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DATA 4:再挑戦

サブタイ漢字2文字縛りはここで瓦解。

なんとか内容に合う2字熟語を探してみたけれど、私の語彙じゃあ無理だった。

漢字のみ縛りはなんとか貫きたいけど、はてさてどうなることやら…

無駄にちょっと格好良く最後を締めてしまい、今になって少し恥ずかしいような気がするのが前回までのお話。

あれから魂の遺跡に再突入し、壁を壊し、針を越え、リザイトを倒し、因縁の場所へ。

足を踏み外さないように気を付けながら、全員でリフトに乗った。

よかった、今度のリフトは傾いたりしないようだ。

そして、壁の穴の中へ、滴が入る。俺達はリフトの上だ。

「ふむ、どうやらこのリフトは全員で乗っているときだけ進むようですね。

そして、誰か一人でも降りると、しばらく停止したあと、消えて元の位置に戻る」

「え――じゃあこのままだと俺達は――」

「すぐに戻ります、安心してください」

穴の中には宝箱があったらしく、中にはやはり鍵が入っていたらしかった。

「それと、宝玉(オーブ)が一つありました。

誠司さんッ」

ひゅっ。

滴は宝玉を誠司さんに向かって投げた。

「こんなところで危ねぇよッ!!っと」

といいつつもしっかりキャッチしたり。

そして滴もリフトへ戻る。リフトは再び進み出す。

しばらくしてリフトが次の扉のある対岸に着く。

鍵を使い、先に進む。

そしてその次の部屋はというと――

何もない。

何か物足りない、というような感覚に陥るほど、何もない。

ただまた次の部屋への扉がひとつあるだけ。

殺風景にもほどがある――

と、思っていた。

が。

「この壁だけ色が微妙に違う――壊せそうです。

しかし、見たところこれはとてつもなく硬いもので作られているようです。一撃の衝撃を分散させず、一転に集中させる攻撃が必要です」

「俺、いけるぜ――」

そう言って名乗り出たのは誠司さん。

なんか最近、誠司さんばっか活躍してる(¯3¯)

「『禁肉質』――ふんッ!」

誠司さんは右腕に力を込める。すると、その右腕に呪印が浮かび、黒く染まっていく――いや、黒っぽいのはもともとだけど。

そういう日に焼けたような焦茶とかじゃなくて――黒紫のような色。

「誠司さん、あんた、その腕――」

「ああ、そうだよ呪われてんだよ俺――今となっては手懐けたがな!

よし行くぜ……はぁっ!!」

ばかぁぁん、と轟音を鳴り響かせ、壁が崩れ落ちる。

壁の向こうには少しの空洞があり、その中にはスイッチがあった。

「何が起こるか分からないので、みなさん気を付けてください――」

滴がスイッチを押す。

横からどさっ、という音がした。上から宝箱が落ちてきたらしい。

と同時に、背後から骨の擦り合うような音もした。

以前倒した、スケルトンが2体。

といってもおそらく同種族の別個体、あのときのスケルトンとは別人ならぬ別骨だろうけど。

「ヒッヒッヒィ……

クラエ、スカル剣ポーさミダれ斬り!!」

剣を乱雑に、しかし確かに高速で振り回すスケルトンA。

その斬撃範囲内に、心さんが入り込む――入り込む!?

斬撃の範囲内に入っているのに、心さんに斬撃はまったく当たらない。

かわしているのだ、あれだけの斬撃、連撃を――紙一重で。しかし、心底余裕そうな表情(かお)で。

「ナッ、ナメやがっテ……!」

「そんなただ闇雲に剣を振り回しているだけの技なんて、剣技とは言えませんよ――

立木流、『枝』!!」

『斬る』よりも『叩く』ことに特化した、峰での横薙ぎ一閃。

「グァッ……!!」

心さんがスケルトンの一体を相手している間に、俺はスケルトンのもう一体と向き合う。

「損害村流拳法――『損害賠翔』!!」

横薙ぎ踵蹴りで、スケルトンを崩す。

2体のスケルトンを倒し、一旦一段落。

宝箱の中身は、以前滴が言っていた、『タマシイ』が封じ込められた石。

解放した。

そして俺は、こんな至極どうでもいいことを思う。

(でもゲームの遺跡って、なんかこう、棺とかがあって、ミイラのモンスターとかが出てくるもんなんじゃねぇの?)

