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階段を駆け上がるケイドロ

視点は戻り、江角ビジョン。




同時進行って楽しいですね。

「はぁはぁはぁはぁ......」


私は今、階段を駆け上がっている。




ちなみに、自分の足で。




え?

バイクはどうしたのかって?


あー。

えーと、それは、ねぇ...




つまり、今はないのだよ。




......どや顔で言っても意味ないか。


かと言って私も、せっかくのバイクをなくしたくてなくした訳ではないが。




外にいた黒いサングラスのお兄さんは、全て斉藤さん(仮)が食い止めてくれているのだろう。

だが、初めから建物内に潜んでいた相手の対処は自分でしなければならない。


私は斉藤さん(仮)が車で弾き飛ばしたように、バイクで彼等を弾いていた。

最初の内は、上手くいっていたのだが。




バイクの動きを止めようと、タイヤを撃ち抜く輩が出て来た。

勿論、バイクのタイヤには銃弾を弾ける程の耐久性はない。


タイヤはパンクし、バイクは止まってしまった。




私は咄嗟にバイクに火を放ち、爆発させて彼等を足止めした。

そして時間を稼いでいる内に、少しでも上へと登り続けているのだが......




斉藤さん(仮)は何故、上に何かがあると思ったのだろう。

斉藤さん(仮)は、何か知っているのだろうか。


そう言えば、斉藤さん(仮)は大丈夫かな。

一人で何人も相手をして。


いくら車があると言っても、何時間も走らせる訳にはいかない。

体力的にもキツいし、何より、ガソリンが減る。


先程、車を降りる前にメーターを見ていたが......やはり、ガソリンは切れる間際だった。

こんな所ばっかり、リアルなんだから。


中途半端な夢は、嫌になってしまう。




初めから、分かっていたんだ。


彼は私を逃がすために、わざと車を止めたのだと。

ガソリン切れを相手に、そして私に悟らせないために。


斉藤さん(仮)は、そんな優しさを持ち合わせている。

例え"twilight world"では逃亡中の殺人犯だとしても、彼は心を持った、きちんとした人間なのだ。




斉藤さん(仮)は、今頃どうしているだろう。

無事でいてくれると良いが......




生きているのだろうか。




その問いが、ふと頭によぎった。


唐突過ぎて、何故そんな考えに至ったのかすら分からなかったが。




多分、それは。

死亡フラグのせいだ。


私が夢の中で告げた、死亡フラグのせいで。




「......斉藤さん(仮)」


私がこんなこと、今更言える立場ではないけれど。




「お願いだから、無事でいて......」


自分勝手かもしれない。




それでも、貴方の無事を願わずにはいられない。

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