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よりにもよって、物語が作り込まれた美少女RPGに転生してしまった  作者: 根田わさび
第二章 復讐の果てに咲く白百合

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八日目 午前

メイプルの台詞を考えるのは楽しいんですが、打ち込むのに倍の時間掛かります。

部分的にカタカナに変換するのは時間が掛かりますね。

《緊急警報。緊急警報。執務室にて、緊急アラームが作動しました。


「!?」


ウー!!ウー!!


緊急アラーム・・・!?

しかも、執務室って聞こえた気が・・・


――繰り返します。執務室にて、緊急アラームが作動しました。直ちに警戒態勢に入り、キョウ様の安全を確保して下さい。繰り返します――》


聞き間違いじゃない...やっぱり執務室だ。

執務室のボタンの場所は、恐らくキョウとセンラしか知らない...という事は。


「・・・キョウの身が危ない。」


 大急ぎで部屋を飛び出すと、事態に気付いた使用人達が廊下へ出てきていた。


「Oh!?ナニゴトデスカ!?」

「メイプル!!執務室で緊急アラームが鳴ったんだ!今度はテストじゃない!」

「Wow!?キョウ様ノ元エ、急ギマショウ~!!」


 正面玄関を駆け抜け、正面階段を駆け上がる。心臓がバクバクと鳴って痛い。

主人棟の廊下に入ってすぐ右の扉が執務室。焦って扉に手を掛けようとすると、太い腕に手を掴まれた。


「メイプル・・・!?」

「ユーゴ様ハオ客様!ココハボクガ先ニ入リマァス!!」

「メイプル・・・!!」


なんて頼れる背中だろうか。

複数人の使用人達とメイプルの後ろで待機し、メイプルが扉を開けると・・・!!


「キョウ!大丈夫!?」


部屋の中には、キョウとセンラの2人。

窓が割れているが、2人とも目立った怪我などは無さそうだ。


「皆様、キョウ様はご無事です。ご安心ください。」

「心配をかけて悪かったね。」


「「「「「はあ・・・・。」」」」」


全員でホッとため息を吐く。


「何があったの?」

「それが...私が執務室へ戻ってきたら、怪しい人影が私のデスクを漁っていたんだ。ただ・・・窓が割られていたものでね。そのまま逃げられてしまった。」


執務室に侵入者が居たという事か・・・。

何か盗られたものはあるかもしれないが、キョウが無事で何よりだ。


「何が盗られたか分からないが、明日の襲撃の可能性が高まったのは間違いない。皆、用心したまえ。」

「「「「「はい!!!」」」」」


    *    *    *    *


 緊急事態が起こったと言うことで、明日のモーニングレポートは一時間繰り下げられる事になった。

こういうところがヴァンパイア・マンションのホワイトポイントだ。


・・・


自室への帰り道。そんな事を考えてはいるが、募る不安がどんどん大きくなっていく。

そういえばミラの姿が無いが、警報に気付かなかったのだろうか。

少しでも不安を拭いたくて、ミラの部屋まで赴く。


「ミラ?起きてる・・・?」


心臓がバクバクする...。


「ミラ・・・?」


どれだけノックしても、呼びかけても反応が無い。

寝ているのか、それとも・・・


「考えることは同じのようだね。」

「!!」


振り返ってみれば、そこにはキョウとセンラの姿が。

なんという安心感・・・


「ふふふ。心配せずとも、侵入者はミラでは無いよ。私がメンバーの気配に気づかない訳が無いだろう・・・?」

「それに、警報直後にもこの部屋に居た事は確認しています。」

「あ・・・。」


よくよく考えれば、キョウやセンラほどの魔法使いが魔力感知的な何かを使えても不思議ではないか。


「今もこの部屋にいる事は感知で気づいているさ。本当に寝ていて気付いていないのだろう。」

「はあ・・・良かった...。」

「キミがそんな心配をするという事は・・・ミラについて、キミも気になる点があるのだろう?」


図星を突かれてドキッとする。


「場所を変えようか。」


    *    *    *    *


 面談室にて、情報の共有を行う。


「まず、ユーゴ。キミはミラについて何を知っているのかな?」

「いや...大した事じゃないよ。この前の休みの日の夜、泥だらけのミラを見てさ。出かけてたけど、どこに行ってたのかナイショって...。元気がない様に見えたし、ステ・・・適正調査の時も読めなかった事もあって気になってたんだ。」

