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よりにもよって、物語が作り込まれた美少女RPGに転生してしまった  作者: 根田わさび
第二章 復讐の果てに咲く白百合

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二日目 使用人としての日常

明けましておめでとうございます。

今年も、今年からの人も、楽しんでくれたら嬉しいです。

また、根田(作者)よりささやかながら皆様へ年賀状を書いてみました。活動報告よりご覧頂けると嬉しいです。

「ん・・・。やべ、寝てた...。」


 目を覚ましてあたりを見回す。そうか、ヴァンパイアマンションにいるんだったな。

時計は5時過ぎを指していた。

外が青いし、恐らく早朝5時頃だろう。この部屋に来た時が昼3時くらいだったから...14時間も寝てたのか。


 ひとまずシャワーを済ませ、置いてあった部屋着に着替える。


ぐぅぅ・・・。


どうしよう。お腹が減った。

「何かあれば内線に」とは言っていたが、流石にこの時間だとみんな寝ているだろう。

部屋でじっとしていても仕方がないし、部屋を出てみる。


「あれ・・・?」


部屋を出てすぐ右に食膳用のカートが置かれていた。

しかも、メッセージカード付きで食事が乗っている。


『    ユーゴ様    

   お夕食の提供です

   長旅お疲れ様でした 』 


驚いた。

昨日1日部屋から出てこなかったから心配してくれたのだろう。

メニューはパンやポタージュなど、冷えても美味しいメニューばかりだった。

食事を部屋に持って行き、ありがたく頂いた。


    *    *    *    *


「・・・・・。」


昨日、ミラから「朝7時くらいに迎えに来る」と言われていたので、6時半には準備を済ませて待っていたのだが...。


「こ、来ない・・・。」


現在の時刻は7時10分。

使用人なら時間をキチキチしてそうだし、10分の遅刻は大きい気がするが...俺の気が早すぎるだけだろうか。

そう思ってもう少し待ってみたが、15分になっても音沙汰が無く、恐る恐る扉を開けた。

すると...


「み、ミラ・・・!?」


ミラが部屋の前で倒れていた。

揺すって反応を確認する。


「ミラ、ミラ!?大丈夫!?」

「・・・・・ん〜...。」

「み、ミラ...?」


反対を向いた!?

え、これもしかして...


「あと5分...。」


あこれ寝てるだけだ!!!


