18 ジュリア先生の青空教室開催中
血の海の中央に馬車があった。馬は元気そうだ。メアリーがいるから心配はないかな。
「あ、マチルダ、私上手に殴れたよ…でも…ウプ…槍にしておけば良かったかな?」
頭がなくなっているゴブリンが数体。そのそばにメイス片手のキョーコがいた。血に濡れた勇者様だ。恐らく凄まじいスピードで、あのメイスで頭を殴られたんだろうな。
ジュリアも復活していた。御自慢の弓で少し離れたところのゴブリンを射殺。あれ?でもあのゴブリン頭がないぞ?
もちろんメアリーも。気に入ったのかな?鎖鎌の分銅を遠心力で投げて、頭を部分的に砕いていたと思われる、脳を散らかしたゴブリンが散見される。
「はい、皆さん、注目!先程のグラスウルフは動物です。このゴブリンはモンスターです。違いはなんでしょう?はい、キョーコさん」
ジュリア先生の野外講義が開始された。でも為になるから助かるね。
「えーと、二足歩行かどうか?」
「うーん、残念。四つ足のモンスターもいます。では、メアリーさん」
「ギルドの独断と偏見!」
「はい、違います。ギルドの独断と偏見はないわけではありませんが、違います。ある物が有るとモンスター、無いと動物とギルドが決めました。それではお馬さん、あれ?授業中に道草食べてちゃダメですよ?」
ジュリア先生、私解るからあててよ?
「仕方ないのでカンニングしたマチルダさん、みんなに教えてあげて?」
あれカンニングなの?ひどいよ?ジュリア先生。暴れて学級崩壊させちゃうぞ?
「魔石があるか、ないかです。でもカンニングはしてません。ひどいよ先生…パワハラで訴えてやる!」
「はい正解です。魔石があるかないかで区別します。モンスターの討伐証明にもなるので回収しましょう。ちなみにゴブリンは魔石を回収したら、素材としてとる場所はないので埋めます。たまに硬貨持ってたりしますけどね?ゴブリンの武器は金属製なら潰しで買い取ってもらえます。キロ100ギル位かな?」
芝居に付き合ったのに無視されたよ?
「じゃあ私は武器拾い集めるね?」
キョーコは武器を集めていた。逃げたな?
「魔石ってこれだよね?」
メアリーは早速ゴブリンの胸のあたりにある魔石を鎌で穿り出していた。やるな。
「そうそう、メアリーうまいね。ゴブリンの魔石は大体1000ギル前後で取引されてますよ」
ジュリアも武器を拾いながら答えた。逃げたね?仕方ないから私もナイフでゴブリンの魔石を回収して回る。最初に私が回収した魔石とメアリーが集めた魔石を合わせて7個あった。内訳は脳を散らかしたゴブリンが3、頭がなくなっているゴブリン3(うち2体に矢が刺さっていた)、馬車に惹かれたゴブリン1かな。キョーコ頑張ったんだ!?
魔石を集め終わった後、死体を引きずってまとめる。その下にジュリアが魔法で穴をほって落下。そのま火魔法をぶつけておく。こんがり。プスプスと燻ぶった。
「ふふふ、魔法はイメージが大切なのですよ。イメージがね?」
唯一攻撃魔法を使えるジュリアが自慢していた。でも攻撃に使ってなかったな。
「そっか、魔法ってイメージが大切なんだね。震えるぞハート 燃え尽きるほど…ひいぃぃぃぃ!!」
キョーコが騒いでるなと思ったら燻ぶっていた生焼けのゴブリンが業火に包まれ、穴の中から空に向かって炎は渦巻いて火災旋風が起こった。
「うぇぇ??キョーコ?なにその火力?うきゃぁぁぁ!?あつぅーい、あつぅーい!?」
これにはジュリアも驚き、ペタんとしゃがんでいた。ゴブリンが燃え尽きると同時に炎も鎮火。そこには真っ白な灰が残されるのみだった。
「すっごーい!!キョーコ、もう一回、もう一回やって!?」
はしゃぐメアリーがキョーコにおねだりしていた。
「えへへ?えい!あれ?えい!出ないや?何故?」
これは勇者様あるあるだ。勇者様の世界には魔法はない。この世界の魔法にはイメージが大事なのは学校の教科書にも載っている。で、イメージできれば誰でも魔法が使えるわけではない。例えば、私とメアリー。今のところ使えない。火が燃えるイメージはできるけど、手から火がでるイメージができないから。おっと、誰だい?脳筋って言ったのは?
話がそれた。勇者様の世界に無いものをイメージすることができないから、キョーコも私とメアリーと同じようにイメージできない。過去の勇者様は火打石の火花できっかけを作っておいて炎上させる方法を試みていたと文献にはあった。
たぶん、今回のもジュリアが燃やしたゴブリンをきっかけに炎上させたんだと推測。ジュリアも火打石から大炎上させられるかも?もしくは私達にはイメージできない凄い魔法が使えるかもね?
「キョーコの世界には手から火がでる人っていた?」
「いないよ?魔法なんてなかったしね?魔法っぽいと言えば、科学は発達してたけど、文系女子にわかるはずがないや」
やっぱりね。私はキョーコに火打石を渡す。科学がなにか、わからないけど、とりあえず使わせてみよう。まだジュリアが立ち直れてないし、もう少し行けば麓のキャンプ場だ。日はまだ高いから時間はある。
「キョーコ、火打石で火花を飛ばしてから、イメージしてみて?過去の勇者様はその火花から大炎上させたよ?」
「へーそうなんだ。やってみるね!えいや!燃えろ燃えろ…うーん駄目か。えいや!汚物は消毒だぁ!!!うわぁァァ!!」
キョーコの消毒だの言葉に合わせて5メートルほど水平に炎が出た。デタラメだな。こんなの見たことないや。キョーコの手から何か出てなかった?
「燃料をとばすイメージしてみたの。水鉄砲で水の代わりに燃料が吹き出るイメージだよ…」
「うきゃぁぁぁ!?すごーい!!キョーコすごーい!!あれ?…あちちち」
キョーコの手のひらの幅で5メートルほど燃え盛るのをみてメアリーがはしゃいでいた。熱で弾けた石があたってたけど、あちちで済むの?
ジュリアはその炎をみて力なく笑っていた。