どうでもいいこと――のはずだったのに。

次の部屋。

少し薄暗く、辺りがよく見えない――

目をよく凝らして前を見ると、棺が3つ。

えぇ、ありましたよ。

突然、棺の蓋が独りでに開き出す。

その中からは子守蝙蝠2匹、マム・マミー3匹。

…………

……いやマム・マミーってなんなんですかねぇ。お母さんのミイラなんでしょうか。

ふと、俺は次の扉に目をやる。

鉄格子で閉ざされている。こいつらを倒さねばならないらしい。

と。

「アンタ……チャントキノウ、ハヤクネタノカイ……?」

マム・マミー、開口。

「ネ……テ……」

「えっと」

「……ナイノカ(゜Д゜)ゴルァァァァァア!!!」

手にしたおたまをぶん回しながら攻撃してきた。

RPGでよくあるモンスターの説明・解説。あの、見るからに設定っぽいあれ。

に例えると、生前の息子に俺らを重ねているらしいが……どんなDV親だ。

「痛たたたた!;」

暗いからよく見えない。そのため、なかなか攻撃をかわしづらく、結構殴られてしまう。なんだこれ、地味に痛ぇ。

おかんの怒りってやつか。

紅蓮の(Blood)閃き(flash)!!」

そんな中、小さな体躯と持ち前の身軽さをフルに利用し、全てのおたまアタックを回避したらしいジュリーさんの攻撃が炸裂した。

血のように禍々しく紅い焔を纏った、鎌での一筋の閃き。

つーかジュリーさん、武器を持っているときは本当に戦闘センスが持ってないときと比べ物にならねぇ。

「たぁっ!」

どぉぉおん!!響く爆音。

滴も、ロケランで助太刀する。

ていうかこいつ戦闘で活躍するの久しぶりだな。

「天土さんうっさいです。」

なんで聞こえてるの。

「グギャアアアア!」

マミー3体は燃えながら、倒れていった。

哀れなマミー。

ぐわんぐわんぐわん。

狭い部屋で銃火器なんてぶっ放すから、残響がひどいんですが。

「仕方ないじゃないですか」

試してみたら、やっぱりまた聞こえているらしかった。なんで?

