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魔導具製作

 最初に召喚された場所で拾った杖。

 赤い大きな宝石が埋め込まれた豪奢な杖は、恐らく何らかの形で召喚に使われたものだろう。

 この大きな宝石、たぶん魔法石だと思うんだ。

 空間収納から宝石部分だけを分離して取り出し、真衣に渡して確認してもらう。

「うん、これ魔法石だね。これだけ大きければ作れるよ。あとは魔力を通せる金属みたいな物があればベストなんだけど、無ければ電線とかでも」

「魔力を通せる金属か……。あぁ、いっぱいあったわ」

 壊れて動かなくなった魔導兵器を丸ごと空間収納に入れてあったんだ。

 サイズの上限が無いから便利だよな、空間収納。

 魔導兵器の内部の部品を幾つか分けて取り出す。

「え?これって魔導兵器?」

「ああ。魔王城に置いとくと邪魔になるだろうから、纏めて空間収納に入れてあったんだ」

「なんでそんなに色々スキルがあるの?空間転移に空間収納って、貴方一体何者?」

 真衣の驚きに笑って誤魔化しておく。

 複数のスキルを持ってる理由を説明するには、どうしても返還者である事を話さないとだから、恥ずかしいので黙秘だ。

 真衣が興味津々の眼を俺に向けてくるので、強引に話を変えるとしよう。

「魔導具を作るのってどれぐらい時間が掛かるんだ?何日も掛かる様なら家に帰ってやって貰ってもいいけど」

「大丈夫、数秒で出来るから」

「な、なんじゃと!?」

 真衣の数秒で出来る発言に、今迄BLを読み耽っていたお祖母ちゃんが声を張り上げた。

「知り合いの魔導技術者は魔導具一つ作るのに数日待たされるというのに、お前は数秒で作れるのか!?」

「え、ええ……。頭の中でイメージしてスキルを発動するだけなので、すぐ出来ちゃうけど」

「なんと……。ちょっと作って見せてくれんか?」

「はぁ……」

 何故か魔導具製作にもの凄く食いついてきたお祖母ちゃん。

 金髪少女に詰め寄られて、真衣が若干引いてる。

 多分子供が異様に食いついて来たと思ってるんだろうけど、中身BBAだからねそれ。

 お祖母ちゃんに急かされた真衣は、魔法石を右手に魔導兵器の欠片を左手に持って目を閉じた。

 真衣の手から魔力の光が粒子となって立ち上り、魔法石と魔導兵器の欠片を包み込んで何かの形を成していく。

「『創造クリエーション』!」

 真衣が唱えると、左右の手から出た光が中央に集まって一つに交わる。

 光は直ぐに消え、そこには立方体の格子の中に魔法石が挟まる様に形作られた魔導具が現れた。

「おお、凄いなお主!こんなに簡単に魔導具を作れるとは。今度私の賢者の石もリニューアルしてくれ」

「はぁ……って、け、賢者の石~!?それってRPGとかでよくある伝説のアイテム!?」

「そうじゃ。魔法少女になるのに使うんじゃ」

「魔法少女……」

 真衣がお祖母ちゃんに痛い子を見る目を向ける。

 でも、その金髪美少女の痛さはベクトルが違うからご注意を。


 さて、お祖母ちゃんは凄い食いつきを見せてるけど、予想していた程格好いい魔導具では無かったので、俺はちょっと落胆している。

 この娘、デザインセンスがかなり残念だ。

 そういえば以前に足に着けてた魔導具らしき物も、鉄で補強しただけみたいな物だったし。

 まぁ、多少不格好でも使えれば良いんだけどさ。

 だから、俺の方を見て感想を求めるのを止めてくれないかな?