「成程。」


キョウの反応的に、キョウの方も把握しているようだ。


「それに関しては察しての通り、私やセンラも気にかけていたんだ。」

「以前から、休日にどこかへ出かけ、夜に帰って来ることはよくあったのです。」

「しかし...泥だらけで元気が無い、というのは気になるね。気付かなかっただけかもしれないが、今までに無い状態だ。」


そうだったのか・・・。


「どこに行ってるのかは、流石に分かってないの?」

「あぁ。彼女にもプライベートという物がある。悪い恋人と会っている、という事情ならばそこまで踏み込むのはお節介だろう・・・?」


その可能性もあるのか・・・確かに、ミラは良くも悪くも素直な性格だ。

偏見でしかないが、悪い男に引っかかりやすいとも思える。


「それに、私としてもメンバーを疑いたくは無いんだ。」

「そうだね・・・。今回の事にミラが関わってる可能性は低いもんね。」


ミラが何か悪い事をしている、という可能性は一度除外してそっとしておく事になった。

何かあればミラから話してくれるかもしれないし。


「そういえば、話は変わるんだけど、何か盗られた物はあったの?」

「いや。重要書類や物は盗られていなかったよ。」

「そっか、良かった...。」

「安心はできないとも。物が盗られていなくとも、使用人達の情報、様々な記録、明日の取引の内容――。つまりは情報が盗られた可能性は高いという事だ。」

「そっか・・・。」


むしろ何も盗られていない方が犯人の狙いが分かりにくく、特定も難しくなる。タイミング的には明日の取引の内容が狙われていそうだが、あえてこのタイミングを狙って別の情報を...という無限の可能性を残すのだ。


    *    *    *    *


 自室に戻り、布団にもぐる。

不安は拭い切れないが、ミラの事を共有できて少しホッとしている自分がいる。

憂いの中、静かに目を閉じるのだった。


    *    *   *    *


「それでは、モーニングレポートを開始します。」


 いよいよ、取引の日。

昨晩の事もあり、どことなく緊張感のある空気だ。


「まず、昨晩の侵入者についてです。」

「え!侵入者がいたのー!?」


ざわめく使用人達。

そりゃそうだ。あれだけけたたましいサイレンが鳴って尚、気付かないなんて思いもしないだろう。


「はい。物は盗られていませんでしたが、何らかの情報を掴まれた可能性が極めて高いです。取引は予定通り行われますが、より一層、不測の事態に備えて下さい。」

「「「「はい!」」」」


 その後、一日のスケジュールの再確認がされた。


クスネさんが来るまでに昼食を済ませ、お出迎えの準備を整えておく。

午前12時にクスネさんが到着。

その後、何事も無ければ17時にはここを離れる予定だそうだ。


    *    *    *    *


―午前9時


「「「せーの!!」」」


 他の使用人達と協力し、正面玄関にレッドカーペットを敷く。

一週間前は、まさか自分がレッドカーペットを敷く側になるとは思ってもみなかった。


ちなみに、センラはキョウの身支度の手伝いを手伝っている。


「ユーゴ様、そちら大丈夫ですか?」

「うん。皴もたるみも無いよ。」


清掃作業は、この館のベテラン使用人達が昨日の内に済ませてくれていた様で、どこを見てもチリ一つ無い。何の道でも、ベテランとはカッコの良いものである。


―午前11時


 いつもより少し早めのお昼ご飯。


「今日はいつもより豪華だね~!!」

「そうだね...すごく高そう...。」


我ながら、小並感のすごい感想だ。

そんな事を考えていると、料理人と思しき使用人が話しかけてきた。


「本日は、キョウ様とクスネ様が一緒に昼食を召し上がるんです。なので、いつもより使用人達の食事も良い素材を使っているんですよ。」

「へぇ~。なんだか、食べるのが勿体なくなっちゃうね。」


そう言っている隣で、ミラはいつもの調子でモグモグと食べているのだが。


―午後11時30分。


 正面玄関に全員で集まり、お出迎えをする。

俺がここへ来るときも、こんな感じで沢山準備していてくれたんだろうなぁ...。

ここへ来た当初は、清掃がどれだけ行き届いているかなんて考えもしていなかったが、自分が当事者になってみると視点が変わるものだ。


「やぁ。皆、お出迎えの準備ご苦労だったね。」


階段の方から声が聞こえ振り向くと、美しいドレスに身を包んだキョウの姿が。

あれ...あのドレスは...


