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よりにもよって、物語が作り込まれた美少女RPGに転生してしまった  作者: 根田わさび
第二章 復讐の果てに咲く白百合

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三日目 見えない

来て頂きありがとうございます。

 次の日の朝。昨日教えられた事はノートにまとめ済みなので、それを確認しながら身支度を整える。

クローゼットを開けると、きっちりと整えられた執事服が入っていた。


「おぉ...。」


これを着て掃除洗濯をするわけだが、果たして動けるだろうか。

それから、懸念点がもう一つ・・・。


    *    *    *    *


 使用人会議室まで向かう。


「あ、オハヨウゴザイマス・・・。」

「ユーゴ様、おはようございます。・・・!」


俺の姿を見たセンラも違和感に気付いたようだ。


「あ!ゆーご様おはよ~ございま~す!!って、服ぶかぶかですね~!!」


そう。明らかにサイズが合っていないのだ。

特にズボンの丈があっておらず、手で引き上げながら歩く始末だ。


「この後衣装部屋で合うサイズの物を探しましょう。業務はそれからです。」

「ありがとう...。」

「それでは、モーニングレポートを開始します。」


センラが前に立ち、スケジュールの共有が行われた。センラが言ったことをメモしながら耳を傾けていると、隣にいたミラがノートを覗き込んで来た。


「勤勉ですね~。」

「覚えるの自信ないからさ。」

「エ、覚えなきゃいけないの?コレ...。」


ミラらしい回答だ・・・。


「ミラ、ユーゴ様の邪魔をしない。」

「すみません!!」

「すみません...。」


ヒソヒソ話していると、流石にセンラから怒られてしまった。

ミラから話しかけられたのは事実だが、乗ってしまったので共犯だ。


 モーニングレポートを終え、衣装室までやってきた。


「小さいサイズなら、と思いましたが...ユーゴ様が着てらっしゃるのが一番小さいサイズですね。」

「あ、そうなんだ...。」

「早急に裾直しをさせていただきます。」

「ありがとう、ごめんね...。」

「その間、こちらを着用なさって下さい。」


センラが提案してきたのはメイド服だった。


「ちょっと、いや、これは...。じ、自分の服があるし、今日はそれで...。」

「いえ。それではユーゴ様の服が汚れてしまいます。それにこちら、キョウ様より、ユーゴ様にサイズが合わなかったらこれを着せてくれ、とのご指示を頂いております。」


キョウーーーー!!!!!!

絶対分かっていた上で面白がっている!!しかも、センラはなぜ突っ込まないのか!?ずっと無表情で平然と話しているが明らかにおかしな指示では!?それともこれが日常茶飯事なのか!?


