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休みの間に進められるだけ進めたらいいなぁ


西野の話がまったくの想定外だったことで、一気に酔いが冷めた。

「ゆっくりって・・・」

翔平はボーゼンと西野を見て言った。

「社員なんて考えた事もないし、今の生活をどう変えたいとか考えた事もなかったし、正直、やりたい事が見つからないからアソコにいるんだよ」

西野も翔平の性格は分かってるつもりだ。あまり押しても逆効果なのは分かっているので、あえて説得もしない。

「そうか。まぁ、社員になるのがイイとは思わないから、お前の思うようにしたらいいと思うよ。まぁ、考えるのだけはしてやってくれよ」

「ああ・・・」

ジョッキに半分残っていたビールを一気に飲み干し、やや斜め上をボーッと見つめる翔平だった。

[社員とかムリ。責任とかムリ。ホントにヤリタイ事ってなんだろう]

そんな時、美夏がやって来た。

「クニさん、こんばんはー」

急いで来たのか、少し息を切らせている。

「よー、美夏ちゃん。いつも可愛いね。翔平にはもったいないなぁ」

邦広が軽口を叩いたが、翔平は反応出来なかった。

「やだーマスター、そんなホントの事言ったら翔平可哀想でしょー」

美夏は二人の会話を知らないので軽口で返した。

翔平がハッと気づいて

「あ、美夏。来てたんだ」

「なによ、それ!」

美香は少しムッとしたように言ったが、西野が素早く目配せしたのを見逃さなかった。

「急いで図書館言ってきたのよー。翔平、飲み過ぎてないでしょうねー」

笑いながら空気を読んだ。

「あ、ああ、まだ一杯目だよ。な、西野」

翔平が慌てて同意を求めるのが可笑しくて、笑いを堪えながら

「あ、ああ。まだ一杯目だよ」

と、美夏に翔平が気づかない方の目でまた目配せしながら言った。

「ならいいけど。じゃ私もビール飲んじゃおっかな」

「お、おう、任せとけ」

なぜか、翔平は焦りながら美夏のビールを入れに行った。

翔平が離れた隙に、西野は美香に早口で話した。

「ウチの会社が、翔平を社員にするかって話があって、今それ伝えたところなんだよ」

「え!ホントに?!」

「ああ。だから、今ちょっと動揺してるみたいだ」

美夏は、それだけ西野から聞いただけで、大体の状況をのみ込んだ。

翔平がジョッキを持って美夏の前に置くと、美香が言った。

「ありがと、翔平。じゃ乾杯しよっか」

美香が明るく言う。

「あ、でも何に乾杯する?」

美香が二人を見回して言った。

翔平がそれに応えて

「そうだ!西野の転勤、栄転が決まったんだ、それを祝おう」

「え!西野くん、転勤なの?!」

「ああ、そうなんだ」

西野が笑顔で答えると

「とりあえず、乾杯しようぜ!」

翔平が急かした。

「そうね」

「じゃ西野の栄転を祝って、カンパーイ!」

三人はジョッキをぶつけた。




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