「キョウ、そのドレス、センラが作ったっていう・・・?」

「よく知っているね。センラの先輩が来るんだ。後輩の成長をみせてやりたいだろう?」


さすがはキョウ。ドレスに至るまで抜かりないとは。


「もうすぐやってくるだろう。久しぶりに会う者もいるだろうが、失礼の無いようにね。」

「「「「はい。」」」」


センラは屋敷前で待機。他使用人達は、時折会話をしながら来訪を待つ。

俺も、クスネさんがどんな人なのか考えながらその時を待つのだった。


―午前12時


 外から話し声が聞こえ、やがて、ゆっくりと扉が開かれた。


「「「「いらっしゃいませ、クスネ様。」」」」


 扉が開いた先に居たのは、予想外の姿だった。


長い丈のロングスカート、ふさふさの大きな尻尾、高い身長、ふわふわした三角の耳、つやつやの髪。

そして…穏やかな眼の、狐のお顔。


まさか・・・まさかとは思うが...存在するのか!?


『獣人』が・・・!!!!!!


クスネさんはゆっくりレッドカーペットを歩き...俺の前で止まった?

気になって顔を上げると、瞳は確かにこちらを見ている。


「その子は臨時で雇っている、私の友人だ。」


キョウが軽く紹介すると、クスネさんはニコッと笑った。...多分。

なにせ、表情の動き方が人間とは違って認識しずらい。


「コン♪なるほど♪初めまして、クスネと申します♪」


麗らかな所作でお辞儀され、こちらもペコリとお辞儀し返す。

この人が、ヴァンパイア・マンションの元サブリーダーで、現スパイエージェントのマスターか。

なんというか、包み込まれるような、どこか母性を感じる話し声だ。


「初めまして、ユーゴです。」


すごい...。近くで見てもモッフモフの狐だぁ・・・。

クスネさんは使用人らの方を向き、ニコッと笑った。...多分。


「みんな、お出迎えありがとう♪後でお土産話、楽しみにしていますからね~♪」

「じゃあ、早速行こうか、クスネ。」

「はい♪」


キョウと並び歩く後ろ姿を見送る。

「コン♪」という口癖?も相まって、遊園地のマスコットキャラクターと話しているみたいだった。


 ...と、そんな事を考えている場合ではない。持ち場に付かなければ。

センラは二人にお菓子とお茶を運んでいるし、先に持ち場へ行っておこう。


前日決めた通り、二階廊下の入り口で待機する。

一階の玄関ロビーを上から見渡してみると、皆も持ち場に付いている。


そういえば、ミラは大丈夫だろうか・・・?

当然ながら、地下に居るミラの姿はここからでは確認できない。

前の様に眠ってしまっていないと良いが。


「ユーゴ様、お待たせ致しました。」

「センラ、お疲れ。」


 センラはキョウの身支度に朝早くから頑張ってくれていたはずだ。昨日の夜の事もあるし...ん?


「センラってさ、今日いつ寝たの...?」

「昨日、ユーゴ様と解散した後すぐです。」

「起きたのは...?」

「今朝4時です。」

「それほぼ寝てなくない!?」


昨日解散した時、確か2時とかそれくらいだったはずだ。

つまり、推定睡眠時間は2時間という事になる。


「問題ありません。短い時間で効率よく休息を取る心得がございます。」

「そ、そっか・・・。」


すごく身体が心配だ・・・。


 今度のお休み、何か疲労回復の物でも買ってプレゼントするかな。

清掃用具を準備しながら、そんな事を考えていた、その時。



ガシャーンッ!!!!!



階下から、ガラスの割れる音がした。




メイプル ヴァンパイア・マンションのメンバー。ガタイの良い男性。

いつも作品を読んでくださっている皆様、ありがとうございます。


「よりつく」の連載は週一回でしたが、精神療養のため不定期更新とします。


今後は、心に余裕が出来たら投稿していく事になりました。

期間がとても開いてしまうこともあると思います。

それでも、投稿を辞めることはありませんので、良ければこれからも読んでくれると嬉しいです。

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