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クーリング・オフ

なるべく定期連載できるように頑張ります。

 俺は、たちばな 八雲やくも(16才)。

 今、学校から帰ってきてる途中なんだが、突然目の前が真っ白になった。

 昨今ラノベ等で話題の異世界召喚という奴かもしれない!

 超わくわくするー!


 しばらくすると、異世界の神殿らしき景色が見え始めた。

 足下を見ると、魔方陣のような模様が俺を中心に光り輝いている。

 はっきりと視界が開けると、俺の目の前に一人の美少女がいた。

 やや長めの赤髪は肩にかかり、真紅の瞳が見開かれている。

 金のラインの入った衣服や宝石のついた杖から、この美少女が高貴な身分であることが分かった。

 やったぜ!

 大体ラノベとかだと、この美少女が召喚魔法を使って俺を呼んで、フラグが立つってストーリーだろ?

 こんな美少女が俺の……うひょーっ!もうたまらん!!

 やべ、鼻の下が伸びてたかな?

 ここは少しキリリとした顔で話しかけるか。

「こんにちは」

 俺が挨拶すると、美少女はさらに目を見開く。

 唇もピンク色で超かわいい!俺の好みどストライクだぜ!

 そして、美少女の口がようやく動いた。

「ご……」

 ??ご??

「ごめんなさいっ!」

 え?何を謝っているんだ?と思ったら、美少女は早口で何かの呪文を唱え始めた。

「彼の者を返還したまえ!『クーリング・オフ』!」


 目の前が真っ白になり、俺は元の世界に戻ってきていた。

――はぁ?

 何、今の?

 白昼夢?

 ラノベみたいに異世界召喚されたいとか思ってたから、妄想が爆発したのか?

 いや、でも妙にリアルだったんだけど。

 と、首を傾げると右手前に何かアイコンみたいなのが浮いていた。

 VRMMOとか、まだラノベの中の話だろうにと思ったが、ちょっと右手で触れてみた。

「おわっ!メニューみたいの開いた!」

 思わず叫んだら、近くを通り過ぎたおばさんに睨まれた。

 ってか、このメニューは周りの人には見えていないみたいだ。

 なんかステータスが表示されてる。



【名前】橘 八雲

【レベル】1

【HP】20/20

【MP】10/10

【腕力】5

【敏捷】4

【魔力】5

【職業】返還者

【スキル】他言語理解 空間転移



……マジか?

 やっぱりさっきのは夢じゃなかった。

 夢だけど、夢じゃなかった!

 でも、何で元の世界に戻ってきたんだ?

 最後に美少女が唱えた呪文……まさかな。

 【職業】返還者……おい!

 まぁ気を取り直して、ステータスをもう一度確認。

 なんかすげースキル覚えてるし。

 『空間転移』とか、めっちゃチートじゃん!

 ヘルプがあったので見てみると、


【空間転移】一度行った場所であれば、自由に転移できる。


 これ、異世界でも行けんのかな?

 さっきの場所に行って、あの美少女と話してみたいな。

 よし!

「『空間転移』!」


 さっきの召喚と違い、今度は一瞬で景色が変わる。

 先程の神殿のような場所に出た。

 窓は無くて、周りは大理石の壁で覆われており、正面に扉が一つあるだけだ。

 足下の魔方陣のような光は消えていて、あたりには誰もいない。

 さっきの美少女はどこ行ったのかな?

 ふと足下を見ると、先程の美少女が持っていた杖が置いてあった。

「なんか凄そうな杖だな。でかい宝石みたいのついてるし」

 杖を拾って眺めていると、正面の閉まっている扉の向こうから話し声が聞こえてきた。

「誰かこっちに来る!?」

 俺は何故か、咄嗟に柱の陰に隠れてしまった。

 扉を開けて入ってきたのは、先程の赤髪の美少女と、髭を生やした老人。

 二人は何か揉めているようだ。


「何故、せっかく召喚した勇者を還してしまわれたのですか。次に召喚の儀を行えるのは一年後なのですよ?」

「……だって、しょうがないじゃない」

 勇者って、俺のことかな?

 俺は数多のラノベと同じく、やはり勇者として召喚されてたのか。

 でも、何で俺は還されたんだろう?

 そこは俺も聞いてみたかった。

「だって、容姿が好みじゃなかったんだもん!」

 ……。

「あんなブサイクを我が国の勇者だなんて、他国に宣言出来ないでしょ!」


 俺はそっと『空間転移』を唱えて、自宅に帰ってちょっと泣いた。

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