「中々来ないと思ったら、やはりそういう事でしたか。」


安心しつつ不安になっていると、センラが様子を見に来た。


「おはようございます、ユーゴ様。ミラ、さっさと起きてください。モーニングレポートが始められません。」

「モーニングレポートって?」

「毎朝ご主人様であるキョウ様や、そのお客様のスケジュールを共有する集まりです。」


なるほど、朝礼のようなものか。

そんなこんな話していると、ミラがむくりと起き上がった。


「んあ・・・?あ、ゆーご様おはよぉございま~す。」

「お、おはよう...。」

「ミラ・・・。」


怒気のこもったセンラの声を聞き、ミラの顔が一気に真っ青になった。


「ぁ...センラさんおはようございます...。」

「15分の遅刻です。しかも、お客様へのお迎えが遅くなるなんて言語道断です。あとで懲罰室に来てください。」

「びええええっゆーご様たすけてぇっ。」

「あ、あはは...。」

「はぁ...。」


小さくため息を吐くセンラ。

シーガーデンも愉快だったが、ヴァンパイア・ガーデンも中々愉快なところらしい。


「ユーゴ様、大変失礼いたしました。使用人会議室まで向かいましょう。」


    *    *    *    *


「こちらが使用人会議室です。」


 使用人会議室の中には他の使用人達が待っていた。皆、各々仕事の話をしているようだ。

こういう世界だからか、女性7割男性3割と言った感じだ。


「あ、ミラちゃん遅いよ~。」

「ごめんなさ~い!寝坊しちゃって...。」

「あはは、またぁ~?」


また、という事はやはり常習犯なのか。


使用人会議室は大きなテーブルと背もたれのない椅子、黒板のようなボードが置いていて、簡単な会議をするためだけの部屋だと分かる。


「定刻より20分程遅れましたが、モーニングレポートを開始します。」


センラが前に立ち、他使用人が傾聴している様子だ。

恐らく、センラがメイド長の役割を担っているのだろう。


「時間が無いので重要事項のみお伝えします。本日より、キョウ様のお客様であるユーゴ様が一時的に使用人として従事します。」

「よ、よろしくお願いします。」


ドキドキしながら挨拶すると、皆にこやかに挨拶を返してくれた。

様々な説明を簡単に行った後は、キョウのスケジュールを共有。それを元にそれぞれのスケジュールを立てている様だった。


「私からの報告は以上になります。他、各担当から何かございますか?

・・・では、これにてモーニングレポートを終了します。」


おぉ...見惚れてしまうようなスムーズな会議だった。

自分も同じように出来る気がしないのだが。


「ユーゴ様、傍聴ありがとうございました。これより、使用人としての生活のルールを説明させて頂きます。着いてきてください。」


    *    *    *    *


 各部屋の紹介をしてもらいながら屋敷を歩く。

広い屋敷だが、左右で主人棟、使用人棟で分かれており造りはほとんど左右対称になっているのが分かってきた。


「モーニングレポートの後は、各自担当の業務に着きます。ユーゴ様の担当業務は主に洗濯や清掃と言った雑事になります。ところで、ユーゴ様はお料理はお得意でしょうか?」

「あ、あんまりかな...。」


料理の腕前以前に、食べられるものと食べられないものの区別が掴めていない。


「でしたら、清掃、食事担当はローテーションを組んでいますが、ユーゴ様は清掃を担当するよう手配しておきます。」

「ありがとう、助かるよ。」


ローテーションを組んでいるという事は、ここの使用人は全員ある程度、或いは一流の料理の腕を持っているのか。すごい事だ...。


「ただし、初めの内は使用人棟にございます各部屋の清掃をして頂きます。」

「というと?」

「勉学室や資料保管庫などです。廊下や階段などは別途指導がありますので、指導を受けるまではそちらの担当をお願いいたします。」


なるほど。廊下や階段はキョウやお客様も使うから、より気を遣って掃除する必要があるからか。


その後、午前中は色々なシステムや清掃道具の使い方などを教えてもらった。ちなみに、この世界はかなり現代に近い文明レベルらしく、掃除機もとい吸引魔具というものがあった。

探せばお掃除ロボや配膳ロボもいるのだろうか?


 そんなこんなしていたら午後。なんと昼、夜はバランスの取れたご飯の提供があるらしい。


「す、すご...高級レストランみたい...。」


ここまできちんとした食事だと、テーブルマナーとかが気になってしまう。ちゃんと勉強しとくんだった...!