なんて思考している場合じゃない。動きの素早い子守蝙蝠は今の攻撃で倒しきれてない。

「キキッ!!」

「痛ッ!」

こちらの攻撃の届かない天井近くから一気に急降下して、体当たりしていく。

そしてすぐにまた天井付近に避難してしまう。なにこれうざっ。

「キキキキキwwwww」

しかもなんか嘲笑われてるっぽいし。なんかすげぇムカつく。

「立木流『種』――」

立木流最速の連撃で、心さんが攻撃に出る。

攻撃回数が多い代わりに一撃一撃の与えるダメージが少ないのだが、それでもライフの少ない蝙蝠を絶命させるには充分過ぎる技だった。

「損害村流拳法――『治外崩拳』!!」

「キキィッ!!」

損害村流拳法の中でも比較的扱いやすい技、突きの治外崩拳で、俺も蝙蝠を撃墜する。

うん、さっきのあいつらの煽りで少しイライラしてたけど、型を崩さずに打てたぜ。

どうやら俺と心さんは相性がいいらしい。

敵を全滅させたことにより、扉を塞いでいた鉄格子が上がる。

暗い。

今いた部屋は『薄暗い』と表したが、この部屋は完全に真っ暗である。

手探りすると、一本の松明があることがわかった。

紅蓮の(Blood)閃き(flash)!!」

火を灯すと、部屋が少しだけ明るくなった。

すると、松明の下に一本の木の棒が落ちていることにも気付く。

「ふむ……どうやらこの部屋の松明はこの一本だけではないということですね……」

「どういうことだ?」

「ゲームで似たような状況を経験したことがあるんです。

この部屋の全ての松明に、どれか一つでも火が消えてしまう前に同時に着火すると、謎が解けるみたいな感じです」

「じゃあ全部の松明にぶらっどふらっしゅすればいいじゃん」

「だからあなたはバカだと言ってるんです。なんのための棒ですかこれは。

それにジュリーさんはあまり体力がないんですよ?いちいち力を溜めて鎌を振っていたら、時間にも間に合わないし腕も疲れてしまうでしょう」

すると誠司さんが言う。

「さて。俺は体力には自信があるが足は速くないぜ……で、ジュリーちゃんは足は速いけどスタミナが続かない……

そして滴は両方ダメ……」

「うるさいですね(^ω^#)」

あ、こいつ俺以外にも怒るときは怒るのね。

「じゃあ心か天土のどっちかだよな」

「俺、行ってくるよ」

俺は名乗りを上げる。

「そうか。じゃあ天土、任せたぞ」

まずは棒を滴から受け取り、松明から火を貰い、駆け出す。

すると、残された4人の近くの床から、影のような手だけのモンスター、シドマが闇に紛れて現れる。

「きゃあっ!!」

ジュリーさんの足を掴み、そのまま握り潰そうとする。

当然その事に、他の松明探しに夢中になっている俺が気付くはずもなく。

「このッ!!」

誠司さんが、ジュリーさんの足を踏まないように器用にシドマを踏みつける。

シドマは簡単にぽしゅっ、と消えてしまった。

「ありがとうございます。助かったわ」

しかし、安心も束の間、もう一体シドマが現れる。

「懲りない奴めこの……あっ」

もう一度踏もうとする誠司さんだが、逆に足を掴まれ、払われてしまう。

「この~~~~ッッ!!」

誠司さんおこだよ。

「水神流『水門』」

まぁ、2秒後にやられたけど。

それに怒ったかのように、次々とシドマが現れる。

「ゾオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛……」

後でみんなから聞いたことだが、まるで嘆きの唄を歌っているようだったってさ。

「ほう……面白い。何度でも蘇るとは。

ではこちらも、そちらのほとぼりの冷めるまで、いくらでも付き合ってあげましょう……」

これも後々みんなから聞いたことなんだけど、心さんこの時すげぇ表情だったらしいぜ。楽しそうとも、邪悪そうとも聞いたけど。見てみたかったな。


「おっ、下への階段。松明あるかなー……

……おお、あったあった」

こうして俺は、5つ全ての松明に火を灯し終えたわけだ。

なんも紆余曲折なかった。苦労したことと言えば、あまり飛ばし過ぎて棒の火が吹き消えないように気を遣ったくらいだ。

5つの揺らめく炎が、部屋全体を照らし出す。完全に明るくなったことにより、無限に湧いて出ていたシドマも、出てこなくなった。

そして、2つの宝箱が現れた。

サイズは両方とも、普通のアイテムが入ったいつもの宝箱より、少し大きめ。

片方には派手な装飾がしてあった。

その、装飾がしてある方からは『ボス部屋のカギ』。

してない方からは『疾風迅雷の弓矢』が。

「どんな武器でも扱えるジュリーさんに持たせておくのがよいでしょう。

でも念の為、紅の鎌も持っていたほうがよさそうですね」

しかし……

ボス部屋のカギを手に入れたのはいいのだが、これまでの道のりにも、そして今いるこの部屋にも。

ボス部屋への扉などあったか――?

「あーーーー!!」

考えていると、滴が唐突に大声を上げる。

「なんだよ……いきなりでけぇ声あげんなよ。

一体どうしたんだ?」

どうやら、壁に何かを発見したらしい。

「これは――この遺跡のマップです!!」

「「「「∑なんで今更っっっ!!?」」」」

「さぁ……」

あまりに大きすぎるから今までただの壁の模様かなんかだと思っとったわ。首が痛い。

「でもボス部屋の位置がこれでわかるんだからいいじゃないですか。

えーと……

……最初の部屋ですね」

「∑戻んの!?」


戻るシーンは割愛。

はい、最初の部屋。

「右の壁が脆かったんでついそっちばっか見てました……

左の壁も、少し硬いですが壊せますね。連撃でいきましょう」

強拳病(クレイジードッグ)!!」

「立木流『(つぼみ)』!!」

「損害村流拳法――『治外崩拳』!!」

(Thunder)風迅(wind)(arrow)

「ロケラン!!」

ガラガラと崩れていく壁。

うむ、なかなかどうして完璧な連携だ!!

「行きましょう」


 *     *


「しかし長いなこの階段……どこまで続くんだよ?

もう30分は経ったぜ?」

「あ、見えましたよボス部屋への扉!」

カギを使い、中へ。

「ふむ……

おかしいな……誰もいない?」

「否――上を!」

見ると――一匹の蜥蜴が天井に張り付いていた。

こいつこそがこのダンジョンのボス、魂喰竜型獣リザイルゴなのだった。

キャラプロフィール 4

(そう)誠司(せいじ)

齢:42

特化:筋力(パワー)

性別:男

身長:202cm

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