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廃人がヒロインなっちまった  作者: 大木戸 いずみ
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4.外見事情

 一人で着替えるということを主張して、やや強引にベラを部屋の外に出した。

 怪訝な表情を若干浮かべていたが、やはり私に逆らえないのかしぶしぶ承諾してくれた。

 近々、私はこの家だけでなく、色々な場で噂されるんだろうな。いきなり性格が変わったお嬢がいる、みたいなノリで。まぁ、暫くしたら皆慣れてくれるだろう。

 人間は基本的にはあらゆる環境に適合していける。私一人の性格が変わった所で地球は滅亡しないし、大丈夫だろう。

 そんなことを呑気に考えながら私は制服を手に取り、着替えた。

 なんて、短いスカート……。それにしても今の外見のおかげか、私は制服が良く似合う。こんな可愛い女の子が歩いていたら、女の私でも二度見してしまいそうだ。

 このスカートの長さにニーハイは、世の男を殺しにかかっているな。

 もしや、ヒロインはなかなかあざとい女だったんじゃないか? ジャージど相思相愛だった私からしたら、この制服は少し心地が悪い。


 それに、おかしなことに天使と悪魔はお互いに忌み嫌っているはずなのに、何故か同じ学校なのである。同じ制服を着て、同じ授業を受けているのだ。 

 天使と悪魔じゃ使える能力が違う。つまり、恋さえ出来ればそれでオッケー☆ ってことらしい。

 運営の設定の雑さが目立つ。だからこのゲーム、母親しか知らなかったんだろうな。

 ネット友達で乙女ゲームしている子達は確かにいたけど、このゲームをしている人を見たことがなかった。なかなか癖のあるゲームの中に転生してしまった。

 天使と悪魔の恋は別に禁忌というわけではない。ただあんまり世間に受け入れられていないだけである。一昔前の白人は白人同士で結婚、黒人は黒人同士で結婚というステレオタイプの考え方に少し似ている。


「髪の毛どうしよう」

 私は鏡の前に立ち、ふわふわの柔らかな金髪を暫く眺めた。凝った髪型を一切求めていない。むしろ何か作業をするときに、邪魔にならない髪型が一番良い。

 前髪は眉より上で全く気に障ることはない。問題はこの後ろ髪だ。少し悩んだ末、私は手で一つに髪をまとめて近くにあった髪ゴムで乱暴に耳の高さぐらいで団子に結んだ。雑に結びすぎて若干、髪が団子からはみ出ているが、そこはもう気にしないでおこう。

 美少女はどんな髪型でもやはり可愛いな。私は鏡に映る自分の顔を見る。

「……ん?」

 耳タブに穴が開いている。

 え!? まさか、私ピアス穴があるの? お嬢様なのにちゃっかり開けちゃっているんだ。

 私も前世は沢山ピアス穴があった。軟骨にも開けていたし、左右合わせて十個ぐらいのピアス穴があった。私の知る限り、廃人は全くピアス穴がないか、沢山開けているかの両極端だ。

 けど、私が持っているピアスは豪華なのか、可愛らしいものしかない。

 ……うむ、作るか。

 机の引き出しを開けて、ハサミを取り出した。ペンチがないから代用させてもらおう。

 シンプルでカッコいい感じのピアスが良い。私はブレスレットのチェーンを使って、片方は少し長め、もう片方は短めのシンプルピアスを作ることにした。

 前世ではたまにサイトで小遣い稼ぎにハンドメイド商品を発売していたのだ。手の器用さは前と変わっていなくて少し安心した。

 ただ前より少し指が細くなった気がする。しなやかで細長い指は苦労を知らないように見えた。

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