「ゆーご様は大げさですねぇ!」


悩んでいる俺をよそ目に、パンを頬張るミラ。

口の周りにスープが着いているのを見て、少し気が緩んだ。


「ミラ、お客様の前ですよ。もう少しお行儀よく食べられないのですか。」

「これがわたしです!」


ドヤ顔で言える事ではない気がするが...。

苦笑しつつ、枝豆(?)のポタージュを飲むのだった。


「センラ、この後は?」

「担当業務が終了次第、各自訓練や勉学を行います。」

「なるほど。」


つまり、キョウが言っていたステータスチェックはこの時間にって事か...。


「ユーゴ様の場合、午後の時間はキョウ様からの命を優先してください。」

「了解。」


使用人の数は多いし、特別措置は助かるな。


「本日は訓練場と勉学室の紹介後はご自由にお過ごしいただいて構いません。」


お、自由時間。色々気になる部屋があるし、屋敷を探索してみよう。


「やったぁ!自由時間だぁ~!」

「ミラは自由時間ではなく訓練の時間です。」

「ちぇ。」


本当に愉快な2人だ・・・。


ランチを食べ終え、2人と共に訓練場へ向かった。

訓練場はガラス張りの天井の、広々とした中庭に的やカカシ、ベンチなどの設備が用意されたものだった。


「意外と簡易的なんだね。」

「はい。戦闘スタイルは皆それぞれですので、自由に訓練メニューを組めるようにしています。」


確かに、ぴょんぴょん動くカカシ相手に剣術訓練をしたり、遠くから的を射撃したりとそれぞれだ。

この広さなら対人戦も出来るだろう。


「わたしの魔法すごいんですよ〜!見てて〜!」


そう言って、ミラはカカシの方へ走っていく。

カカシに向かって手をかざすと、徐々に火の粉が舞い始めた。そして魔法を...


「いっくよ~...きゃあっ!!」


放つと同時に転んだ!?

それにより魔法は不発。ウィンドウも出なかった。


「だ、大丈夫!?」

「うわ~ん、お膝がいたいよ~。」

「ご安心ください。いつもの事ですので問題はありません。」

「ひどいっ!!」


ミラは泣きべそをかいているが、目立った怪我は無さそうで何よりだ...。


「医務室いこーっと...。」

「サボリは許しませんよ?」

「大丈夫大丈夫!!ちゃちゃっと手当しちゃいますんで!」


ミラと出会って二日目だが、その言葉が全く信用できない...。


「ユーゴ様、お騒がせしました。勉学室へ参りましょう。」


    *    *    *    *


 勉学室。訓練場とは打って変わって、本に囲まれた落ち着いたスペース。本も〇〇学や〇〇書と言った勉強の為のものばかり。蓄音機からはクラシックが流れており、カフェの様な特別感を感じる。


「静かで落ち着く場所だね。」

「防音素材を使用し、限りなく外部の音を遮断しています。」

「へぇ・・・。」


ここなら勉強も捗りそうだし、この世界について勉強しても良いだろう。


「以上で、基本的な設備は以上です。その他にも色々ございますので、部屋に置いている使用人マニュアルをご覧ください。」


他の部屋もそうだが、使用人がのびのびと暮らせる設備がとても揃っている。生前いた会社が、キョウみたいな社長だったらどれだけ良かっただろうか...。


「この後はご自由にお過ごしいただいて構いません。お疲れ様でした。」

「説明ありがとう。」


 勉学室の本を少し見た後、紹介された部屋の場所を記憶しながら屋敷を探索する。


「ここ...は医務室か。」


そういえば、ミラは大丈夫だったのだろうか。

そう思って部屋を覗く。


「あれ・・・。」


医務室のベッドにミラが寝ている気が...。

起こしては悪いと思いそっと近づく。やっぱりミラだ・・・。

すやすやと気持ちよさそうに寝ているが、これはサボリなのでは...?

どうしたものかと思っていると、後ろから声を掛けられた。


「ユーゴ様。いかがなさいましたか?」

「センラ、さっきぶり...ミラの様子を見に来たんだけど...。」


センラはベッドを覗き込む。

そして小さくため息を吐いたのち、


バサッ


掛け布団を勢いよく引きはがした。


「ん~?さむ...ぃ...むにゃ。」

「ミラ。」

「ぁ...!!えっと...センラさんおはようございます...。」

「おはようございます、ではありません。一日に二回目の居眠り。お仕置きです。」

「え、いや、まって...!びええええっゆーご様たすけてぇっ。」

「ユーゴ様、後は私で対応しますのでお気になさらずお過ごしください。」

「う、うん...。ミラ、頑張ってね...。」


シャッ!っとベットのカーテンが閉められ、ミラのわなわなとした声が聞こえる。


「暴れないでください。」

「やだ、センラさん待って、まっ・・・あっ、も、むり、あっ...。~~~!」


なんだかすごくセンシティブな声に聞こえる!?

邪心を払うように医務室を後にした・・・。




お仕置き ???

前回でお気づきの方もいると思いますが、第二章では「第〇話」ではなく「〇日目」と進行していきます。ユーゴが過ごす日々をリアルに感じて頂けたらと思います。

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