「恥ずかしがる事はありません。そう言ったご趣味をお持ちの方もいらっしゃいますので。」

「そう言ったご趣味をお持ちじゃ無いから恥ずかしいんですがそれは...。」

「キョウ様からのご指示ですので。」

「・・・・・。」


これは何を言ってもダメそうだ・・・。

まあ、裾直しが出来るまでだし、長くても今日一日だろう...。

諦めてメイド服に着替えるのだった。


    *    *    *    *


 この格好では目立つし、人が来ない場所で掃除しよう...。

そう思い、やってきたのは資料保管庫だ。資料保管庫は勉学室の隣にあるが、今はみんな担当業務中で人が居ない。

ほこりっぽい部屋には古本屋の様な独特の匂いがして安心する。


部屋を見回すと、奥の方に大きな機械があるのが見えた。


「これは・・・。」


近づいてみると、コピー機のようだ。この世界にもコピー機が存在しているとは。説明書には『複製魔具取扱説明書』と書かれている。なるほど、複製魔具と言うのか。

いつか使う時が来るかもしれないし、頭の片隅に入れておこう。


 まずは、はたきを手に取り、くしゃみをしながら本棚の埃を払っていく。

次に、雑に積み上げられた本を埃をはらいながら本棚にしまう。


・・・さっきから、同じようなタイトルをよく目にする。

しかも『人畜事件』とかいう物騒なタイトルだ。物騒だからこそ余計に目に付く。


「少しくらい、良いか。」


本を手に取る。完全に掃除の途中で漫画を読み始めた時の心情だ。

恐る恐る本を開・・・


「おや、サボリかい?」

「うわぁ!?」


史上最速の速さで振り返ると、そこにいたのはキョウだった。


「あ、いや、これはその違くて・・・。」

「ふふふ、いや構わないよ。歴史に興味を持つのは良い事だ。」

「歴史・・・?」

「そうだとも。『人畜事件』は歴史。ここは資料保管庫だよ?御伽噺(おとぎばなし)なんて置いていないさ。」


実際の事件・・・どんな内容かますます気になって来た。


「ただ・・・それを読むのはオススメしない。キミの為にならないからね。」

「それは、どういう…。」

「知らない方が良い事もあるという事さ。」


キョウはそう言ってイスに腰かけた。

いまいち意味が分からないが…今までのキョウの発言は全て正しかった。従った方がいいだろう。


「ここにいるの?」

「ああ。今のキミの様子は、見ていて面白いからね。」

「別に特別面白くなんて・・・ハッ」


メイド服なの忘れてた!!!


「気に入ってくれたようで何よりだよ。」


ニコニコと見守るキョウに怒りを抱きつつ、敵わないなと思うのだった。


    *    *    *    *


 昼食を食べ終え午後、センラとミラと共に訓練場までやってきた。


「ユーゴ様、お疲れ様です。」

「ゆーご様、お疲れ様です〜!あれ!?ゆーご様って女の子だったの!?」

「男デス…。これはかくがくしかじかで…。ところでセンラ、裾直しは…。」

「本日中には仕上がりますのでご安心を。」


出来れば訓練の時間までには直してほしかったが…センラも忙しいだろうし、仕方ないだろう。


食事を済ませた後、訓練場へ赴く。

センラが説明を済ませていてくれたのか、ほぼ全員が訓練場に来てくれていた。


「ユーゴ様、よろしくお願いします。」


まずはセンラ。

センラはエプロンスカートからナイフを取り出した。なるほど、武器はそこに隠しているのか。

そしてカカシから少し離れたところでナイフを横に一振り。しかし、それだけでは何も起こらず、ウィンドウも出な・・・


スパンッ


カカシが独りでに切れた!?

しかも切れる瞬間、赤い閃光のようなものが一瞬見えた気が・・・


ヴヴン


翠花(すいか) センラ]

体力:S

防御:S

魔力:S

筋力:A

得意技:俊敏、投擲


オールステータスすぎないか!?

4項目中3項目S・・・!?つ、つよい・・・。


「ユーゴ様、いかがでしょうか。」

「とっても...強いデス。」

「・・・ありがとうございます。」


恐らく「無事確認できたか」という事を聞きたかったんだろうが、あまりの衝撃に的外れな回答をしてしまった。


 その後も一人一人ステータスを確認していく。

他メンバー達のステータスはE~Bを多く見かける。毎日鍛錬している者でもB評価になるという事は、S評価がいかに実力者であるか物語っている。シーガーデンは1人1つはS項目があったことを踏まえると、シーガーデンがたった4人で成り立っていたのも納得だ。


 見えたステータスを周りから見えない様に小さくメモしていく。滞りなく進んではいるが、問題があるとするならば目が疲労している事くらいだろうか。


目がしばしばしてき頃、残すはミラだけとなったが...。


「あれ、そういえばミラの姿をしばらく見てないけど…。」

「連れてまいります。」


数分後...