「す、凄いね。中々、前衛的なデザインで……」

 なんとか言葉を探して褒めてみたところ、真衣は嬉しそうに頬を染めて俯いた。

 微妙に褒めてない事に気付かれなくて良かった。

 デザインはともかく、これで異世界の人達を元に戻せるって訳だな。

 俺は真衣が作った魔導具を手にとって、色々角度を変えて見てみた。

「なぁ、これってどうやって使うんだ?スイッチみたいなものは無いけど」

「なんじゃヤクモ、お前魔導具の使い方も知らんのか?魔導具に付いている魔法石に魔力を流し込むだけで動作するぞ。お前のドラゴンの鎧も魔力を流してやれば強力な力を発揮できるじゃろ?」

 お祖母ちゃんが魔導具の使い方を説明してくれたけど、新たな事実も発覚。

 ドラゴンの鎧って魔力を流してやればもっと強い力が出せるのか。

 外気功を使えるようになるだけでも充分強いアイテムなのに、そんな裏技まで有ったなんて。

 勿体ないから、捨てるのは止めておこうか。

 それより今は魔導具だ。

「これを対象者に向けて使えば勇者が掛けた術は解けるのか?」

「うん。でも、10分ぐらい照射し続けないと効果が出ないかも知れないから、戦闘中とかは無理だと思うよ」

「え!?そうなの?」

「魔法石の魔力は大きめだったけど、それでも瞬時に解術できる程じゃなかったから」

「そうか。いや、それでも大きな進歩だ。ありがとう」

 真衣の力で効果を増幅出来る訳じゃなく、あくまでも魔法石とか金属の力の範囲でしか作れないようだ。

 戦闘中に解術出来ないって事は、相手を拘束するか意識を刈り取るかしないと駄目なのか。

 氷の女王とか騎士風のおっさん相手にそんな事が出来るだろうか?

 いや、ドラゴンの鎧があれば外気功も使えるし、魔力を流し込めば更にパワーアップも出来る。

 今なら魔王だって倒せる気がするぜ!

 魔王、窓の外を見て黄昏れたままだけどな……。


「あと、これ貴方にあげるわ。私にはもう必要ないから」

 真衣は自分の目に付けていたコンタクトレンズの様な物を取り出して、俺に差し出した。

「これを目に付けていれば催眠術の類いを防げるの。クアトロ王国の宰相が勇者から手解きを受けていたみたいで、催眠術みたいなものを使うの」

「え!?クアトロ王国の宰相!?」

「うん。私が再び捕まった時に、クアトロ王国の宰相がそれで私を洗脳しようとしたから。私は隠し持っていた魔法石でコンタクトレンズ型の魔導具を作っておいたから、洗脳されたふりをして逃げる機会を待つ事が出来たんだけど。あの3人の勇者達は宰相の目を見た時から少し異常性を見せて、私の言う事を全く聞き入れてくれなかったの。だから、もしもの時の為にこのレンズを持っていった方がいいと思う」

 クアトロ王国の宰相――そいつがラスボスか?

 それと、やはり隼人達も催眠術の類いを掛けられていたのか。

 どうも様子がおかしいと思ってたんだ。

 しかし彼奴らの能力って結構厄介だから、拘束するとなるとかなり難しいよな。

 早めに美紀叔母さんと合流した方が良さそうだ。

「有り難く貰っておくよ」

 コンタクトレンズ型魔導具を受け取ってお礼を言うと、真衣は今迄見せなかった笑顔でニッコリと微笑んだ。

 美少女と言う程ではないが、結構可愛い笑顔で少しドキッとしてしまった。

 そしてルルに抓られる。

 何、このパターン?


 話が終わってから、俺は真衣を家まで送って行った。

 俺が一緒にいると色々誤解されそうなので離れたとこから見守っていたが、俺の心配を余所に真衣は無事家に入っていった。

 その後家族とどんな話をしたのかは知らないが、メールで問題無かったと連絡があったので良かった。

 携帯を見てたら、扉の隙間から

「「お、お兄ちゃんが女の子からメールを……」」

 妹達が驚愕の表情を浮かべて呟いていた。

 女の子からって言っても、只の連絡だろうが。


 予想通りだが、やはりあの異世界に召喚されるのはこの世界の人間だけらしい。

 真衣もこの世界の人間だったので事なきを得た。

 後は手に入れた魔導具で異世界の歪みを正すだけだ。

 そして、隼人達も元に戻してやらないとな。

 最後の戦いに向けて決意を新たに、俺は異世界へ向かう準備を始めた。

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