20.美少女悪魔との会話 2
望みか~。ゲーム機が欲しいとか、攻略対象達から逃れたいって言っても彼女がどうこう出来る話じゃないし……。
友達欲しいけど、友達って「なろう」って言って出来るものじゃなくて自然といつの間にかなっているものだしな。うむ、私の望みか……。
「何だろう」
「そんなに悩むこと?」
元廃人なめんなよ。人間として終わってたんだからな。……だから、天使に転生したのか?
「欲がないのは天使っぽいわね」
「欲はあるんだけど、絶対に叶わん願いだからな~」
「何を言ってみなさいよ」
コンピューターが欲しいとか言っても、また訝し気な表情をされるのが目に見えている。わざわざ変人になりにいくような真似はしない。
いや~、それにしてもこうも望みがないとは思わなかった。自分にびっくりだ。
「もう、なんか思いつかんから、面倒だし助けるわ」
「……一体何なのよ、貴女は」
私の言葉に彼女は目を丸くする。
「気力をあげればいいんだよね?」
「そうよ」
どうやって!!! やり方がワカラン☆
転生して二日目でいきなりこんな高難度な技を披露しなければいけないなんて誰が想像できただろう、いや誰も出来ない。
「貴女、もしかして気力を渡す方法知らないの?」
「うん」
ここはもう正直に頷こう。分からないことは分からない。恥だとしても嘘をつくよりましだ。
「驚いたわ。貴女本当に天使なの?」
「そこは疑うなよ~。ちゃんと天使だし」
「疑われる要素が多すぎるのよ」
「何それ号泣案件」
私は露骨に悲しんだ顔をする。そんな私の様子を無視して彼女は口を開いた。
「指を鳴らして、私に気力を送ればいいのよ」
「説明が雑過ぎて下手くそ過ぎて意味わかんない」
そんな説明の仕方ある? 最初から彼女の説明に期待はしていなかったけれど、あまりの雑さに世界も震撼してるって。
「いいから、言うとおりにやってみなさいよ」
「らじゃ」
威圧的に睨まれたので私は渋々指を鳴らす。目を瞑って自分の力を彼女へ送り込むのを想像する。やり方が合っているのか分からないけど、目を瞑った方が集中できる。
「……な」
彼女の「な」という言葉が聞こえたが、私は無視して気力を送り込むことだけを意識する。
これって……、いつまで続ければいいんだろう! もはや私の気力が彼女に渡っているのかすら分からぬ。
何故かと言うと、今の私の元気度合いが全く変わらないからだ。気力なんて送ったら疲れるはずなんだろうけど、痛くも痒くも何ともない。……もしや失敗?
「もう大丈夫よ」
彼女にそう言われた瞬間、私はフッと集中をやめ、そっと瞼を開いた。




