ニヒルな目覚まし時計
吸血鬼犯罪捜査官 美紅のキャラクター、春樹の元になったキャラ。
「やれやれ。」
どうやら夜が明けたらしいな。
まったく因果なものだな。
ちっ、生まれながらに厄介な仕事を押し付けられたものだ。
ん?
俺が誰かだと?
アホぅが!
見てわからんなら聞いてもわからん!
だが、まぁいいだろう。
俺は平たく言えば、まぁ目覚まし時計だ。
今日もまた、このろくでもない仕事をこなさねばならんのでな!
ピピピ……
ピピピピピピ……
ピピピピピピピピ……
「おい、アホぅが!
とっとと起きろ、この寝坊助が!!」
すると、先ほどからそいつを見守っていた、こたつ花魁が出しゃばってきやがった。
「いつも毎朝、ご苦労様でありんすね。
でも剣騎さんは今日も起きる気配は見せないでありんすが……。
まぁ、あちしの中が居心地良すぎて夢から覚めないのでありんすね。」
ちっ!
こっちは寒い中、起こしてやろうというのに!
「おい、アホぅが!
起きねば遅刻だぞ?」
するとこたつ花魁は笑いながら静かに首を横に振った。
「いっそこのまま寝かせておやりなんせ。
あちしの体に暖められて夢心地のお方を起こすのは哀れというもの。
あちしに身を任せて悦楽の世界を楽しんでいる御仁を起こすには忍びないでありんすよ。」
ふぅ。
まったく……。
「貴様がそうやって甘やかすから、このアホぅはいつまでも起きんのだ!」
俺は躍起になってこのアホぅの耳元まで行き、あらん限りの声で叫んだ!
「貴様ぁ!
このまま起きねばまた遅刻だぞアホぅが!!」
すると、今までにやけた顔をしていた剣騎は、苦々しく薄目をあけ、悪態をついた!
「うう…。
うるさぁぁい!
まったく五月蝿いんだよぉ!!」
剣騎は不機嫌な顔をしながら憎々しげに俺を見て、スイッチを押して俺の口を封印すると、またつかの間の夢に旅立っていった。
「まったく、このアホぅは!
これだからこやつは御し難いのだ!!」
俺の気も知らないで、こたつ花魁はその妖艶な笑みを浮かべて、クスクスと笑っていた。
そしてまた……
このアホぅはギリギリの時間になったら俺を逆恨みするのであろう。
アホぅが!!
FIN……




