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第1話 出会い

誰にも求められてないのに連載にして見ましたw

書くのって楽しいですね!自己満ですが、クスッとしてくれたらいいなぁ

昼前に起きて、スマホで動画をだらだら眺める。

気づけば午後になり、また気づけば夜。

疲れきったおじさんの、どうしようもなく平和で退屈な休日だった。


ようやく腹が減っていることに気づき、冷蔵庫を開ける。

中には、数日前にショート動画で見て衝動買いした「腸活にオススメ!」なヨーグルトが一つ。


「……賞味期限、十日も過ぎてるじゃねぇか。

いや、ヨーグルトなんて最初から腐ってるようなもんだし……」


しばし葛藤。

だが、明日も仕事だ。ここで腹を壊すのはリスキーすぎる。

大人は無謀と勇気を履き違えないのだ。


ため息をつき、着替えもせずダル着のまま外へ出た。

「夜のコンビニって、なんで虫とヤンキーが集まるんだろうな……」

少し治安が悪い地域なので、夜になるとまだヤンキーが生息している。


コンビニの光が見えてきた――が、今日は妙に騒がしい。

何やら、夜職っぽい女性とヤンキー君が揉めているようだ。

まぁよくある光景だ。関わるのは御免だとスルーを決め込む。

……の、だが。


「お前のせいで仲間が捕まった」

「責任は取ってもらう」

「上のところへ連れていく」


聞こえてきた言葉に、背筋が冷たくなる。

最悪の想像が頭をよぎった。聞くんじゃなかった。

だがもう、聞いてしまった以上、見なかったふりはできない。


――無謀と勇気を履き違えない。

それでも、大人として必要な勇気はある。


「何か揉め事かい?」


近づいて声をかけると、ヤンキー君がこちらを睨み、胸ぐらを掴んできた。

「はぁ?消えろやオッサン!調子こくなよ!」

恫喝。近い。怖い。もう帰りたい。

でも、女の子は――泣いているだろうか?

そう思って振り向いた俺に、女の子は冷たい目を向けて言った。


「アンタ誰?関係ないヤツは消えろよ!」


……え? なんで俺、女の子にまで罵倒されてるの?

もう泣きそう。


その時、女の子が小さく囁いた。

「こいつら、“虎舞流”っていうチーマーだよ。早く逃げなよ。」


よく見ると、彼女の手は小刻みに震えていた。

――この子、俺を守ろうとしてるのか?

そう思った瞬間、胸の奥がギュッと熱くなった。

頭の中は冷静になる。腹は、もう決まっていた。


「ヤンキー君、君、“虎舞流”のメンバーだろ?見たことあるよ。

オジサン今日は非番だから、あんまり仕事したくないんだよね。」


一瞬、男がきょとんとする。

「署に連絡するのも面倒だし、今日はこのまま帰ってくれないかな。」


“非番”“署”――その二つの単語で、彼の頭が動いたのが分かった。

こちらを睨みつけながら手を離し、吐き捨てる。


「おい、覚えとけよ。」


勢いよく車を走らせて去っていく。

ようやく静かになったコンビニ前で、俺は息を吐いた。


「大丈夫か? ……典型的な捨て台詞だったな、あれ。実際に言う奴、初めて見たわ。」


軽口を叩く俺に、女の子は険しい表情のまま言う。

「怪我とかはないけど……助かった。けど、それでもポリは嫌いなんだ。」


「そうなん? じゃあ早く帰りなよ。誰か通報してるかもだし。」


「オッサンに見つかってるじゃん。」


「え?俺、警察官じゃないよ?」


「は? さっき“非番”とか“署に連絡”とか言ってたじゃん!」


「俺は普通の介護士で、今日は夜勤明けの非番。

警察への連絡は“市民の義務”ですー。」


「……嘘ついたん?」


「嘘じゃねえし。勝手に勘違いしたんだし。

嘘つきは泥棒の始まりだぞ? 大丈夫か?」


女の子は一瞬ポカンとした後、吹き出した。

「なるほどね。たしかに“警察官”って言ってない!

でもそれ、泥棒じゃないけど詐欺師じゃね?」


助けてやったのに、なんて失礼な奴だ。

もう知らんと背を向けて、目的のコンビニに入る。

……が、なぜか女の子はついてきて、ずっと話しかけてくる。


「その弁当、美味しくないよ。」

「うわ、油っこいの好きだねオッサン。」

「このサラダおすすめ!」


うるさい。けど、気づけば彼女おすすめのサラダを手にしていた。


会計を終えて外に出ると、また彼女がついてくる。

「なぁ、はよ帰れよお前。」

「家バレてるんだよねー。帰ったらさっきの奴いそうで怖いなー。」

「なら警察行けよ。」

「助けてくれたのに、今度は見捨てるんだー。大人のくせに途中で逃げるんだー。」

「犬猫拾ったんじゃないのよ。人間の女の子は拾って帰らないの。犯罪だから。」


彼女は少し黙った後、ぽつりと呟く。

「家がバレてるのはホント。今日だけでいいから、泊めてくれないかな。」


不安そうな目。

見捨てるのは簡単だけど、せっかく助けたんだ。不幸にはなってほしくない。


「……わかった。今日だけな。」


「やった!ありがとうオッサン!」


「オッサンじゃねぇし。お兄さんだし。」


「わかったよオッサン!」


「……はいはい。」


歩き出す。

「俺がベッドで寝るから、お前ソファな?あと、なんもしてくるなよ。」

「逆じゃね? 女の子にはベッド譲るのが普通でしょ?」

「なんで俺がソファで寝なきゃなんねぇんだ。床じゃないだけ感謝しろ。」

「あー叫びたくなってきた!“痴漢ですー!”って!」

「やめろぉぉぉ!社会的に死ぬわ!」

「この衝動はベッドじゃないとおさまらないなー。」

「……わかった。お前がベッドでいいよ。」

「やったね!」


苦笑しながら歩く俺。

いつの間にか、笑っていた。久しぶりに。


「今日だけだからな。明日にはちゃんと出ていけよ?」

「テレビある?観たいドラマがあるんだけど。」

「ねぇ聞いて? “出ていきます”って約束して?」

「そのサラダ貰っていい?お腹すいた。」

「もうヤダこの子。自由すぎ。」

「道、こっちで合ってる?」

「知らん。先行くな。」


夜風が少し冷たい。

だけど、胸の奥はほんの少し温かかった。


いつもの、退屈な休日になるはずだったのに――

気づけば、やけに賑やかな夜になっていた。


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