久しぶりに続投です
彼女は憤まんやる方ないというように、しばらく憤っていたようだが、周りの友達が宥めすかしたようで、ようやく笑顔も見えるようになっていた。
翔平は、なんとなく気になって、彼女達を眺めていた。
いわゆる、女子会ってところか。
翔平と年端が同じくらいの女性が4人、割と声高に喋っていたので、会話の内容も大方は解る程度に聞こえてきた。
西野も美香も、ボーッとしている翔平を見て、会社の事を考えてるんだろうと、今は構わないように二人で世間話のような、大したこともない会話をしていた。
翔平は、なぜか、さっき憤っていた彼女が気になっていた。
(なんで、あんなに熱くなれるんだろう。何に熱くなってるんだろう)
しばらく会話を盗み聞き(?)して、彼女が花火師なのだと解った。
花火は夏の風物詩のように思われがちだが、大きなセレモニーやイベントには欠かせない「華」であり、花火大会は夏だけじゃなく、いろんな季節、いろんなシーンに使われるべき、だと彼女は熱弁していた。そして、それは、自分達(花火に携わる人間)が企画立案していかないといけない、のだと。
だが、花火師は職人、どうしても作り手のまま現状を打開出来ないでいる。彼女が何代目なのかは分からないが、先代はそういう行動には出ないようだ。
翔平はそういう話を聞きながら、なぜか次第にその彼女の仕事、花火師という職業に興味が湧いた。
その花火師である彼女が、熱く語った。
「私は、みんなが好きなオシャレ、ネイルやバッグ、エステなんかには興味がないの。別にそれが悪いとかじゃなくって、私は私達が育てた華を、もっと空に描きたいだけ」
その顔を見て、翔平は思わず声に出してしまった。
「そんなにイイものなの?」
彼女の対面に座っていた女の子と目が合った。
彼女に目配せしたようだ。
彼女は振り返って、言った。
「何が言いたいの?」
彼女は翔平を睨んだ。
思わずたじろぐ翔平だったが
「い、いや、そんな大層なものなのかなって。花火を作るのは大変だと思うけど、そこまで熱く語るほどなのかってね」
たちまち彼女の顔が紅潮した。
「なによ!何も知らないくせに!偉そうなこと言わないでっ!!」