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12 旅立ち

「だから、この辞表は破っておくからな?」


 ギルドマスターはジュリアの目の前で辞表を破り捨てた。


「あううう、でも行きたいんです!」


「一応私達は1ヶ月の休暇だよ?」


 メアリーがギルドマスターに助言をする。そうするとギルドマスターはちょっと考えながらジュリアを見た。ジュリアは更に辞表を投げつける。これにはギルドマスターも苦笑い。


「ならば、ジュリアも1ヶ月の休暇とする。それで良いな?ジュリア。それまでこれは預かっておくから」


「良かったね!ジュリア!」


 キョーコがジュリアの手を取って喜んでいる。だからメアリーはなんで頬を赤らめているんだい?


 話の最中にエリに、さっきと同じ額の袋を渡す。これでジュリアが休むの許して?窓口の皆で美味しいもの食べてね?メアリーが他の窓口の娘に手紙を渡してるから独り占めはダメだよ?


「仕方ないですね。ジュリア、窓口は任せなさい。しっかり休むんですよ?貴女のいない間に、新人を育成しておくから。帰ってきても席はないものと思っておいて?チッ」


 流石に100万ギル握らせたからな。断ったら鬼です。でも舌打ちしてなかった?


「それじゃ気を付けてな?お前たち、ジュリアのことを頼んだからな?えーと、お前らみんなFランクか。ま、ここから上がるしかないってことだな。がんばれ」


 ええ、もっと大きくて5億位するマジックバックがおいてあったら危なかったです。生涯上がることのないFになるところだったよ。そんな考えは顔に出さず、にっこり微笑んで冒険者ギルドを出た。うわー、扉ボロボロ。駐車場に置いてある馬車に乗り込んで出発だ。


その頃お城では…


「へなちょ…げふん、げふん、ロビン王、近衛隊のマチルダとメアリーが除隊願いをあげております。ひとまず休暇を取らせましたが、如何いたしましょう」


 近衛隊の隊長はロビン王に伺いをたてた。普通の兵士ならば、隊長の権限で登用、除隊もできるが、あの二人は特別だ。なにせこの国の六人の英雄。残された二人だから。他の四人の英雄は嫁入りして、もう近衛隊にいないから。


「ちょっ、お前、今何か言いかけてなかったか?まぁ、いい。あいつらに言っておけ?除隊するなら口座の残高はこちらで押さえるからな?それが除隊する条件だ!休み中はもちろん給料はなしだ!高い給料払ってんだからなぁ。親父から引き継いで驚いたぜ?」


 ロビンは自室にこもりベッドに奴隷、元々は召喚された勇者様だった女達を侍らせていた。ベッドの脇には事切れた女奴隷が見える。でもあいつら有給休暇が蓄積されてるんだよなぁ。休んでないから。


 この国の有給休暇は全部繰り越しなのへなちょこ忘れてんな。前王は優しいから繰越した有給休暇消滅させないでくれたけど、こいつ面倒で確認してないからなぁ。よし、制度が残っているうちに、こっそり有給休暇にしておくか。と隊長が思っているとロビンがとんでもないこと言い始めた。


「それと、明日からまた召喚を再開するからな?二人の抜けた穴は近衛隊で埋めろよ?」


 またこの奴隷の中から召喚の部屋で殺されるのか。そして召喚直後に訳もわからず殺されて行く勇者達がいるのか。願わくば、あのスズキ キョーコのように自力でステータスの確認ができる勇者様の召喚を待つしかない。あのへなちょこロビンはキョーコの強硬に驚き、あろうことか我が国で唯一残されているステータスを確認する石板を壊しやがった。自分のことを確認したら石板に無能と出たらしい。


 前王は良王だった。その息子は前王の駄目な部分を、女ぐせの悪さしか引き継がなかった。謀反を起こすには、まだ協力者が足りない。せめて、前王の時に召喚され、旅立った勇者様と連絡がつけば…




 近衛隊の隊長がロビンと謁見して胃をキリキリと痛めている頃、やっとマチルダ達の馬車は王の都の門まで来た。


「こんにちは。これからイモ村まで行きます。出てもいい?」


 私は門番さんにギルドカードを見せた。


「それじゃあ同行する者のカードも確認するな?」


 門番さんは荷台にいる他の三人のカードも確認していた。


「よし、行っていいぞ、ってマチルダとメアリーじゃん。休暇かよ?」


「そうだよ、サムソン。戦からあんまり休んでないからまとめて貰ったんだよ!」


「これからマチルダの故郷に遊びに行くんだ!友達つれてね?」


「そっか。気を付けろよ?」


 私とメアリーは同業者のサムソンに挨拶して門を出ていった。サムソンは戦の時にうんこを漏らしたロビンを背負って戦場を駆け抜けて戻ってきた影の英雄だ。戦死した勇者様がロビンをサムソンに託したらしい。サムソンはロビンによって門番に降格させられていた。前王の時は部下もいる偉い人だったよ。


「ねぇ?ジュリア。兵士って冒険者カード持ってる人少ないの?」


 私は御者席から荷台にいるジュリアに尋ねた。いけね!?クッション買い忘れてた。御者席も板だからおしり痛くなりそう。


「え?そんなこと無いよ?流石に騎士様とか近衛隊にいる人とかは持ってないかもだけどね。普通の兵士はおこづかい稼ぎとか副業とかでギルドの依頼もこなしてくれてるよ?あ、マチルダ、クッション使う?」


「ありがとう。大事に使うね?」


 もうジュリアまじ女神。買い忘れてたクッション持ってきてくれてた。荷台のみんなもクッション分けてもらえてご満悦。


「そうそう、マチルダとメアリーは兵士って言ってたけど、何してたの?」


「私達はお荷物だよ?戦に出たから、そのまま続けさせてもらってたんだ。ね?マチルダ」


「そうだよ?だから簡単に休みも貰えるんだよ?」


「ふーん、流石だね?桃尻のメアリーと淡い色のマチルダは」


 ばれてーら。



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