表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よりにもよって、物語が作り込まれた美少女RPGに転生してしまった  作者: 根田わさび
第一章 守りたかったもの、守りたいもの

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/25

第十三話 後編 眩しい光

「え…えっと…わ、わたし…??」


 コバンの攻撃魔法…確かに、威力さえ上げられれば問題ないかもしれない。


「どうやって威力を上げるつもりですか?」

「それは…どうしようね?」

「・・・な、なるほど?」


か、肝心なところで…!?

サンゴもあまりの困惑具合に何も『なるほど』じゃないところで『なるほど』しちゃってる…!?


 いやでも、何か出来る気がする。

キョウとクララの2人で強化を…いや、同じ効果の強化魔法は重複出来ない…。

強化魔法をクララに任せたとしても、威力は足りないだろうし…。

……いや、待てよ…?


「ねえ、クララはエネルギーをたくさん使う魔法の方が得意なんだよね…?」

「うん?そうだけど…。」

「じゃあさ、エネルギーいっぱい使って強化魔法を使えば、何とかならないかな…?」

「出来なくは無いだろうけど〜、その分不安定になるからちょ〜短い時間しか効果が続かないと思うよ〜?」

「それを、キョウの魔力強化でカバー出来ない!?」


つまりはクララにはキョウの魔力強化魔法、クララはコバンに魔力強化魔法…たこ足配線みたいな感じだ。

提案を聞いたみんなは困惑の表情を浮かべている。やはりそんな事は出来ないのか…?


「…ふふ、ふふふふふ。」


突然キョウが笑い出した!?


「え、な、なに…!?」

「ふふふ、いや…あまりに型破りな案でね。面白そうだと胸が踊ってしまったよ。」


楽しそうに笑うキョウの隣で、オルカは身を乗り出して慌てた。


「ま、待て待て!!強化魔法の連鎖ってすげぇ不安定って聞いた事あるけど大丈夫なのかよ!?」

「あぁ、あまりに不安定だとも。ただのマッチがいとも簡単に山を切り崩してしまうくらいにはね…?」

「!?」


常識が分からない…!!

どういう理論でそうなるのか!?


「なるほどぉ〜。普通なら味方を巻き込んじゃうくらいの威力になるけど、水中戦なら水の外に出ちゃえばある程度何とかなるかもねぇ〜。」

「あの…それってマスターの身体は大丈夫何ですか?」

「10人で連鎖するならまだしも、2人なら問題無いさ。」

「では、やってみる価値はあると…。」

「けれどもリスクが伴うのは間違いない。決めるのはコバンだよ。」


それを聞いたコバンは


「やる...頑張る!!」


と躊躇いなく宣言した。

他メンバーは若干不安そうにしていたが、その内オルカがニィっと笑った。


「信じてるぜ、マスター!!」

「マスターがやる気なら~、やるしかないよねぇ~?」

「ありがとう...!」

「では、再び行こうか。水龍の元へ。」


    *    *    *    *


 再び水龍と相対する。

先程の怪我は治りきっていないようで、辺りに血の滲んだ海水が広がっている。

俺は直接戦えない分、せめてと海面を見張る。


 水龍が同じ様にサンゴに向かって突進していく。

ドンッという音と高波。

先程より強いシールド魔法を掛けているが、どうだ・・・。


「サンゴ、どう…!?」

「問題ありません。これなら受けきれます。」

「ふふふ。頑張った甲斐があったよ。」


よし…!ひとまずの関門はクリアだ。

次は…


「それじゃあ、砲撃準備と行こうか。」


キョウはそう言ってクララに魔力強化魔法を掛けた。


「それじゃ~、こっちも行くよぉ~!!」


通信からクララの声が聞こえ、クララのいる辺りが淡く光りだした。

そして、コバンの方が...


「!?」


すごく眩く光ってる・・・!?

