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ep.6-2 Rebirth

「い……異世界転生!?」

「しっ!声でかい」


 校庭端の木の根本で、葵が仰天の声を上げる。見ると、まるで自分を見る目が変わったかのように、瞳孔が見開いている。


「その……ラグール?とかいう人。杏子が最初に倒した人なんだよね?」

「うん」

「異世界からやってきたんだよね?」

「うん……」

「なら、もしかして……本当じゃない?」


 葵の言葉に私の心が大きく揺れた。本当、の2文字がいままでにないくらい恐ろしく感じる。


「ちょっと、葵ちゃん……」

「いいの、ユズ」


 なだめる優月を私が制止する。2人とも、自分のことを本気で考えているだけあって胸が苦しくなる。


「私さぁ、やっぱり夢の内容が気になってたんだ。おかしいって、なんか変だって。でも、昨日言われて納得した。あれは、私の前世なんだって」

「杏子ちゃん……」

「だって、夢にしては妙にリアルだったし、胸に勾玉みたいなのもあったし……」


 納得した、というのは半分嘘だった。霊的なものは信じない私にとって、前世とか来世というのはまさに信用に値しない話だった。


 ――でも。


 私は言い淀んだ。いままで私は予想だにしなかったことを何度も聞いてきた。


 白龍、iARTS、フロンティア人……。


 そんなものが存在するなんて、数ヶ月前なら全く信じなかった。


 だから。


「だから、前世ってのも本当なんじゃないかなって」

「でも」


 葵がわずかに身を乗り出して言う。


「杏子は、杏子だよ」

「うん!杏子ちゃんは、杏子ちゃん」


 穏やかな優月の声がそこへ合わさる。


「わたしが会いたかったのは、杏子ちゃんだよ。杏子ちゃんがいるからこそ、わたしは生きてるんだよ」

「私も、杏子と友達になれてよかった」


 私は涙を堪えた。顔を俯かせ、悲しげな表情をしているのがバレないようにした。


 けれども、私の気持ちは葵には筒抜けだった。


「ほーら!笑ってよ杏子」


 葵の冷たさと暖かさが入り混じった両手が、私のほっぺに触れる。


「杏子が笑ってこその、私たちロボット同好会だよ」

「私たち……」

「そう!私たちは3人でひとつ!だから、悲しみも3分割!」


 ――悲しみも……。


 堰を切ったように、涙が目から溢れ出した。何度もこらえようとしたが、全て無駄だった。


 私の背中を優月が力一杯に叩く。ダンと勢いよく音が弾む。


「いまは、いっぱい泣いていいんだよ……泣いた分だけ、強くなれるから……」

「強く……」


 私の口が言葉を重ねる。


 ――強く。


 ――強く。


 ――そうしたら。


「私、本当に街を……みんなを守れるのかな……」

「はーい、弱気になっちゃダメ!」


 優月がしゃがみ込んで私の顔を覗いた。


「わたしたちは、最強のバディ!はい言って!」

「わたしたちは……最強の……」

「もう1回!」

「わたしたちは、最強の、バディ」

「もっと力を込めて!」

「わたしたちは最強のバディ」

「最後に!」

「わたしたちは最強のバディ!」


 「合格!」と立派な声が優月の口から飛び出す。


 どことなく、強くなった気がした。守れるような、そんな気がした。


 その時だった。


 ドーン!という爆音が遠くから鳴り響いた。校舎の窓ガラスも微かに震えている。


 私たちは思わず視線を音の方へと向けた。黒煙が噴き上がっていた。


「なに、なに?」

「爆発?」


 校庭で遊んでいた生徒が一斉に騒ぎ立てる。


 その中のひとりが指さした時、私たちは犯人をその煙の中に見た。


 黒い影。


 異様なまでに大きな、鉄の輪郭。


 巨大ロボットだ。


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