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白髪の美少女

「私を連れ戻しに来たの?」

 え?何を言ってるんだこの娘は?

 あぁ、そういえば今偽装してて白髪碧眼になってるんだった。

 俺は偽装を解いた。

「あ、あなたは……誰でしたっけ?」

「うおい!」

「冗談です。勇者様ですよね、また会えて嬉しいです」

 おおっ!この娘だけは他の美少女達と違って好意的だな。

 よし、これなら素直に返還に応じてくれそうだ。

「丁度良かった。君を探していたんだ」

「え……?そう……ですか……」

 んん?何か急にテンション下がったな。

 どうしたんだろう?

 それにしてもこの美少女は肌は白いし着ている服も白いし、全身真っ白だな。

 もう少し年を重ねて色気が出たら、完全に日本の伝承にある『雪女』のようになるだろう。

 そういえば、マリアさんはこの娘の種族を『ヴィンター族』とか言ってたっけ。

 この寒い環境で生活してて氷の魔法とか使えるのなら、何かの弾みで俺達の世界に来た『ヴィンター族』が『雪女』だったのかもしれないな。

 まぁそんなことはどうでもいいんだが。

「それでだ、俺を『クーリング・オフ』してほしいんだけど」

「いやです」

 ??聞き間違いか??

「大事な事なのでもう一度言う。俺を『クーリング・オフ』してほしいんだけど」

「いやです」

「何でやねんっ!!」

 おっと、取り乱して関西弁で突っ込んでしまった。

 イントネーションは関東寄りだけどね。

 何故この娘は頑なに拒否するんだ?

 確かに相手にとっては何のメリットも無い話ではあるが、デメリットでもあるのか?

 多大な魔力を消費するとか、何か対価を支払うとか?

 あ、そういえば次の勇者を召喚できるようになるまで一年かかるんだっけ。

 国の戦力として考えているのなら返還を渋るのも仕方ないかもしれない。

 さて、どうやって交渉したもんか。

 色々考えていると、美少女が俯き加減で呟いた。

「折角お友達になれると思ったのに……」

「は?」

 お友達?

 どゆこと?

 美少女は俺の方に向き直り、目に涙を浮かべて話し始めた。

「私はこの国の王女です。女王であるお母様の申し付けで、下々の者との接触が許されていないし、周りの侍女達は私とあまり話をしてくれません。そこに、今回の勇者召喚の話が来て私は嬉しさで飛び上がりました。勇者様ならば私と対等に接してくれると。私の初めての友達になってくれると。だから……だから、返還の呪文を使うのはいやです!」

 ……ああ、なるほど。

 この娘は周りに友達として接してくれる対等な存在がいなかったのか。

 王女様相手に粗相があったら手討ちなんてこともあるかもしれないもんな。

「そっか。君名前は?俺はヤクモ」

「私はルル・サンク・ヴァイスです」

「ルル、大丈夫だ。俺は返還されても戻ってこれるから、友達になろう」

「ほ、ホントですか?」

 まだ少し疑いの目を向けているが、俺の能力を見せれば大丈夫だろう。

 『空間転移』で行き来できる俺は、別に元の世界に還してほしいから『クーリング・オフ』を頼んでいる訳じゃない。

 一年後にここで勇者召喚が行われた時に、俺が返還されてないとバレるのが困るだけだから。

「証拠を見せるから、手を出して」

「は、はい……」

 恐る恐る出されたルルの手を取って、左手には脱いだ靴をもつ。

 試したことは無いけど、誰かを連れたまま空間転移は出来るような気がする。

「『空間転移』っ!」


 うまくルルを連れて俺の部屋に転移出来た。

 一瞬で景色が変わったことで、ルルは目を見開いて驚いている。

「ここは……?」

 いくら魔法がある世界にいたと言っても、日本の建築技術には目を見張るだろう。

 ここ窓ガラスあるし……ってか、マリアさんの教会に普通に窓ガラスあったから、あの寒い地域の建物が特殊なんだろうな。

「ここは、俺が召喚される前にいた世界だ。まぁ、召喚された後も普通にここで生活してるけど」

「じゃあ返還しても、今の魔法で戻ってこれるんですね」

「ああ」

 ルルは、少し頬を染めて嬉しそうに笑った。

 その笑顔があまりにも可愛くて、頭を撫でてやろうと手を伸ばした時に、最悪の事態が起こる。


 突然俺の部屋の戸が開いて、妹達が現れた。

「声がすると思ったら、やっぱりいた!お兄ちゃんさっき……!?」

「お、お兄ちゃんついに……!」

 ちょっと待て、ついにって何が!?

 なんで美紅と美緒は絶句してるの?

 今の状況を整理してみた。


 モテないブサイクな俺が、部屋で見た事無い美少女に手を伸ばしてる。

 うん、どう見ても事案発生してるね。


 妹達が廊下の方を向く。

 やばい!親を呼ぶ気だ!

 俺は素早く空間転移で妹達の側へ転移し、二人の口を塞ごうと両手を伸ばす。

 だが、右手を美紅に左手を美緒に捻られて、そのまま投げられてしまう。

「ぐえっ!」

 ステータスチートなはずなのに、こいつらの動きについていけないだと!?

 うちの妹達はどんだけナチュラルチートなんだよ!

 俺の腕を固めたまま、美紅と美緒が口を開いて叫ぼうとしている。

「「お……」」

 俺は慌てて『空間転移』を発動した。


「「母さーん、お兄ちゃんがーー!えっ!?」」

 なんとか空間転移が成功して、家から離れられたようだ。

 でも慌ててたから、どこに転移したのかよく分からないな。

「ここどこ?」

「なんか神殿みたいなとこだね」

 確かに神殿みたいなとこなので、俺が召喚された時の異世界の神殿のうちのどれかだろう。

「ったく、お前らまず俺の話を聞けよ」

「お兄ちゃん、女の子を拉致するのは犯罪だよ」

「お兄ちゃん、女の子に悪戯するのも犯罪だよ」

「どっちも冤罪だ!」

 美紅と美緒にいわれの無い罪をかぶせられ少々へこむ。

「それより、何で私達こんなとこにいるの?」

「お兄ちゃんの仕業でしょ?説明して!」

 うむ、へこんでいる兄にも容赦ないな妹達よ。

 と騒いでいたせいか、入口付近が騒がしくなって唐突に扉が開く。

 どこの世界でもノックはしようぜ。

 扉を開けて入ってきたのは、見覚えのある騎士風の鎧を纏ったおっさんだった。

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