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騎士風のおっさん

「貴様……、どうやってまたここにっ!?」

 見た事あるおっさんだと思ったら、俺が四回目に召喚された時にいた騎士風のおっさんか。

 おっさんの他にも衛兵らしき人達が2人後ろで身構えている。

 風呂に入るために全裸になったとこを召喚されて、危うく殺されかけたっけ。

 あっそうか、ルルのとこで偽装を解いたままだから俺のことを認識できてるのか。。

 まぁ偽装してても、勝手に入り込んでる時点で不審者以外の何者でも無いけどな。

 前にあった時は突然だったからしょうが無いが、今回は話せば分かってくれるかもしれない。

「いやちょっと訳あって……」

「問答無用!」

「ええー!?」

 話聞く気無しかよ!

 おっさんは腰に下げていた剣を抜いて片手で持ち、斜に構えたと思った瞬間に俺に斬りかかってきた。

 ステータスの恩恵があるのに、一瞬で間合いを詰められて躱し切れそうにないっ!

 このおっさんもかなりの達人なのか!?

 俺が空間転移を発動しようとした時、おっさんの振り下ろされた腕が左右からの拳撃で止められた。

「「お兄ちゃんをいじめるなっ!」」

 美紅と美緒が左右からおっさんの腕を拳で打ち抜いていた。

 いじめじゃなくて殺されそうになってんだけどね。

 合気道にグーで殴る技は無かったと思うんだが、妹に殴られたおっさんの腕がビキッという音を発する。

「ぐあっ!」

 おっさんは痛みに耐えきれず、剣を落とした。

 金属の小手みたいなのしてるのに、骨でも折れたのか?

 妹達恐るべし……。

 今度はおっさんの後ろにいた衛兵2人が妹達に襲いかかる。

 止めときゃいいのに。

 案の定衛兵達は妹達に瞬きする間もなく投げられて、白目を向いて気絶した。

「ん……?」

 俺は魔眼で魔力の流れが見えるんだが、何故か妹達が魔力を纏ってるように見える。

「美紅、美緒。お前らなんで魔力を纏えるんだ?」

「え?ああ、これファンタジーでよくある魔力なんだ。外気功で気を取り込もうとしたら何か変な感じしたけど、なるほどね」

「気功より強化力すごいね。鉄でも貫けそうなぐらい強化されてるよ」

 お前らマジで何者!?

 気功とか、バトルマンガでしか見た事ないわ。

 ナチュラルチートの妹達が魔力まで纏えるようになったら、完全に化け物になるな。

「「お兄ちゃん、失礼な事考えてるね!」」

「いや、全然。ちょっと化け物じみてるなって」

「「レディに対して超失礼!!」」

「レディ?準備完了って意味だったか?」

 両脇を蹴られました……痛い。

「それよりお兄ちゃん、あのおじさんは何で襲ってきたの?」

「そうだよお兄ちゃん、そろそろ説明して。これ、ちゃんと帰れるんだよね?」

「ああ、じゃあ帰って説明するから、家に戻っても騒ぐなよ」

 俺が空間転移を発動しようとすると、おっさんが左手を俺達の方に向けて何か詠唱を始めた。

 せっかく呪文発動してくれそうなので、魔眼にストックしてから帰ろうか。

「風の槍よ彼の者を貫け!『ウィンドスピア』!!」

 俺はおっさんが放った魔法をストックしつつ、ファイアボールを発動しておっさんの魔法を相殺する。

 魔法がぶつかり合った轟音が神殿中に響いた。

「何今の!魔法!?すごいよ、お兄ちゃん!」

「お兄ちゃん、かっこいい!」

 ふふふ、魔法もゲットしたし、妹達の評価も上がったところで帰るとするか。

 おっさんがすごく悔しそうな顔をしてるけど、もうこの関係を良い方にもっていくのは無理だよな。

 俺がふっかけた喧嘩じゃないし、別にいいや。

 妹達の手をとり、空間転移を発動して俺達は家に戻った。


「わわ、一瞬で景色が変わった。これ超便利」

「だね。今度これで旅行いこう!」

 妹達がはしゃいで不吉な相談を始めやがった。

 やはり妹達に空間転移は見せるべきじゃ無かったか。

 これから便利に使われるんだろうな、俺。

「ふわ~、すごい。ここどこ~?」

 何故か、足下から素っ頓狂な声が聞こえてきた。

 今俺の部屋にいるのは、俺、美紅、美緒、ルル、母さん、幼女。

「か、母さん!?幼女!!?」

 母さんがルルと一緒にお茶を飲んでいた。

 ひとまずそれは置いておこう。

 この幼女は何!?

「ねぇねぇ、勇者のお兄ちゃん。ここどこなの~?びゅんってなって、いきなりここに着いたよ~」

 あ、よく見たら四回目の召喚の時に俺の股間を凝視していた幼女じゃないか。

 いつの間について来てしまったんだ?

「あぁその娘、途中から入って来てお兄ちゃんの足につかまってたよ」

「美緒、気付いてたんなら言えよ」

「だって、敵意が無かったし。懐いてたから知り合いかなって」

 美紅に比べて美緒は気が利くかと思っていたが、けっこう適当だった。

 まずいな、これ完全におっさんの視点では誘拐になってるだろ。

 もう絶対に良好な関係は築けないな。

 あとでこっそり返してくるしかないか。

 とりあえず、幼女と少し話す。

「ここは俺の家だ。俺はヤクモ。君の名前は?」

「あたし、ミーシャだよ~。よろしくね、ヤクモお兄ちゃん!」

 うむ、かわいいので撫でてあげよう。よしよし。

 俺がミーシャを撫でてやると、美紅と美緒が怪訝な顔をする。

「「お兄ちゃん、これで前科2犯だね」」

「1つも犯罪犯してないわ!」

 事案じゃないんだからねっ!

「家の中でよかったね。外でやったら通報されるから控えた方がいいよ」

 美紅、辛辣なアドバイスありがとうよ。

 よし、とりあえず幼女は後で返してくるとして。

「なんで母さんはルルとお茶飲んでるんだよ?」

「あなた達がドタバタやってたから見に来たの。そしたら、この娘が一人で途方に暮れてたから、お茶を入れてあげたのよ。お客様を放り出してどこ行ってたの?」

 普通に空間転移を見てるのに全然驚いてない母さんの落ち着き様に、色々ありすぎてパニック気味だった俺はちょっと冷静さを取り戻した。


 さて、何から話したもんか……。

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