表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

優しさって何?

作者: 青咲りん

 優しさとはなんだろうか。


 昔、親が「優しくしなさい」とかいっていたのを思い出す。


 優しさ。俺は、これを考えるために、自分が優しいと感じる事象を纏めてみた。


 結果、解ったのは、「優しさを感じるのは、自分にとって都合がいい時」だった。


 驚いた。なるほど。そういうことか。と、俺は一人納得した。


 学校のクラスメートに、これを発表したのだが、しかし受け入れてもらえなかった。そんなはずはない、それは違うと。


 学校の先生までもがそう言った。


 俺は悔しかった。だって、何回考え直しても、同じ答えしかたどり着かないからだ。


 俺は否定するやつらに、じゃあ、優しさってなんだよ?!って聞いた。すると、やつらは、心が暖かくなるようなとか、ふんわりとするようなとか。


俺は問い直した。


「そう感じるのはどういうときだ?」と。


「そう感じるときは、自分にとって、都合のいいときだろ?違うか?」と。


奴らは黙った。認めざるを得なくなったのだ。俺はそう思った。


「自己中」


そんなとき、どこからかそんな声が聞こえてきた。


「そういう考えを、自己中って言うんだよ」


 俺の頭は、自己中という言葉を瞬時に検索して、意味を確認する。


「自己中。自己中心的。自分を中心とした考え方。ハッ、笑わせるな。なにも自己中心的なんかじゃないではないか!なんなら何か?お前は、事の真の深まで視る奴は、みんな自己中とでもいうのか?バカにするなよ?」


 授業中に、こんな口喧嘩の発端がそんなことを言う。


 教室はシンと静まり返った。


 やってしまった、何てものは一切感じなかった。


 俺は知っている。観測者が観測対象になれないことを。客観的意見は所詮、他人の主観的意見に過ぎないことを。そして、主観体は客観的立場を理解できないことを。


 俺は言いたい。バカなのは俺を含めここにいるやつら全員だろうと。


 どうやら、この世界は俺にとって優しくないらしい。


俺にとって、都合が悪いらしい。


 あぁ。どうか、どうか俺を優しい世界へと誘ってほしい。


 俺はそう思い、一筋の涙を流した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