海中がエメラルド色に光り、水龍も光を反射してキラキラと光っている。

辺りをも巻き込んでしまいそうな光に思わず見惚れる。


「コバン、大丈夫かい?」

「だい、じょうぶ!ちょっと変な感覚だけど...!!」


コバンの声が聞こえて安心していると、思いがけない言葉が続いた。


「今更、だけど...本当に討伐しちゃって良いんだよね。」

「あぁ。アタシはそれがミナミの為だって思ってるぜ。」

「寂しいけど~、私もそう思うよぉ~。」

「マスターが決断されたのですから、迷ったりしません。」


通信を通して、皆の覚悟が伝わってくる。

ミナミさんの事を慕っていたのはコバンだけでは無いのだ。


「分かった。ありがとう...。」


 皆の答えを聞いたコバンは、魔法の準備に入った。それを見たサンゴ、オルカもコバンを守る動きをしだした。

水龍が魔法攻撃を繰り出す瞬間


「させねぇぜ!!」


オルカが突進して一撃を加えた。これでシールドも弱まったはずだ。


眩く輝いていた水中が更に輝きだし、水流が光の元に集い渦巻く。

揺らぐ光と水流は、まるで水の神が降臨するかのようだった。


そして・・・


「ありがとう。」


そんな声が聞こえた。

輝く大波が水龍を貫き、遥か遠方の海を貫いた。


    *    *    *    *


[今更、だけど...本当に討伐しちゃって良いんだよね。]


 この問いの、みんなの答え...。

私、お姉ちゃんがもうどこにも居ないんだって、信じたくなくて。

みんなはとっくに分かっていたんだよね。迷っていたのは私自身。


もう、迷わない。間違えない。

オルカちゃん、クララちゃん、サンゴちゃん、お姉ちゃん


「ありがとう。」


姉に見守ってもらいながら、何度も練習した魔法を今、

水龍様に向かって放った。


水が美しく輝く。

眩しい。眩しくて何も見えない。

ぎゅっと目を瞑った。















































「コバン、1人で...大丈夫?」











お姉ちゃんの声が聞こえた気がした。


お姉ちゃんの様に、全部背負ってみんなを導く様な人になりたいと思っていた。

でも...


[コバンの守りてぇもんをアタシたちで守ってやる!]

[コバンちゃんだけのせいじゃないって〜]

[コバンさんの責任ではありません。みんなで決めた事なのですから]


全部背負わなくても良いんだ。

お姉ちゃんだって、全部背負ってきた訳じゃない。


[コバンが頑張ってる姿を見てたから、自分も頑張ろうって思ったんだと思うよ。]


「もう大丈夫だよ、お姉ちゃん。

 寂しさも悲しさも全部、みんなと一緒に背負っていくから。だから...」


お姉ちゃんとの思い出が、頭を駆け巡る。


[コバンは可愛いねぇ。]

[コバン、今日は一緒に寝よっか。]

[みんなお疲れ!コバンも、よく頑張ったね。]

[コバン、大好きだよ~!]


    *    *    *    *


「おやすみ、お姉ちゃん。お疲れ様。」


 水晶から、コバンのそんな声が聞こえた。

淡い光を纏ったまま、水龍が暗い水底へ沈み落ち落ちていくのが見えた。


「お姉ちゃんの声が、聞こえた気がしたんだ。」


震えた声でそう話すコバン。


「魂の残滓(ざんし)、か。まだ届くかもしれないね...。


お疲れ様、ミナミ。」


そう、ぽつりと呟くキョウ。


「ミナミ、楽しかったぜ!お疲れさん!」

「私を拾ってくれてありがとう。お疲れ様ぁ。」

「短い間でしたが、お世話になりました。お疲れ様でした。」


俺はミナミさんと会った事は無いけれど、今のシーガーデンはきっと、ミナミさんのお陰で成り立っているのだから。


「ミナミさん、お疲れ様でした。」


海はオレンジに焼けた空を映し、キラキラと黄金に光っている。

長い戦いだったと、落る夕日を眺めるのだった。




来て頂きありがとうございます。

次回 第一章最終回『旅立ちはリムジンと共に』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