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繁栄の象徴である家族の物語  作者: 華弥
Moon
2/2

新しい明日



家族に心配をかけるのは分かっている。

だけど、今しかないのだ。


”私の命はモナンと一緒に、旅に出る



ごめんなさい”


一つ一つの言葉に愛を込めて。


家族にそっと、キスをして、もう少しだけ寝ててもらうの。

カバン一つに本を持って私は家を出る。



駆け足で裏庭に行き、モナンの用意してくれたボートに乗って向かいの林まで漕ぎ続ける。

ふと振り返り家を見渡す。

そしてありったけの愛を込めて風を吹かす。家族は目を覚ますだろう。

いないことが気付かれるのも時間の問題だ。



残り50m近くまで来た。

普段ボートなんて漕がないから腕の力が限界になってしまいそうだ。そこでモナンが力を貸してくれた。


ありがとう、モナン。


”空の近くなら、この先にいいところがあるよ!”

と楽しそうに語りかけてくる。


”少し歩くけどね♩”

おどけた事を言いながらも二人は空に近いところへと向かった。


子供の頃2人で怒られた話とか、弟達が産まれた日の事とか懐かしい話をしているうちに空に近いとろまで辿り着いた。



”本当に、本当に封印しちゃうの?”


もう決めた事なの。


”きっと僕の声も聞こえなくなっちゃうし、ママやパパ、弟達にも会えないかもしれないんだよ!!”


モナンの声が熱くなっているのがわかる。

だけどね、もうモナンを生き返らせる事のできない魔法なんて私には必要ないの。

お願いモナン。ずっとそばにいてね。



”お姉ちゃん。わかったよ。

それじゃ、本を開こうか。”



その本には魔法を封印するとどうなるか色々なことが書いてあった。だけどそんなところはすっとばして、封印するための言葉を探す。


そうだ、その前に。

髪を切ってブロンドの髪から黒にしよう、そして瞳の色もブラウンに。きっと両親でもわからない自分になる。

自分でも自分をわからなくなってしまうかもしれない。

それでもいい。この厄介な魔法なんて力が私から離れるのなら、なんだってするの。


”お姉ちゃん!まるで別人だね!綺麗だよ!”


弟に褒められて少し照れるけど。


準備満タン。


モナン、読むよ。


その言葉はそう長くはない、簡単に二言。

目をつぶって発する。


すると大地は揺れ風が吹いてくる。

周りの木々が倒れるほど。

それでも目を開けなかった。

次第に体は浮き始め体の中の何かが本に吸い取られている。


本の30秒もかからなかっただろう。

魔力を全て収めた本は大きな音を立てて閉まり鍵が掛かった。同時に本から爆風が発せられまだ浮いていた体は、爆風と共に遠くへ飛ばされてしまった。



薄く目を開けたムーンは自分が空を飛んでいるみたいに感じた。

だがどこか寂しく、ひとりぼっちな気持ちしかしないムーンは風に身を任せながら再び目を閉じた。





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