14 刈り取りの季節
後ろの方でメアリーの鎖鎌の分銅がウルフの頭を砕いていた。あと2頭だね。荷台から発射されたボルトが私に飛びかかろうとかがんだウルフの胴体に命中した。とっさにウルフを蹴りあげる。爪先がかなりめり込んだ。空中に飛ばされたウルフを刀を抜き打ち半分にした。
ラストのウルフも返す刀で首を落として終了。馬も無事で良かった。
「ふーお疲れ。マチルダ、鈍ってないね?」
「メアリーも凄いよ?初めて使うんでしょ?その鎖鎌は」
メアリーと笑って荷台に向かう。中にはキョーコとジュリアがいる。うん、大丈夫そうだね?
「マチルダ、ありがとう」
キョーコが少し震えながらお礼をいってきた。
「大丈夫だよ?でも初めてで当てたんだね!凄いよ!」
「ジュリアも凄いね!弓を使えるんだもん。私もマチルダも使えないからさ?」
「ハーフエルフなんで使えないとがっかりされそうで練習したんですよ?さて、素材を回収しますよ?毛皮と牙を剥ぎ取りますからね?」
馬車を降りて、剥ぎ取れそうなグラスウルフから毛皮を剥ぎ取る。ジュリア先生の指導が分かりやすい。キョーコも頑張ってるよ?
私が蹴りあげて半分にしたグラスウルフ以外は毛皮を剥ぎ取り、メアリーが粉砕したウルフ以外は牙を取ることができた。最初に牽制で投げた投げナイフも回収できた。ラッキー。
「キョーコ、次は槍かメイスで殴ってみない?」
私はキョーコに提案した。だって楽々振ってたからね。
「うん、そうだね?思っていたより罪悪感はないかな。敵意剥き出しで来るから躊躇うことなくやれそうだよ」
流石勇者様だ。命がかかると躊躇わないね。キョーコの話を聞くと、自力でステータス確認して、ここしかないっていうタイミングでスキルを使えてた。そこで使わなかったら、兵士に槍で刺されてただろう。若しくは捕縛されてロビンに色々されていたかもしれない。
毛皮と牙をまとめて、私のマジックバックへ放り込んだ。馬に水を与え出発した。
「みんな!一本木が見えてきたから、あそこで休憩だからね?」
ガタゴトと馬車を木に向かって進める。あれ?珍しく先客だ。と思ったら10人ほどに囲まれた。あらら?人相悪いなぁ!臭いし。なにその髪型、流行ってんの?モヒカンかよ?気合い入ってんな。
「ヒャッハー、お頭!おなごですぜ?」
「あぁ、こりゃ高く売れるってなもんよ!野郎共丁重に扱えよ?」
盗賊に囲まれてた。あうう、我慢だ!我慢しろ、マチルダ!まだ早い、蹴るにはまだ…あ!
盗賊の一人が幌を開けて荷台も確認し始めた。
「お頭!ここにもおなごが!しかも、べっぴん揃いですぜ!ヒャッハー!!!」
ヒャッハーって、それも流行ってんのかな?と思いながら荷台を見ると、ジュリアとキョーコは震えていた。あれ?メアリー?
「きゃー!!助けて!助けて!!おりゃ死ねや!?」
荷台に入って来ようとした盗賊に体当たりして、もろとも地面に落ちた。
「ぐえっ!?がふ!?」
鎌が赤い線を引きながら次の盗賊へ繋がり、また次の盗賊へ。
「けっ!情けないなぁ。お前は。なに落ちてんだよ?はうっ!?」
お頭と呼ばれていた男の股間に、ボチュンという湿った音と共に私の爪先がめり込んだ。そのまま青くなった顔面に膝を入れて終了。あっけにとられていた手下にも爪先をめり込ませていく。
あ、負けた。メアリーに負けた…くそう…刈りつくされた。私が三人目の盗賊の股間を蹴りあげたときには、メアリーが刈り取り終わっていた。御愁傷様です。
10人の盗賊達は、みな股間を押さえてうずくまり、再起不能になっていた。
「メアリーは鎌の使い方が上手いなぁ。流石だよ」
「元々は農民だからね?鎌は使えて当たり前です」
次は勝つ。二人は大丈夫かな。心配になって荷台に声をかける。
「ねえ、二人とも大丈夫?盗賊は一応再起不能にしたよ?」
「あはは?見てたよ。流石だよ」
「ううう、お嫁にいけない。見ちゃった。見ちゃった!!!」
キョーコが違う落ち込み方をしていた。まぁ、その辺に転がってるからね。メアリーが刈り取ったものがね?シメジサイズかな?
「ねぇ、ジュリア。盗賊はどうするのが良いの?埋めとく?」
「あ、ごめん。動けないように手足の腱を切って、金目の物は略奪してしまったよ。駄目だったかな?」
メアリーの仕事が早い。持っていた武器が集められていた。あ、金貨と宝石もあるね。
「イモ村にも一応冒険者ギルドあるので、そこで引き渡しになりますね。生きてても死んでても大丈夫ですよ?盗賊に人権はありませんから。首だけ持ってくのが楽ですね」
「私はまだ人を殺すのは慣れないなぁ。一人殺しちゃったけど…」
ジュリアの言葉にメアリーが刀を抜いてスパスパと首を落としてマジックバッグにいれていた。仕事が早いな。キョーコはちょっと落ち込んでるみたい。召喚直後にキョーコが殴って、甲冑ごと潰れた兵士は取り出せなくてそのまま火葬されたって聞き耳たてたときに聞いた。
「キョーコ。慣れる必要はないよ?自分の身を守るためなら仕方ないからね。だからね?大丈夫。私達がついてるから。でも危険なときは躊躇っちゃ駄目だからね?」
「うん、ありがとう。次は躊躇わずぶん殴るよ!」
キョーコはメイスを取り出してにっこり笑った。私に心配させないよう、精一杯の笑顔だろう。




