様の国は言語が別れているというのが、今主流の考え方だ。ここでは私が好きなサイレントヒルの方で呼ぶこととする。


 サイレントヒルは勇者様の出身地としてはマイナー。最多はイーストキャピタル。何故なのかははっきりとわかっていない。一番有力な説はイーストキャピタルに人口が多いからではないかとなっていた。私もその説を支持している。


 確かに腐っている臭いではなく、炊きたての美味しそうな匂いだ。名前の由来はご飯の色が桜色だからだとキョーコが話してくれた。このご飯は文献にも出てきてなかったな。貴重な体験かも?私は今、歴史の一頁に載る体験をするのかもしれない。


 でもこのご飯は茶色だ。桜色は桜の花びらとか、私の乳首みたいな色だ。淡いピンクなのだよ?私の乳首はこんな茶色じゃないからね?


「まぁ、そこは考えずに感じて?今度は違うソウルフードを作るからね?ではいただきます!」


 私は先回りして立ち上がりそうな二人を押さえつけておく。


「私は、貴女達が一口食べてから食べるから。ほら逝きなさい。え?決してこのご飯が腐ってると思ってるからではないよ?本当だよ?あれ?二人とも何するのかな?メアリー?羽交い締めにするなんて行儀が悪いぞ?ジュリア?私は病人じゃないから1人でごはん食べられるよ?」


「いいから、黙って食え!このいやしんぼめ!」


 メアリーは無言で私の口を抉じ開け、ジュリアは叫んで茶色のご飯を箸を喉に突き刺す勢いで入れてきた。ぐすん。汚された…もうお嫁にいけない……あれ?美味しい!美味しいよ!ほんのりと着いたお醤油の風味と隠し味のお酒の旨味がちょうど良い。ちょっとかために炊かれたご飯を噛む毎に旨味が溢れたくる。


 くそ、羽交い締めにされてるから立ち上がって叫べないじゃないか!くそ、叫べないように口を押さえられた!


「モゴモゴ!」


「うん、美味しいね!ジュリア!作ってくれてありがとうキョーコ!」


「そうだね。美味しいね?メアリー。美味しいご飯をありがとうキョーコ!」


「ウフフ。どういたしまして。次も期待しててね?さらにローカルなソウルフードを作ってみようと思うからね?」


 解せぬ。さくらごはんは美味しいけど。豚汁も美味しいけど…ぐすん。


 食べ終わった私は、小屋の片隅で壁に向かって体育座り。キョーコは多めに炊いたさくらごはんをおにぎりにしていた。2人は木陰でゴロゴロ。あいつら仲良いな。メアリーとジュリアが親交を深めたようだ。


「マチルダ、置いてくよ?」


「もうマチルダは、いやしんぼなんだから!」


「マチルダは愛されてるね!」


 メアリー、ジュリア、キョーコの順に私に声を掛けた。私は騙されてない?ここでクヨクヨしてても仕方ないから馬車に乗り込んだ。覚えておけよ?この怨みいつかはらす。特にメアリーとジュリア。キョーコは許すよ?勇者様だし、美味しいもの作ってくれるから。


「はいマチルダ。さっきあんまり食べてないよね?二人には内緒だよ?」


 キョーコがさくらごはんのおにぎりをくれた。金髪ハーフエルフはヨダレを垂らして寝ている。問題児も今は御者をしている。こいつらが三杯食べ、鍋の豚汁を飲み干したのに私はご飯も豚汁も一杯だったから、キョーコが心配なしてくれたようだ。そうだね。勇者様に心配かけちゃダメだよね?このおにぎりを食べたら忘れてしまおう。できるかな?


「ありがとう。キョーコ!」


 おにぎりはおいしかった。インベントリに入れる振りをして、一つだけキョーコが隠し持っていたみたい。おにぎりは冷めていたけど、これはこれで美味しい。炊きたての時とは、また違った味わい。ごちそうさま。お腹一杯で幸せ。


 でも忘れることができないので、村に着いたらジュリアのランキング表を貼り出しておこう。王の都でもやろう。メアリーのお仕置きはこの苦悩の梨のネジをばかにしておくとするか。これでガバガバのゆるゆるだよ。ふーすっきり。


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