15.攻略対象者VS私 6
「綺麗だ? 馬鹿にしてるのか?」
鋭い視線を感じた。また空気が張り詰める。だが、さっきとはまた違う緊迫感だ。もっと、恐ろしさを感じさせられる。
……ロアールよりもギルトが機嫌を損ねる方がやばいってことかい。なんか分かるわ。こやつの王様感凄いもん。
悪魔の皆が私を敵視している。こんな状況、普通の天使ならおねしょしちゃいそうだな……。
「黙るのか。どうせ、俺らの羽が不気味だから怯えてとりあえず褒めときゃいいとか思ったんだろう?」
何を言えばいいのだろう。こういう場面に居合わせたことがないから、適切な言葉が思い浮かばない。
つか、私の目も見てないくせに勝手に決めつけんなよな~。
「お前も他の女と一緒だな」
そう言って鼻で笑ったのと同時に、ギルトは猛スピードで空に向かって飛んだ。
うわ、何このスピード! さっきまで色々と考えていたことが吹っ飛ぶ。
「ちょっと、安全運転で!」
そんな私の声も風にかき消され、あっという間に校舎の前に着いた。
何、何が起こったの。一瞬でテレポート校舎前にテレポートでもしたような気分なんっすけど。
ギルトは何も言わずに私を地面に降ろした。
足元がふらつく。周りを見渡しても人ひとり見つからない。皆、真面目に学校に出席しすぎでは? ……それが当たり前か。けど、良かった。私が目立つような事態にならなくて。
「じゃあな、天使。これっきりだ」
背中を向けて歩くギルドに私は心の底から腹が立った。ギルド以外の四人も私に興味を失ったような表情を向けて歩き始めた。
……プッチーン。ブチギレモード入りました☆
右靴を脱ぎ、手に力を込めて思いっきり投げた。
私の靴はかなりスピードを出して、ストレートにギルドの後頭部に命中した。ゴッと音が響き、彼は少しよろめいた。ひ弱な男子なら絶対にぶっこけているだろうな。
「おい、てめぇ」
「女々しい男だな。人の言葉を素直に受け取れないひねくれ野郎。私はあんたらにお世辞言って親睦深めようななんてこれっぽっちも思っちゃいねえんだよ。つか、むしろ早く飽きられたいんだよ」
ギルドが私に振り向いた瞬間、私は大声で怒鳴り散らした。勢いが止まらず、私はどんどん自分の心に素直に言葉を発し続ける。
「あんたこそ私を馬鹿にするなよ。その羽! 汚れても目立たないし! 強そうだし! 天使の羽なんてただの気持ちのいい布団ぐらいにしか役に立たないんだよ! それに比べて、尖って堅くてヒーローが持ってそうな誰もが憧れるその羽! その羽好きじゃないんなら、私に頂戴よ! このカバ!」
全て言い終わった瞬間、私は物凄く息が切れていることに気付いた。普段大声上げないから物凄く疲れる。
「んじゃ、あばよ」
私はそう言って、大股で校舎の扉の方に足を進めた。