「ぐぅ...。」

「お待たせ致しました。」


半ベソをかいているミラの姿が。


「もしかしてサボってたの...?」

「さ、サボりじゃないもん!休憩だもん!!」

「1時間以上屋敷裏で寝ることのどこが休憩なのですか?」

「ぐぬぬ...。」


戦闘が苦手だと言っていたし、どうしても訓練したくなかったのだろうか。

でも、前に『見て〜!』とか言っていた気がするが...。


「それではユーゴ様、よろしくお願いします。」

「あ、うん!」


まあ良い。今はひとまずミラのステータスを確認しよう。


 ミラがカカシに向かって手を伸ばし、腕の周りに炎が纏う。そして、今度はちゃんと火の玉がカカシに直撃した。


「・・・!!」

「ユーゴ様、どうかなさいましたか?」


    *    *    *    *


「報告というのは何かな?」


夜。俺はキョウの部屋に来ていた。報告書をキョウに提出するのもあるが...。


「それが…ミラだけ分からなくて。」

「ほう…。」


あの後、何度やってもミラだけウィンドウが視えなかったのだ。

目が疲れているだけかと思い、センラにもう一度技を使ってもらったが、問題なくウィンドウは表示された。

それを聞いたキョウは、驚くと言うより真剣な顔で何かを考え込んでいる様だ。


「ユーゴ、私の事は何か分かるのかな?」


そういえば、シーガーデンで討伐に協力してもらった時、キョウのステータスは確認しなかったな。あの時は必死で、そんな簡単な事さえ思い付かなかった。


「技を見せてもらえれば、多分…。」

「なら…。」


そう言うと、キョウの手のひらに赤い塊が表れ、次第にそれは葉まで真っ赤な薔薇となった。薔薇はまるで空気を這う様に広がっていく。植物魔法というより、この匂いは…


「血…!?」

「その通り。それで…他に何か分かったかな?」


ヴヴンッ


夜来(いえらい) キョウ]

体力:E⁂

防御:SS

魔力:SS

筋力:A

得意技:魔法全般


「!?!?」


オールステータスパート2!!インフレが早すぎる!!

SSなんて表記、初めて見た…Sが最高では無かったのか。

しかしSS表示も不可解だが、それよりも不可解なのは体力はEとなっているが、隣に何かぼんやりしたものが見える...。ぼんやりしすぎて、何が書いてあるのかサッパリだ。


「どうかな?なにか分かったかな?」

「う、うん。キョウがムーン大陸1の魔法使いだっていうのも納得だよ。」

「ふふふ、ありがとう。」

「でも長期戦は苦手...で合ってる?」


すると、キョウは少し目を見開いた。


「そんな事まで分かるんだね。」

「あ、いやただの予想で...!」

「ふぅん...。」


しまった。怪しまれただろうか。出来ればキョウとは友好な関係を築きたいのだが...。


「しかし、意図的に魔力を抑えていたのだけど、それでもキミに"視られた"と言うことは、ミラが実力を隠していた訳では無い事が証明された。」

「ミッ、視たっていうか読んだっていうか...!!」


ヤダもうこの人怖い!!!


「何にせよ、彼女は戦闘が得意では無いそうだからね。きっとそれが影響しているのだろう。」


確かに、今までウィンドウを見てきたのは戦闘員だけだった。ゲームでも非戦闘員のステータスは見られない訳だし。


「疑問は残るがもう夜も更けだ。明日は休みだが、早く起きるに越したことはないだろう。」

「うん...って、休み??」

「あぁ。明日はセンラの定休日だからね。ついでにキミも休みにしておいたさ。更にそのついでに私も少しだけゆっくりさせてもらうよ。」


ちゃっかりしてるなぁ...。

しかし定休日なんてあるのか。ここ最近バタバタしていたしありがたい。


 キョウの部屋を後にし、明日は何をしようかと考える内に眠りにつくのだった。




資料保管庫 古い歴史の本や知識の本を保管してある。

長くなってしまいました。日常パート多めにしたところ筆が乗りました。楽しいです。

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