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廃人がヒロインなっちまった  作者: 大木戸 いずみ
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23.学校の人気者……?

 づがれだああぁぁぁぁ。精神的疲労が半端ない。イモコはよく喋る。喋るのは好きだ。ただ、あんな風に質問攻めにされると答えに詰まる。

「んじゃ、アディオス」

 馬車を降りるなり、私はイモコに手を軽く上げてそそくさと校舎の方へ向かった。「え? 待ってよ」という声が聞こえたが、無視して私は足を進める。上手くまけますように。

 それにしても、あからさまにこうも道をあけられるとなぁ……。目立つじゃないか! 私はひっそりと陰で暮らしたいんだ。

 ヒロインはどうしてこうも目立つのだろう。可愛いからか? ……いや、まぁ、勿論、理由は分かっている。これは自業自得だ。ギルドに靴を投げつけたのを見られたのだからしょうがない。

 それに噂は色々装飾されて広がっていく。きっと、私がギルドを靴で殺そうとしたとか言われているんだろうな。

「貴女、人気者なのね」

 いつからいたのか分からないが、私の横でイモコが不思議そうにそう呟いた。

 どこが人気者だよ、私のこの引きつった顔をよく見なさい。

「これは俗に言う悪目立ちですね」

「まぁ、お兄様に靴を投げつけたんだもの。それで目立たない方がおかしいわよ」

「仰る通りでございやす」

 理性を保つ、ということをこれからの目標にしよう。

 そう心に決めて、この沢山の好奇の目で見つめられる中を歩き始めた。全く、もうちょっと遠慮して見たまえ。私は客寄せパンダじゃない。

「そんな面白いことがあったのなら、昨日学校に来たら良かったわ」

 残念そうな表情を浮かべながら彼女はため息をつく。

「そういや、なんで来なかったの?」

「入学式に真面目に参加するのなんて天使ぐらいでしょ。まぁ、何人かは悪魔も参加するけれど、ほとんどサボるわよ」

「ということは……、悪魔の皆は昨日の事件を知らない人が多いってこと?」

 目を輝かせながらそう言った私に対して、イモコは眉間に皺を寄せる。

「そんなわけないでしょ。こんなに噂になっているのよ。天使の間で話題になっていることは大概すぐに悪魔にも知れ渡っているのよ」

 ガビーン。私の小さな希望が一瞬で消え去った。

 あからさまに肩の力を落として、落ち込んでいる私に対してイモコは私の肩に手をポンッと置いて優しく呟いた。

「安心しなさい。貴女には私がついているわ」

「いらないよ」

「もう! なんて失礼なの! ユユぐらいだわ、そんな事を言うの。皆私と友達になりたがっているのよ」

 ギルドの妹と関わったら余計にギルトといる時間が増えてしまいそうなんだよ。イモコに罪はない、すまん。

 ……イモコとつるまなくても、結局、ギルドは何処までも私を追いかけてきそうな気もするけど。彼は狙った獲物は逃がさない。私をボロボロに虐めて気が済むまで一生追いかけてきそうだ。

「まぁ、ユユのその媚を売らないところが好きなんだけどね」

「私もイモコの馬鹿を隠さないところが好きだよ」

「ちょっと! またそうやって言う! それに私はシャルロッテよ!」

 イモコは私の言葉ですぐに声を上げる。そんな彼女の様子を見ているのが楽しい。私はギルド達にからかわれて、私はイモコをからかおう。これで丁度いいバランスが取れる。

「ユユって本当は悪魔なんじゃないの……」

「かもね」

 彼女に向かってニッと笑った。

 これぐらいのことで悪魔になれるのなら私はいくらでもイモコをからかうよ、と心の中で思いながら私は校舎へ足を踏み入れた。

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