これはモテ期ではありません。
人生には何回かモテ期があると聞いたことがある。
30歳。そんなものあったか考える。
心当たりがあるようなないような。
けれど、モテても見る目がなければ意味がない。
「明奈には悪いと思ってる。でも今がチャンスなんだ」
30歳の誕生日、恋人からプロポーズをされると思っていたら、地元の子と結婚をすると告げられた。要するに振られたわけだ。
――昨日、会社の同僚に結婚を匂わせちゃったのどうしてくれよう。
言い訳が呆れる。
「その子と結婚すれば夢だった店を構えられるんだ。俺のためを思うなら別れてくれ」だと。
定番の、グラスの水を頭の上からかけるをやってみた。怒りがおさまらないことはわかった。
その夜、同僚からメッセージ。
《どうだった?》
どうもこうもない。
無視していると、数年前に浮気されて別れた元彼からもメッセージが届く。
《誕生日おめでとう。もしよかったら会わない?》
会わない。
《あんな真似しておいて勝手だけれど、自分の気持ちに気づいた。やっぱり君がいい》
私は、連絡先をブロックしていなかったことを、心から悔いた。
どんなに忙しくても、ブロックは忘れないようにすると心に誓いながら、ブロック。
“運命の恋”の障壁にされ、しょうもないカップルの恋を盛り上げる役目ほどムカつくことはない。
怒りが更に増したところで新たにメッセージが。
今度はギャンブル狂で嘘ばかりついていた元彼だった。
《久しぶり。今日は誕生日だよね。今なにしてる?》
怒りを溜めてる。
《もう嘘はつかない。
賭け事は小遣いの範囲でする。
もし気持ちが残っているなら、
俺たちやり直さないか?》
問題外。
貸したお金を返さないで何を言うか。ブロック。
二人の男から復縁を迫られたこの状況。
モテ期ともいえる。
これが普通の男性なら、の話だけれど。
同僚から再びメッセージ。
《さっき言い忘れちゃった。誕生日おめでとう! 2人でお祝いしてるとこ邪魔してごめんね》
全然じゃまじゃない。
今度は返信をすることにする。
《もう家にいる。
地元の子と結婚するんだって。
今は、浮気男とギャンブル狂の2人から復縁迫られてブロックしたとこ》
《おーフルコンボ》
軽い返事が心地よい。
《寝て忘れる。また明日》
《おやすみー》
翌日。目覚めたら、昨日別れた男からメッセージが届いていた。
《昨日はどうかしてた。やっぱり明奈を忘れるなんて無理だと気づいた》
あ、忘れてた。ブロック。
モテすぎて困っちゃう。
なんて心でふざけながら、朝の支度を始める。
モテ期じゃなく、精算期か。
通勤電車で気がついて、人生いろいろあるなあと黄昏てみた。
同僚から昼休みに
「誰か紹介しようか?」
と言われた。
「略奪女にコロッと騙されたり、お金を返さなかったり、店を出したいタイプじゃない?」
「普通の人だよ」
「普通の人なんている?」
「普通の人の方が多いはずだけど」
淡々と会話は終わり、私はこういう人間関係は大事にしなきゃなと学んだ。
ちなみに、地元で結婚すると言った男、
偶然相手の友人に、私と彼のやりとりを見られており、彼もまたその日に振られていた。
共通の友人からその話を聞いた。反省してるし許してあげたら?と言うから、友人の連絡先もブロックした。
まだ精算は終わらない。
後日、同僚から男性を紹介された。
モラハラ臭がプンプンする。
これが普通か。
もちろん付き合わない。
私は共通の趣味の人たちと遊ぶ機会を増やした。
誰に振り回されることもなく、毎日が楽しい。
これからは、良い人と縁があればラッキーくらいの心持ちでいこう。
もちろん変な縁は即ブロックするけどね。
読んでいただきありがとうございました。
最近は真面目に書きすぎて頭が疲れたので、発散するために書きました。
毒が強かったらすみません。




